ミスマッチとは、日本語的には「釣り合わないもの、または釣り合わないものを組み合わせること」を意味する日常会話でも使う言葉ですが、本コラムでは、企業の採用活動において使われる「人材と企業のミスマッチ」について解説し、その原因と企業の対策事例を紹介します。 高い精度で、活躍人材を見極められる面接方法
「面接での見極めは難しい。」そう感じている方は多いのではないでしょうか。数多くの企業で「採用面接」を指導してきた川上教授に、「コンピテンシーを見極める」面接方法についてお伺いしました。
ミスマッチとは
採用活動における「ミスマッチ」とは、候補者と企業のニーズにギャップがある、という意味で使用されます。具体的にはどのようなギャップがあるのか見てみましょう。
企業の求人に見合う求職者がいないケース
企業の求めるスキルや経験を持った候補者が現れなかったり、勤務地や給与などの条件が合わず採用ができないパターンです。他にも、スキルや経験の面では問題ないが、求職者の人柄と社風・企業文化がマッチせず採用できない、という性格面でのミスマッチも含まれます。このような理由によって起きる失業率は「ミスマッチ失業率」と呼ばれ、循環的失業率と合わせ、完全失業率を構成する2つの原因のうちの1つです。
入社後に条件やスキルが合わず離職してしまうケース
せっかく採用ができても、採用後にミスマッチが発覚し、早期退職してしまうケースもあります。企業が求めていたスキルと合わない、求職者が入社前に想定していた仕事内容と合わない、企業の社風と合わないなどのギャップが原因になることが多いようです。エン・ジャパンが運営する 『人事のミカタ』が実施したアンケートでは、転職前に聞いていた企業の情報と転職後の実態に相違があったかという質問に対して、82%もの人が「相違があった」と回答しています。ミスマッチは、早期退職につながる重大な問題ですが、実はほとんどの企業ですでに起こっている可能性がある身近な問題なのです。参考:人事のミカタ 本音採用がギャップを無くす!「入社後ギャップ撲滅作戦」 ミスマッチとアンマッチの違い
似た言葉で、「アンマッチ」というワードも、採用の文脈で使われることがあります。アンマッチのそもそもの意味は「ものごとが釣り合わず、組み合わせることができない」ということです。”組み合わせになっているが釣り合っていない”ミスマッチとは、組み合わせにできているかどうかという点で違いがあります。したがって、採用においては、先述の「企業側の条件に見合う求職者がいないケース、及び採用ができないケース」をアンマッチといい、入社後の早期離職のケースと両方を合わせてミスマッチと呼ぶことが一般的です。 ミスマッチによるデメリット
ミスマッチが発生すると、求職者と企業の双方にデメリットが生じます。
採用した人材の能力が発揮されない
仕事内容や雇用条件、社風や職場環境にギャップを感じた場合、その人材のパフォーマンスが発揮されにくくなる可能性があります。
採用した人材のモチベーションの低下
入社前後にギャ ップを抱えていると、モチベーションの低下につながり、エンゲージメントや生産性が下がる恐れがあります。
また、そのような人材は周囲のモチベーションにも影響を及ぼす可能性もあります。
早期退職によるコストの損失
ミスマッチが要因となり採用した人材の早期退職すると、採用経費、在籍中の人件費、教育研修費など、様々なコストの損失が発生します。
採用後のミスマッチで早期退職…その損失額は
採用後のミスマッチによって早期退職してしまうケースは、採用担当者であれば避けたいものです。実際にはどのくらいの影響があるのでしょうか? 例として、社員1名が入社後3か月以内に離職した場合の損失額を試算してみましょう。 ミスマッチが起きる原因
ミスマッチが起こる原因は、先述した2つのパターンで異なります。それぞれ見ていきましょう。
求人の条件が転職市場と合っていない
条件の合う候補者が現れず採用ができない、いわゆる「アンマッチ」の場合は、企業側の要求条件が厳しすぎる可能性があります。そもそもほとんど対象がいない経験やスキルを必須にしていたりすると、条件に合う人材が転職市場に出てこないため採用できない、というようなことになります。
条件に合う人材が見つからない場合は、条件を引き下げ、ポテンシャルがある人を採用して社内で育成するか、条件はそのまま変えずにヘッドハンティングなど別の手法を検討するなどの対応が必要になるでしょう。また、求めるスキルと報酬面のバランスが相場とかけ離れた条件になっていると、応募がない・採用できない原因になります。
入社後のミスマッチは、双方の情報不足
採用できない場合に対して、入社後に発覚するミスマッチは、企業と求職者の相互の情報提供不足が原因になっているケースが多く見受けられます。
企業側が、採用時に辞退されないようにマイナスの情報を伝えなかったり、意図せず実態と異なる情報を伝えてしまっているなどのケースもありますし、逆に求職者側も短い面接の中で自己アピールしようと良いことを伝えるようにしていますから、その中で求職者の本当の性格や苦手分野などを見極めることは難しいでしょう。
また、昨今ではオンライン面接も主流になっており、対面の面接では腹を割って話せていたことが聞き出しにくくなっている現状もあり、求職者の考え方や価値観を深く知ることがより難しくなっています。
このような情報提供不足については、面接の時点ですり合わせができていなかった場合にお互いが「きっとこうだろう」と思い込んだままになってしまい、入社して初めて違和感に気が付くということになりがち です。その結果、「入社前に思っていた環境と違う」「想像していた業務内容と違った」というすれ違い状態になり、早期退職という結果につながってしまうのです。
ミスマッチを防ぐには
このようなミスマッチを防ぐには、どのような方法があるでしょうか? いくつか紹介していきます。 採用市場の相場に合わせて求人条件を見直す
条件がある人材がいない、いわゆるアンマッチの状態の場合、まずは相場を確認するとよいでしょう。どの程度のスキルの人材が、どういった条件で募集されているか、他社の状況を見ると改善点が見つかるかもしれません。
スキルに報酬が合っていなければ相当な金額に変更したり、スキルを持った人が市場にいないようであれば、社内での育成を前提にポテンシャルがある人材の獲得に路線変更したりするなど、現実的な採用計画に修正していきましょう。
積極的な情報開示をする
企業側からの情報提供も積極的に行いましょう。質問へ詳しく回答することはもちろん、現場の社員と話す機会を設けてより具体的に働くイメージを持ってもらうことも効果的です。「もしかしたらこの情報は不利になるかも」という内容も、思い切って面接の中で情報を伝えることも重要です。仮にそれによって辞退になってしまったとしても、のちに早期退職になるよりは傷が浅くて済みますので、結果的には正しい情報を早い段階で伝えてしまう方が良い結果になります。
入社後のフォローアップ
ミスマッチによる早期退職は、入社後の適切なフォローアップにより回避の可能性を高められます。
例えば、仕事内容については入社後にミスマッチが起きやすいので、期待値を明確にするために目標設定面談を早期に行いましょう。仕事のレベルがスキルに対して高すぎる場合は適切な難易度の業務を渡せるように上長が調節することができます。逆に期待していた業務内容よりもレベルが低すぎる場合に「期待されていない」「成長につながらない」と考えてしまうことがありますが、現在の仕事がより難易度の高い仕事をするためのステップである認識をしっかりすり合わせるなど、面談のなかで不満を解消できる可能性があります。
他にも、人間関係を構築しやすいように直属の上司に質問ができる時間をしっかり設けることも重要です。入社直後にわからないことを質問できず、孤独感や不安感からミスマッチを感じてしまうことがあるので、気軽に相談・質問ができるサポート体制を整えましょう。
リファレンスチェックを導入し、候補者の客観的な情報を広く収集することで、スキルや性格が自社に合うかどうかを、判断しやすくするのも1つの手でしょう。
リファレンスチェックとは、候補者の元上司や同僚など、関係が深い人からの客観的な情報を参照することです。海外では一般的な採用のプロセスですが、近年日本でも導入する企業が増えてきている手法です。
企業のミスマッチを防ぐための『ASHIATO(アシアト)』の活用事例
ASHIATOは300社以上に導入実績があるリファレンスチェックサービスです。入社前の採用判断だけではなく、入社後のフォローアップにも活用できるのが特徴で、多くの企業様に選ばれています。ここではミスマッチを防ぐために、企業が実際に取り組んでいるASHIATOの活用事例を紹介します。 不動産業界にデジタルイノベーションを促すプロダクトを展開する株式会社Linough様では、新規サービスを立ち上げることを見越し、カルチャーフィットを重要視した採用を実現するためASHIATOを導入いただきました。客観的な意見を参考に、自社の状況と照らし合わせて「周りの人が働きやすさを感じるか」を判断することができるように活用していただいています。今後は採用時だけでなく、社内の評価制度との連動も検討されています。
オンライン広告・オフライン広告の統合分析ツール『ADVA MAGELLAN』を展開する株式会社XICA様。採用においては、能力と同等以上に、仕事の価値観が会社にマッチしているかを重視されています。価値観についてはオンライン面接などではなかなか聞き出しにくいと感じていたところ、ASHIATOを導入いただいたことで考えや思想を知ることができるようになり、会社にマッチした人材を見極めることに成功されています。
その他、実質1,000万円程度の早期離職コストの低減に成功する企業様も
その他にも多数の企業様がASHIATOの導入で、ミスマッチを防ぎ、自社にあった人材の獲得に成功しています。IT・ソフトウェア系のA株式会社(匿名)では年に4,5名が慢性的にミスマッチによる早期離職がありましたが、最終面接前にASHIATOを導入いただき、客観 的な第三者情報を把握できたため、より自社にマッチした人材を採用することができるようになりました。結果として実質1,000万円程度の早期離職コストの低減に成功しています。採用活動の大きな悩みであるミスマッチ。より人材のマッチ度を高めて活躍人材を増やしたい企業でも、早期退職を改善したい企業でも役立つASHIATOを、ぜひご検討ください。▼関連記事・
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