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離職率の平均は? 新卒と中途、大企業とベンチャーで違いは?計算方法や 改善方法も解説

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人事部門や求人情報で注目される離職率。自分の会社や就職・転職予定の会社の離職率が平均離職率と比較して低いのか、高いのか気になる方も多いと思います。

一言で離職率と言っても、その状況は分類によって大きく異なります。本コラムでは、業界・性別・企業規模ごとの平均離職率や、離職率が高くなってしまう要因と改善方法について解説していきます。

なぜ人は辞めるのか?退職を科学する
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日本の平均離職率とその計算式

離職率は業界や会社規模、従業員の属性などによって変わるため、すべての会社にあてはまる適正値はありませんが、特定の国や企業・業界の労働環境の変化を確認する際には大いに役立ちます。

例えば、厚生労働省の統計(『令和5年雇用動向調査』)を見れば、日本の全常用労働者における2023年の平均離職率は15.4%となり、コロナ禍を経て採用活動を戻していく動きに連動し離職率も上がってきていることがわかります。



出典:『令和5年雇用動向調査: 入職と離職の推移』(厚生労働省)

また、離職率は「一定期間のうちに、どのくらいの人がその仕事を離れたか」を示しており、次の式で計算できます。

離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)
引用元:『厚生労働省 雇用動向調査:調査の結果 用語の解説』

例えば、1月1日現在の常用労働者数が1000人の会社で1年間に30名が離職した場合、その年の離職率は「3%」となります。

▼「離職率の計算方法」についてのより詳しい記事はこちら
離職率の計算方法は? 業界平均の調べ方や企業ごとの比較方法を解説


業界別の離職率の平均

離職率の平均は業界によっても異なります。『令和5年雇用動向調査』の産業別離職率のデータによると、上から順に「生活関連サービス業、娯楽業」が20.8%、「サービス業」が19.3%、「宿泊業・飲食サービス業」が18.2%、と、サービス系の業種が高い値になっています。この3つの産業では離職率が入職率を上回っており、他業種への人材流出が多いと考えられます。



出典:『令和5年雇用動向調査: 産業別の入職と離職』(厚生労働省)

一方で、比較的離職率が低い業界の値は「複合サービス事業(郵便局、協同組合など)」が6.8%、「製造業」が8.7%、「鉱業、採石業、砂利採取業」が9.3%です。


会社の規模やフェーズによっても離職率は変わる


企業の規模やフェーズによっても、離職率は変わってきます。ここでは、企業の従業員数による平均離職率の違いと、ベンチャー企業やスタートアップ企業の離職率について解説します。

企業規模別離職率の平均

雇用動向調査によると、令和2年度の企業規模別平均離職率は「1,000人以上」の企業が14.0%、「300~999人」が13.3%、「100~299人」が17.4%、「30~99人」が14.7%、「5~29人」が13.6%と、「100~299人」規模の企業の離職率が高くなっています。

直近10年間のデータを見ても、「100~299人」規模の企業の離職率は常に他よりも高く、約15~21%の間で推移しています。その他の企業の離職率は年度によって異なりますが、おおむね14~16%の間です。

出典:『令和2年雇用動向調査:性、企業規模別入職・離職率』(厚生労働省)

「中小企業の方が離職率が高い」とよく言われますが、中小企業基本法における中小企業の従業員数は、「小売業」は50人以下、「卸売業」と「サービス業」は100人以下、「製造業その他」は300人以下です。よって、最近のデータを見ると一概にそうとは言えません。しかし、従業員が100~299人の中規模の企業では、他の規模よりも離職率が高いと言えます。

▼「中小企業の離職率」についてのより詳しい記事はこちら
中小企業の離職率は大企業よりも高い? 離職の要因と対策を解説

ベンチャー企業やスタートアップ企業の離職率は高い?

実は「ベンチャー企業」に明確な定義はなく、テレビや新聞などのメディアでは「設立から5年程度」「インターネットサービスなど新規性の高いビジネス領域で活動」という要素で区分できる企業群をベンチャーと呼称しています。

このように曖昧な定義のため実態が把握されにくい傾向にありますが、一般的に、創業年数が若く成長段階にあるベンチャー企業の離職率は、その他の企業よりも高いと言われています。

しかし、ベンチャー企業やスタートアップ企業のように、めまぐるしく環境が変化する企業においては、人材の流動性を高め、そのときどきの環境に適した社員に在籍してもらった方が企業のパフォーマンスが上がるという考え方もありますので、高い離職率が必ずしも悪いというわけではありません。

企業の成長段階や環境の変化度合いによって、離職率を適切にマネジメントすることが大切です。

採用方法による離職率の違い

新卒採用の場合と、中途採用の場合でも離職率は異なります。それぞれの離職率の平均と離職理由についてご紹介します。

新卒採用の離職率の平均

厚生労働省が発表した『新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者の状況)』によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は高卒の場合38.4%、大卒の場合34.9%です。

3年以内の離職率は中卒の場合が7割、高卒の場合が5割、大卒の場合が3割になるという「七五三現象」が昔から知られていますが、近年のデータではやや傾向が変わっており、中卒が5割、高卒が約4割、大卒が約3割です。

▼「新卒の離職率」についてのより詳しい記事はこちら
新卒の3年以内離職率は3割? 採用後の定着率を上げる方法とは

新卒の社員の離職理由

令和5年若年者実態調査』によると、若年労働者(15~34 歳の労働者)が初めて勤務した会社を辞めた主な理由は上から順に、

「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 28.5%、
「人間関係がよくなかった」が 26.4%、
「賃金の条件がよくなかった」が 21.8%、
「仕事が自分に合わない」が 21.7%

出典:『令和5年若年者雇用実態調査:これまでの就業状況 』(厚生労働省)

であり、労働条件や人間関係、そもそもの業務内容のミスマッチが理由として挙げられています。

中途採用の離職率

エン・ジャパンが人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』を利用する企業693社に「直近3年間で入社した中途入社者の定着率」についてアンケートを行ったところ、以下のような回答が得られました。


出典:アンケート集計結果 第144回 「中途入社者の定着について」』(エン人事のミカタ

もっとも多い回答は「100%」と「70~79%」で、全体の約6割が定着率「70%以上」でした。このデータから逆算すると、中途採用の離職率は6割以上の企業で30%以下、3割の企業で10%以下です。

中途の社員の離職理由

エン・ジャパンでは、年間約6万人の入社・定着支援を行う中で導き出した中途採用の早期離職要因を「GRC」という言葉で表しています。「GRC」とは、

ギャップ(Gap):採用前に企業に対して抱いていた「期待」と、入社後の「現実」の乖離
リレーション(Relation):直属の上司との関係性
キャパシティ(Capacity):仕事の量のキャパシティ

のことで、ギャップがあったり、リレーションやキャパシティに課題があったりすると、早期離職につながりやすくなります。

男女による離職率の違い



離職率の平均は、性別によっても大きく異なります。令和2年度の男性の離職率は13.8%、女性の離職率は17.3%です。次のグラフの通り、ここ15年間での女性の離職率・入職率は男性よりも常に高くなっています。
また、直近3年間は入職率も上がっている一方で、離職率も上がっている状況です。


出典:『令和5年雇用動向調査: 入職と離職の推移』(厚生労働省)

男女別の離職率について、もう少し詳しく年齢別に見ていきます。

男性の離職率の平均

令和2年度の男性の入職率・離職率の平均を年齢階級別に表したものが、次のグラフです

出典:『令和2年雇用動向調査:性、年齢階級別の入職と離職 』(厚生労働省)

入職率と離職率の関係を見ると、学生が多い24歳以下では入職率の方が高く、25歳以上59歳以下ではおおむね同じ、定年退職がはじまる60歳以上では離職率の方が高くなっています。

女性の離職率の平均

続いて、令和2年度の女性の年齢階級別入職率・離職率は次のグラフです。

出典:『令和2年雇用動向調査:性、年齢階級別の入職と離職 』(厚生労働省)

入職率と離職率の大まかな関係を見ると、男性と同様に、24歳以下は入職率の方が高く、25歳以上59歳以下ではおおむね同じ、60歳以上では離職率の方が高くなっています。

しかし、25歳から34歳の部分を詳しく見ると、男性は入職率がやや上回っていますが、女性は離職率が数%上回っています。

男女差がある理由とリスク

前述した女性の入職率・離職率がともに高い理由として、一般労働者よりも離職率が高い、パートタイム労働者が多いことが挙げられます。また、25歳から34歳の時に女性の離職率が入職率を上回っているのは、出産・育児などのライフイベントで仕事を離れる人がいることが一因と考えられます。

ひと昔前と比べて、女性活躍推進やワークライフバランス重視の流れが強くなっていますので、この男女差は少しずつ縮まっていくでしょう。そのような世の中の流れの中で、同じ企業での離職率の男女差があまりにも大きいと、求職者や消費者から「男女格差解消や社員の労働環境改善のための努力ができていないのではないか」と悪いイメージを持たれてしまうリスクがあります。


離職率が注目される理由

従来、日本企業では終身雇用制度が一般的でしたが、社会の変化により労働者の働き方が多様化した今、転職が一般化しつつあります。また、労働人口の減少により日本国内の市場が縮小している昨今、人材獲得のグローバル化も進んでおり、人材の流動性はさらに高まっています。
このような背景から、「人材流出の防止」や「優秀な人材獲得のための企業イメージ向上」のため、離職率に注目する企業が増えています。

▼「人材流出」についてのより詳しい記事はこちら
人材流出の原因とその根本的な対策とは? 定着の肝は採用時にあり!?


離職率の均値を知る意味

ここまで述べたように、企業規模やフェーズ、中途と新卒、男女、業界など様々な要素によって、離職率の平均値は変わります。すると、「企業ごとに状況が違うのに、離職率の平均を知ったところで参考にならない」と思い浮かぶ人もいるかもしれません。

たしかに「日本の全労働者の平均離職率は約14%だから、我社も14%を目指そう」というのは少し的を射た意見ではないかもしれません。現実的な活用方法としては、業界、企業規模、フェーズなどを絞った離職率平均値を目安にし、改善のアクションにつなげることが考えられます。また、競合企業が離職率を公開しているのであれば、それはわかりやすいベンチマークになるでしょう。


離職率が高くなる要因と改善方法


ここまで様々な分類別での平均離職率について説明してきました。この段落では、離職率が高くなってしまう要因をまとめ、その改善方法の例についてご紹介します。

採用時点でのミスマッチ

離職率と関連が強い「採用のミスマッチ」を防ぐ方法として、「RJP理論(Realistic Job Preview)の活用」や、「転職・求人エージェント(メディア)の見直し」「リファレンスチェックの利用」が挙げられます。

RJP理論の活用

RJP理論とは、直訳すると「現実的な職務予告」のことで、採用選考の段階でできるだけ詳細な情報を発信することで、イメージと現実のギャップを少なくし、採用段階でのミスマッチを防ぎます。自社のポジティブな面のみならず、まだ伸びしろのある側面や課題も求職者に提供することで、双方に納得感のある交渉ができるでしょう。

転職・求人エージェント(メディア)の見直し

多くの人事部では、採用に転職エージェントサービスや求人メディアを活用しているでしょう。これらは接触できる採用候補者の数を最大化する上で有効な手段ですが、採用の質=定着率まで考慮して利用することが重要です。

たとえばエン・ジャパンが運営する『入社後活躍研究所』の調査では、『エン転職』経由の入社者の定着率・活躍実感・就業継続意思は、その他採用手法を上回る結果になったとレポートしています。ここでは上述のRJP理論に近しい、求人企業の正直な情報開示「オネストリクルーティング」が効果を発揮したと分析され、入社前後のギャップ軽減が定着に必要なことを示しています。

リファレンスチェックの利用

リファレンスチェック」とは、採用候補者の人柄や仕事ぶりについて前職の上司や同僚、取引先などに照会することです。その結果をもとに候補者が自社のカルチャーや採用予定の役職・職種と合っているか、客観的な情報で確かめることができます。企業の人事担当者が前職の企業に直接問い合わせることもありますが、エン・ジャパンの「ASHIATO」のように、オンラインで完結するリファレンスチェックサービスもあります。

やりがい・達成感がない

社員に「やりがい・達成感」を得てもらうためには、「評価制度の導入、開示」や「裁量のある仕事を任せること」が重要です。

評価制度を導入したり、評価の仕組みや根拠を開示することで、人事考課への納得感が増し、成長の方向性が定まり、社員が意欲的に仕事に取り組みやすくなるでしょう。

また裁量のある仕事を任されると、責任感とモチベーションが高まります。その仕事の中で新たな経験や実力を積むことが仕事のやりがいにつながることもあるでしょう。

労働条件やワークライフバランスへの不満

「労働条件やワークライフバランスへの不満」を解消するためには「給与改定、福利厚生の充実」や「休暇を取得しやすい仕組みと文化づくり」、「業務効率化による残業時間削減」などの施策が考えられます。

ただし、労働条件が離職率を上げる要因になっているように見える場合でも、実はやりがいや人間関係が直接の原因になっていることもあります。社員が実際に困っていること、不満に思っていることを把握し、優先度の高い施策から実施していくことが大切です。

社内の風通し・人間関係が悪い

「社内の風通し」を改善するには、上下関係に根ざした一方通行なコミュニケーションを廃し、誰でも発言しやすい環境を整備する必要があります。気軽な1on1ミーティングを実施したり、イベント実施やサークル発足などの「社内交流の場をつくる」ことが風通し改善の一助になるでしょう。

また「人間関係」の問題は、直属の上司に相談しづらいために抱えこんでしまうケースもあります。若手社員と先輩社員間での「メンター制度を導入」したり、そもそもコミュケーションのハードルを下げるために、チャットなどの「コミュニケーションツールの最適化」などが対処として考えられます。

「定期で行う第三者との面談」が効果的とのアンケートも

エン・ジャパンが運営する『人事のミカタ』が行ったアンケートでは、中途採用を実施する企業の実感として、「定期で行なう第三者との面談」が、最も定着率向上に寄与すると評価され、その次に上司との定期面談や、メンターなどのフォローが続いています。

この結果からは「定期的に話せる相手がいること」「評価に関係しない人間とのつながり」といった要素が重要であることが改めてわかります。

  ■企業の取り組みによる定着率の寄与度

参考:『人事のミカタ「中途入社者の定着」実態調査
※対象:人事のミカタを利用している直近3年間で中途入社者(正社員)がいる企業693社
(調査期間:2019年1月30日~2月26日)


離職率の改善事例「サイボウズ」

実際に離職率を改善した事例として、グループウェアや業務改善サービスを手がける「サイボウズ」がどのような取り組みを行ったかご紹介します。

サイボウズでは、社員と一緒に改めて整備した人事制度の充実と浸透によって、2005年には28%だった離職率を2012年には4%まで下げました。当時100人未満の会社で年に30人弱が退職する状態から脱し、2012年以降も低い離職率を保っています。
 
具体的には、働く場所と時間を個々人のライフスタイルに応じて9分類から選ぶ「選択型人事制度」や、「在宅勤務制度」、生産性や成果を重視する「ウルトラワーク制度」などを導入しました。最初は制度がなかなか利用されないこともありましたが、利用した社員の成功事例が出るにつれて、他の社員にも浸透していったといいます。

また、2018年には選択型人事制度を廃止し、自分の働き方についてひとりひとりが自由に記述して宣言する「働き方宣言制度」を導入するなど、人事制度のさらなる改善を行っています。

参考:『キャリアハック サイボウズ青野社長に聞く、離職率を28%から4%に下げる方法

離職率改善にリファレンスチェックサービス『ASHIATO(アシアト)』

離職率を下げる方法の1つとして、採用時のミスマッチを減らすリファレンスチェックの導入があります。企業からするとアンコントローラブルな社員の離職意向ですが、そもそも自社とマッチ度の高い人材を採用して活躍人材を増やすことが、結果的に離職率改善につながると考えられます。

エン・ジャパンのリファレンスレポートサービス「ASHIATO」は、候補者の客観的な情報をもとに採用時のミスマッチを防ぐだけでなく、入社後の研修やマネジメントにも利用できるレポートを提供し、オンボーディングの成功にも寄与します。

2020年10月のサービス開始依頼、多様な業種で導入いただいており、導入社数が4,500社を突破したASHIATO。まずはフォームからお気軽にお問い合わせください。


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