リファレンスチェックを導入したいけど、どんな質問をすればいいかわからない…。日本ではリファレンスチェックの運用ノウハウが溜まっていない企業が多く、こういった悩みを抱えている採用担当者様も多いのではないでしょうか? 本コラムでは、目的別の質問内容の例と、質問内容の考え方をご紹介していきます。設問設計の仕方については、下記資料も参考にご覧ください。
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リファレンスチェックとは
リファレンスチェック実施の流れ
前述したようにリファレンスチェックの実施にあたっては様々な方法がありますが、基本的な一連の流れをご紹介します。
候補者にリファレンスチェック実施の同意を得る
リファレンスチェックを行うタイミングは企業により異なりますが、実施前に必ず企業から候補者にリファレンスチェックの説明を行い、候補者はそれに同意します。
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リファレンス先を決定する
リファレンスチェックを行う調査先を決定します。調査先は企業や候補者が指定し、上司や同僚等から、複数名に依頼するのが一般的です。
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リファレンスチェックを実施する
リファレンスチェックを実施します。実施手段は対面でのインタビューや電話、郵送、メール、オンライン型など様々な形態があります。
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リファレンスチェック実施のメリット
リファレンスチェックでは、候補者をよく知る第三者から客観的な情報を得ることができます。面接だけではわからないような普段の仕事ぶりや、仕事に対する考え方、人柄についての回答をもらうことができますので、マッチ度の高い採用実現に寄与します。
また、第三者からの情報と照らし合わせることで、経歴詐称の防止や過去の職場でのトラブルの有無の把握などネガティブチェックとしても機能します。
目的別! リファレンスチェックの質問内容と回答のポイント
リファレンスチェックのメリットを最大限に得るためには、適切な質問設計が肝となります。しかし、狙った情報を得る質問を用意することは、リファレンスチェック初心者にはなかなか難しいものでしょう。
ここでは、リファレンスチェックの質問の具体的な例を目的別にご紹介するとともに、推薦者(質問を回答する方)向けに回答のポイントを解説します。
経歴を確認する質問
提出されている職務経歴書や履歴書の内容に間違いがいないかをチェックし、経歴詐称を未然に防ぎたい、という目的に対してリファレンスチェックは有効です。
以下のような質問を入れてみましょう。
・依頼者(採用候補者)の在籍期間はいつからですか?
・依頼者はどのような目標やミッションを追っていましたか?
・役職や職務内容に誤りはありませんか?
【推薦者向け】回答のポイント
これらは事実を確認するための質問ですので、事実に基づいて回答するようにしましょう。わからない場合は予想で回答をするのではなく、わからないと正直に答えるのがベストです。
勤務態度を確認するための質問
勤務態度に問題がなかったかどうかを確認するには、このような質問がおすすめです。
・遅刻や欠勤など勤怠の乱れはありましたか?
・依頼者は職場や取引先とのトラブルはありましたか?
・依頼者はどのような理由で遅刻・欠席・早退していましたか?
【推薦者向け】回答のポイント
勤務態度に問題がない場合はその旨を回答すればよいですが、些細なものでも、問題があった場合は事実を伝えるようにしましょう。入社後にトラブルになってしまうよりは、事前に企業にも実態を把握してもらい、必要なサポート体制を検討してもらうほうが、候補者本人のためになります。
現職での実績・スキルを知りたい
中途採用ではスキルの把握が重要です。具体的なエピソードを引き出せると、候補者の本当の力量が見極めやすくなります。
・依頼者があげた実績で最も評価していることを具体的に教えてください。
・依頼者があげた成果に関する、印象に残っているエピソードを教えてください。
・依頼者が社内で表彰されたことはありますか?
・依頼者が活躍していたのはどんなポジション・業務の時でしたか?
・依頼者の業務キャパシティは他の従業員と比べていかがでしたか?
【推薦者向け】回答のポイント
事実に沿って、候補者の成果とスキルの習熟度を伝達しましょう。詳しく書くことで、思いがけない点が企業に評価されることもあります。また、候補者が社内、ないしは業界内で相対的に秀でているスキルの情報は、人材としてのバリューを伝える重要な事項といえるでしょう。
人柄を理解したい
普段から候補者をよく知る人物ですから、面接だけではわからないリアルな情報が提供されると期待できます。良いことだけを回答されないように、短所にも触れるような設問があるとより効果的でしょう。
・依頼者の人柄について教えてください。また、それがわかるエピソードがあれば教えてください。
・職場の人間関係の中で依頼者はどのような役割を担うことが多い人物ですか?
・依頼者の仕事のモチベーションを左右する事柄はどんなことでしたか?
・依頼者が力を発揮できる組織の文化はどのようなものだと思いますか?
・依頼者は業務で起こったトラブルや困難にどう向き合っていましたか?
【推薦者向け】回答のポイント
リファ レンスチェックの質問はどう考える?
ここまで、一般的なリファレンスチェックの質問項目を紹介してきましたが、あくまで一般的なものであり、採用企業の方針やカルチャーによっても適切な質問は変わってきます。では、実際に自社にあった質問はどのように考えればよいのでしょうか。以下で質問作成の方法論を紹介していきます。 1.企業のビジョン・カルチャーを明確にする
まずは企業としてのビジョンやカルチャーを明確にしておくことが重要です。これにより、自社が重視しており採用候補者にも求めたい気質や人柄が言語化されるでしょう。
2.全社全体の採用基準を明確にする
ビジョンやカルチャーに紐づけて、採用候補者に求めるMUSTの要件、WANTの要件を、採用基準として明確にしましょう。「どの部署に配属されるとしても重要視したいスキル・人間性」を決めておくことは、入社後の定着率向上にも 寄与するでしょう。
3.部署・職種の採用基準を明確にする
会社全体の採用基準が決まったら、それをベースにそれぞれの部署・職種ごとの採用基準を詳細に決めていきましょう。
全社共通の採用基準より具体的に、求めるスキル水準、資格、経歴、気質などを明確化します。例えば、エンジニア採用では「特定の言語での開発歴が◯年以上」と定めたり、営業メンバーの採用では「◯◯業界でのtoB営業経験最低◯年以上」と定める、といった具合です。
複数の採用条件がある場合は、優先度を決めておくことで、リファレンスチェックの質問を考えたり、後々の選考時の判断がしやすくなります。
4.採用基準を質問に落としこみ、回答を想定する
言語化した採用基準を、具体的なリファレンスチェックの質問に落とし込みます。なるべく具体的・客観的な回答が想定できる質問になっているかチェックしましょう。また、YESかNOかで答えが完結するクローズドクエスチョン多すぎると、調査全体として十分な回答が得られない可能性があります。例えば、「依頼者は主体性のある人でしたか?」と質問するのではなく、「依頼者はチーム内ではどのような役割を担うことが多かったですか?」というようにオープンな回答が期待できる質問を織り交ぜることがポイントになります。ここまで紹介したポイントを押さえ、かつ個人情報などのリスク観点も加味して効率よくリファレンスチェックの質問表を作成することは、決して簡単な業務とは言えないでしょう。ノウハウが豊富なプロの手を借りるなどサポートを受けることも検討してみてはいかがでしょうか。▼「リファレンスチェックの質問」のより詳しい資料をダウンロードするリファレンスチェックガイドー効果的な質問例と設計の仕方ー
リファレンスチェック実施時の注意点
リファレンスチェックの実施には候補者の同意が必要
リファレンスチェックで取得する内容は個人情報にあたるので、無断で実施すると個人情報保護法に抵触します。個人情報保護法では以下のように定められており、個人情報の取得を本人の同意なく取得することを原則禁じています。
第二十条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
引用元:『個人情報の保護に関する法律』
また、取得に際して利用目的を通知することも義務付けられていますので、リファレンスチェックを行う際は「用途を明示した上で」同意を取得するようにしましょう。
合理的な理由がない内定の取り消しは違法
内定取り消しが認められるのは、内定を出した時点で知っていたら採用しなかっただろう、と社会通念上認められるような重大な理由がある場合に限られます。例えば、内定取り消しが認められる例として以下のような理由があります。
・大きな経歴詐称があった
・業務上必須である資格や業務経験を有していなかった
・前職で重大な懲戒処分を受けたことを隠していた
・過去に社会的に重大なトラブルを起こしていた
・反社会的勢力とのつながりがあった
客観的に合理的な理由がない内定取り消しは「解雇権の濫用」にあたる恐れがありますので、注意しましょう。
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