グローバル展開する総合製紙メーカー。その事業拡大を支えるのは、「活躍・定着」を見据えた採用活動。

大王製紙株式会社
大王製紙株式会社

ASHIATO導入背景

チャレンジングな長期ビジョンを掲げ、国内外でさらなる事業拡大を目指す大王製紙。即戦力となる人材の採用を行なう中、一時期早期離職が相次ぐことに。スキルだけではなく、「自社に合うかどうか」の見極め精度を改善するために、『ASHIATO』の導入に至った。

この記事のポイント

業界トップクラスの規模と実績を誇る総合製紙メーカー。国内外での事業拡大を支える採用活動では、候補者の「活躍・定着」を見据えた見極めがカギに。

しかし過去には、面接だけで候補者の活躍・定着可能性を判断するのが難しく、入社後に早期離職につながってしまったケースも。

『ASHIATO』を導入し、実際に候補者と働いていた方(第三者)の評価を確認。事前に懸念点を明確化することで、「失敗しない」採用を実現した。

次なる成長、そして新たな未来へ。大手企業の挑戦は終わらない。

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家庭紙をはじめ、新聞用紙や印刷用紙といった紙製品の製造販売を主軸としているイメージです。 今後はどのような事業展開を構想しているのでしょうか。

水野:前提として、当社の事業は主にBtoBの紙・板紙事業とBtoCのH&PC(ホーム&パーソナルケア)事業に分かれています。前者は新聞用紙や印刷用紙、出版用紙といった多種多様な産業で使用される製品で、後者はティシューペーパーやトイレットペーパー(エリエール)をはじめ、ベビー用品や生理用品、介護用品といった生活のあらゆるシーンを支える製品です。
 
現在、売り上げの半分以上を占めるのは紙・板紙事業ですが、時代の変化に伴い、徐々にH&PC事業の売り上げが逆転しようとしています。そこで今後は、特に同事業に注力していく予定です。

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なるほど。具体的には、どのように注力していくのでしょうか。

水野:2035年までに海外事業の売り上げを現状の1,000億円から3,500億円にまで拡大するという長期ビジョンがあります。そこでまずは、中国やブラジルなどを中心にベビー用品や生理用品などのブランド認知やシェアを高めていく予定です。また、市場や競争環境を改めて分析し、収益性向上を実現できるビジネスモデルの確立を図るほか、新規参入国・地域、カテゴリーの調査を行ない、M&A の活用も選択肢として、既存・新規事業の両輪で海外事業拡大の実現を目指します。
 
東浦:国内事業に関しても、長期ビジョンとして大幅な売上拡大計画を掲げています。そこで中期的には、ティシューペーパーやトイレットペーパーといった主力商品のほか、在宅介護などの増加に伴い、大人用紙パンツや紙パンツ用パッドといった介護用品の売り上げを伸ばしていきたいと考えています。また2023年秋には新たにペットカテゴリーにも参入し、今後の柱の一つとすべく事業拡大を進めています。

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「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念も印象的です。理念の実現に向けて、現在取り組んでいることなどはあるのでしょうか。

東浦:当社では経営理念を実現するため、「誠意と熱意を持つものが事を成す」という創業の精神を胸に、衛生・人生・再生の「3つの生きる」を掲げています。衛生で言えば、マスクや除菌用ウエットティシューの提供、人生で言えば、ヘルスケアやフェミニンケアに関する製品の展開、再生で言えば、森林保護や環境を配慮した新素材の開発など、それぞれの領域でさまざまな取り組みを進めている状況です。

即戦力となる人材の獲得。スキル・カルチャー両軸でのマッチングがカギに。

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長期ビジョンや中期事業計画を踏まえて、どのような採用活動を行なっているのでしょうか。

水野:国内外で事業を推進していくためにもまずは、現場が求める人材を確実に採用し、事業拡大につなげていけるよう努めています。特定の職種の採用に注力するというよりは、その都度必要とされている人材の獲得に注力。即戦力として活躍できる可能性があるかどうかを見極めています。

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ちなみに、毎年新卒採用もされているかと思いますが、中途採用する方に特に求めていることがあれば教えてください。

平本:職種ごとに異なりますが、いずれの職種にも共通して「新しい風を吹かしてほしい」と考えています。高い目標を掲げて国内外でさまざまなことに挑戦している当社にとって、従来のやり方に固執せず、進化し続けることは何よりも大切です。既存社員だけではブレークスルーできないことがあった場合に、社外で培った知識や経験が突破のカギになるはず。そんな活躍に期待しています。

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そうした点は、選考でどのように見極めているのでしょうか。

水野:まずは一次面接で、各部門から共有されるスキル要件を満たしているかどうかを確認しています。その後最終面接にかけて、それぞれの部門に馴染めるかどうかを見極めています。たとえ十分なスキルを有していたとしても、それを遺憾なく発揮できるかどうかはカルチャーとのフィット度合いが重要です。
 
そこで人事としては、いかに各部門と協働できるかがポイントだと考えています。各部門に中途採用市場の状況なども理解してもらったうえで、即戦力となる人材の獲得を強化していきたいです。

あますことなく『ASHIATO』を活用し、入社後の「活躍・定着」を実現。

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あらためて、『ASHIATO』を導入するきっかけとなった課題や出来事があればお聞かせください。

平本:初めて『ASHIATO』を導入したのは、2022年のことです。当時は面接だけで候補者の採否を判断していたため、どうしてもスキルかカルチャーかどちらか一方の見極めに偏ってしまっていました。そのため、残念なことに早期離職が発生することもありました。事前に候補者の能力や志向性の客観的な評価が分かっていれば、それを踏まえた見極めや受け入れができたかもしれません。そこで、『ASHIATO』の導入を決めました。候補者を多面的に理解することで、見極め精度を高めることだけでなく、丁寧なオンボーディングを実現することが目的でした。

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採用、そして活躍・定着まで見据えた活用ですね。具体的には、どのように活用しているのでしょうか。

平本:全職種の採用において、最終面接前に『ASHIATO』を実施しています。その狙いは、面接の評価と実際に候補者と働いていた方(第三者)の評価に乖離がないかを確認し、候補者がスキル・カルチャー両軸において当社とマッチするかどうかを見極めることです。スキル面においては面接で丁寧にコミュニケーションをとりながら確認しますが、実際のパーソナルな部分、例えば仕事に対するスタンスなどは、候補者自ら言語化することが難しい性質のものでもあります。
 
一方で『ASHIATO』のレポート結果なら、一緒に働いていた方の率直なコメントからリアルな候補者の能力や志向性が見えてきます。その内容を踏まえて選考を行なうことで見極めの精度は上がってきており、早期離職という課題も改善傾向にあります。
 
水野:実際の活用例としては、レポート結果の中から懸念になりそうな点はもちろん、プラスで評価できる点などがあれば、最終面接を担当する各部門長に共有しています。面接だけでは知り得なかった情報を活用することで、これまで以上に納得感を持って採否を決定することが可能です。また何らかの懸念が残った場合も、候補者に適したオンボーディングを整えることで、活躍・定着の可能性を高められていると感じています。

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たしかに、オンボーディングにも活かせそうな、「どうすれば候補者が高いパフォーマンスを発揮できるのか」を問う質問も設けていますよね。

水野:はい。例えば、候補者の「業務のキャパシティ」や「パフォーマンスを発揮できるチーム・組織の文化」、「業務へのモチベーションを左右する事柄」などに関する質問を設けています。それらの回答の中で印象的なものがあれば各部門長に共有し、必要に応じて部門内で周知してもらうことで、入社後すぐに即戦力として活躍できる環境を整えています。

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最後に、『ASHIATO』への期待を教えてください。

平本:運用に関するサポートが細かく、大変満足しています。効果としても、『ASHIATO』を導入したことによって候補者の見えない部分が減り、入社後の「活躍・定着」まで見据えた採用活動ができるようになりました。
 
また先述の通り、今後も事業拡大をしていくためには、長い歴史の中で築いてきた文化を絶やすことなく、社内に新しい風を吹かせていく必要があります。そのため、候補者が当社にとって今までにない価値観を有しているかどうかを見極めることも、人事の重要な役割です。そうした自社にないケイパビリティを確認するという点においても、『ASHIATO』は大変参考になっています。

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平本さん、東浦さん、水野さん、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

<取材/編集>小野山伸和
<取材/文章>大原正太郎
大王製紙株式会社

大王製紙株式会社

会社概要

ティシューペーパーやトイレットペーパーといった家庭紙をはじめ、新聞用紙や印刷用紙、包装用紙などの製造加工並びに販売を行なう総合製紙メーカー。80年以上にわたって、「紙」を主軸として生活向上や産業発展に貢献してきた。近年では、「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念のもと、国内外でさまざまな取り組みを行なっている。

https://www.daio-paper.co.jp

従業員数

【単独】2,288名(2024年3月末時点)

インタビュー
平本 哲也(ひらもと てつや)
HIRAMOTO TETSUYA平本 哲也(ひらもと てつや)

2007年に新卒で大王製紙株式会社に入社後、家庭紙やECにおける営業を経験する。その後、2024年より人事部へ異動。課長として、新卒・中途の採用活動をはじめ、中長期の人事施策にも携わっている。

東浦 綾香(ひがしうら あやか)
HIGASHIURA AYAKA東浦 綾香(ひがしうら あやか)

2022年に新卒で同社に入社し、人事部へ配属。事務職や営業職を中心に、新卒・中途の採用活動を担うなど、人事として幅広く活躍している。

水野 陽介(みずの ようすけ)
MIZUNO YOUSUKE水野 陽介(みずの ようすけ)

2017年に新卒でホーユー株式会社に入社後、営業や人事を経験。その後、アクセンチュア株式会社に入社し、国内外の新卒採用を担当。2024年に同社へ入社後、新卒・中途の採用活動に携わっている。