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職歴詐称は犯罪? 罰則はある?バレる原因と発見するためのポイントとは!?

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日本の多くの採用現場では、書類選考と面接という候補者の自己申告・自己発信に基づいた選考を中心に見極めが行われています。そんな中、候補者の発信する内容に「嘘」があると、企業側の判断精度は大きく狂いますが、嘘の発見は容易なものではありません。

本コラムでは、とくに見極め判断に重要な職歴に関する嘘=「職歴詐称」について詳しく説明し、その発見方法から発覚後の対処方法、防止策まで広く紹介します。

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職歴詐称とは?


職歴詐称とは、ずばり「職歴について事実と異なる申告をすること」です。採用の場面では、自身が採用されやすいように、あるいは年収交渉で有利にたつことを目的に、応募条件を満たす経験やスキルがあると見せかける行為が行われます。似た言葉では学歴に関する嘘にフォーカスした「学歴詐称」があり、職歴詐称と併せて「経歴詐称」と呼ばれています。

職歴詐称は犯罪?


意外かもしれませんが、職歴詐称を行っただけでは犯罪に問われません。しかし詐称内容によって不当に利益を得ているケースや、企業側に損害が発生する場合においては、詐欺罪、軽犯罪法違反、私文書偽造罪などの罪に問われる可能性があります。

万一こういった法的な責任問題に至らなくても、会社の就業規則に従って処分されることがあり、職歴詐称で懲戒解雇に至った事例も多くありますので、職歴詐称=犯罪ではないとはいえ、リスクの高い行為であることは間違いないでしょう。

職歴詐称がバレるとどうなる?


職歴詐称=犯罪ではありませんが、バレれば当然、リスクやデメリットが発生します。

内定取り消しや解雇等の処分対象になる


職歴詐称が入社前に発覚すれば、内定が取り消しとなることがあります。
たとえ発覚したのが入社後であっても解雇になる可能性は十分にあり、特に学歴や犯罪歴、職務経歴などを偽り、その事実を知っていたなら採用しなかったであろう「重大な経歴詐称」をしていた場合、企業において最も重い処分である懲戒解雇となることもあります。
また、即刻内定取り消しや解雇になると認められなかったとしても、重要な資料に嘘を記載したことに対する処分として訓戒、減給、左遷、などの対象になる可能性もあります。

雇用主との信頼関係が損なわれてしまう


たとえ重い処分にならなかったとしても、職歴詐称が発覚すれば上司や同僚からの信頼を失ってしまうことは避けられないでしょう。社内での立場が悪くなれば、キャリア形成にも支障をきたすかもしれません。


職歴詐称に該当するもの



このように職歴詐称は避けるべき重大な問題ですが、具体的にはどのようなものが職歴詐称にあたるのでしょうか。主な項目を6つ紹介していきます。

【職歴詐称1】在籍の有無/期間


在籍自体を大胆にも偽るケースは少数ですが存在します。本当は子会社勤務なのに親会社に在籍していたと記載する場合もこのケースに含まれます。

逆に実際に在籍はしていたが、その事実自体を選考書類に書かない、というケースもあります。転職回数を少なく見せたい、前職でのトラブルを隠したい、という思いが、この行為の背景にあると考えられます。過去すべての在籍情報を書かないことが必ず職歴詐称に該当するとは言えませんが、違和感のある空白期間については面接等で質問が及ぶでしょうし、候補者への不信感に繋がることは間違いないでしょう。

また、在籍期間を詐称する行為は、職歴詐称の中でも多いケースです。たとえば、入社後すぐに辞めてしまった会社を長期在籍と偽るケースがこれに該当します。詐称する目的としては、「履歴書の空白期間をなくすため」「転職回数を少なく見せるため」「(特定業界の)経験年数を長く見せかけるため」などが考えられます。

【職歴詐称2】業務内容


特定業務の実務経験について嘘をつくのが、業務内容に関する職歴詐称です。経験豊富を装って選考を有利に進めるのが目的なのはもちろん、中途採用では応募条件として業界経験や実務経験を定めている場合も多いので、条件を満たしていない人が応募資格があるように見せかける目的でも行われます。

【職歴詐称3】職位


業務内容の詐称に似たものでは、職位の詐称があります。部長やマネージャーなどの業務ポジションについての詐称ですが、これも同様に能力や経験があるように見せかけて選考を有利に進める目的と、そもそもの応募条件を満たしているように見せかける目的で行うものです。マネジメント職で経験者を採用する際などは注意しましょう。

【職歴詐称4】雇用形態


雇用形態の嘘をつくことも職歴詐称にあたります。より良い雇用形態で採用されるために、契約社員やパートでの雇用を「正社員だった」と偽るケースが最も多いでしょう。逆に、正社員として雇用されていた人物が「期間限定の契約社員だった」と偽ることで、退職理由について深堀りされることを避けようとするケースもあります。

【職歴詐称5】年収


好条件での雇用契約を目的として行われるものとして、年収についての詐称が挙げられます。その多くは、より高い年収で雇われるために、以前の年収を高く騙るパターンです。源泉徴収票の提出ですぐに発覚してしまうにもかかわらず、よくある職歴詐称のひとつとなっています。

職歴詐称が採用企業にもたらすデメリットは?


見抜けずに採用してしまった場合、職歴詐称が企業に与えるデメリットは複数あります。

職歴詐称者を雇うことによる機会損失


まず、職歴詐称者を採用して発生する機会損失を考えなくてはいけません。別の優秀な人材を採用する機会が失われたわけですから、これは企業にとって大きな損失です。

スキルのミスマッチ


そして、職歴詐称はポジションや職務とのミスマッチに直結する、ということも直接的なデメリットでしょう。職歴詐称している場合の多くはスキルや能力を高く見せかけているため、本当の能力と企業側の期待にはギャップが生まれます。よって、できるはずの業務ができなかったり、ポジションに対して能力が足りていないなどの問題が生じてしまいます。

職場の心理的安全性の低下


職歴詐称の発覚は、その本人のみならず、関わる従業員の士気の低下に繋がることも考えられます。職歴詐称がわかれば当然、処分や昇進難易度の上昇に繋がりますし、周囲からの信用も失うことになります。かろうじて免職とはならなくても、職場の雰囲気や文化にマイナスの影響を与えることには変わりないでしょう。

その他にも、詐称した社員を雇用し続けると会社としてのコンプライアンスを疑われる、新たな人を採用するためのコストがかかる、事実確認や処分の検討に時間がかかる、など間接的な事由を含めると、職歴詐称による悪影響は会社全体に及びます。


職歴詐称はどんなときにバレる? 発覚するポイント


「職歴詐称は黙っていればバレない」と安易に考える方がいるかもしれませんが、遅かれ早かれ、重大な詐称は基本的に企業側で検知されます。以下で詐称がバレる4つのタイミングと発見のポイントを見ていきましょう。

面接での発覚


1つは、面接の会話の中での発覚です。職務経歴書や履歴書をもとに面接で質問を進める中で面接官が感じる違和感や矛盾から事実が浮き彫りになるケースです。この際、該当の職歴詐称が「うっかり」の記載・発言だったのか、悪質なものであるかを採用担当者は候補者の反応で見極める必要があるでしょう。また少しでも違和感のある経歴に関する発言は、繰り返し聞く、エピソードを交えて話してもらう、などの会話の工夫でしっかり深堀りするべきしょう。

書類での発覚


2つ目は、提出書類から職歴詐称が発覚するケースです。源泉徴収票、退職証明書、年金手帳、雇用保険被保険者証、資格の証明書など提出物と、職歴書や面接での発言の矛盾点が浮かび上がることがあります。しかし、これらの提出物は内定後、あるいは入社後に提出を求めるケースが多く、詐称が発覚するのが遅くなる場合が多いのが実際です。経歴に関して怪しい箇所がある場合や、必須の経験事項がある場合は、選考の途中で事実確認に必要な書類を求めるのも1つの手段です。

入社後のパフォーマンスから発覚


3つ目は、詐称した人物の入社後のパフォーマンスから発覚するケースです。必要な経験を偽って入社しているわけですから、業務のクオリティから過去の経歴に疑惑の目が向けられることもままあります。

関係者経由での発覚


同じ業種の中で転職した場合は、繋がりのある人物から寄せられる情報で職歴詐称が発覚するケースもあります。前職の関係者が社内や取引先にいることはざらにあるので、実力不足で疑惑の目が向けられている人物がいた場合、関係者にヒアリングが行われて事実が明らかになるというパターンです。

入社後に関係者にヒアリングするよりも、バックグラウンドチェックリファレンスチェックを通して、選考途中で候補者の周囲の人間に事実確認した方が、事前にリスクの芽を摘むという観点から理想的です。

▼「選考途中で候補者に対する調査を行う方法」のより詳しい記事はこちら
採用調査とは? バックグラウンドチェック・リファレンスチェックとの違いなどを徹底解説
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>バックグラウンドチェックについては、こちらも参考にご覧ください
採用後トラブルを防ぐ!バックグラウンドチェックとは?


職歴詐称が発覚時の企業の対処法



実際に職歴詐称が見つかった場合、企業はどのように対処すべきでしょうか。

冷静な事実確認


まず何より重要なのは、冷静な事実確認です。「何が事実と異なっていて、本当は何が正しいのか」「過去どのように申告していたのか」を整理し、明確にします。

この時「候補者に詐称する意図があったか」も確認しておきたいポイントです。悪意があって虚偽の報告をしている場合もありますが、意図せず誤って間違った情報を伝えてしまっている可能性もあります。

そして「詐称があるとわかっていたら雇用しなかったか?」「 詐称がなかったら給与、配属、職位は変わっていたか?」も併せて検討します。これらは法的に「重大な詐称」にあたるか否かに関わるので、必ず関係各所の認識を揃えておきましょう。

対応の検討


事実確認ができたら、対応を検討します。詐称内容が犯罪になる可能性があるので、法務部署も交え、訴訟の必要性、処分の方向性を決めていきます。就業規則で定めている懲戒解雇の条件に当てはまる場合は解雇処分にすることも選択肢に入ってきます。

職歴詐称の事実はあるが、法律にも就業規則にも該当しない場合、懲戒解雇にはできないため、それ以外の対応をとっていくことになります。専門家でないと判断が難しく対応もケースバイケースですので、顧問弁護士など法律のプロに相談しながら慎重に進めましょう。

職歴詐称による被害を防ぐ方法


内定通知後に職歴詐称を理由に内定取り消しをする難しさ、あるいは、入社後に懲戒の対象とする難易度と労力を考えると、職歴詐称の被害を防ぐには内定を出す前のアクションが重要です。以下のようなポイントを参考にして、選考段階で詐称を検知できる体制を整えましょう。

確認事項を事前に整理する


面接の会話を通して候補者の発言の真偽を見極めるためには、面接実施前にどういったポイントを確認するのか整理しておくことが重要です。

書類を見た上で、採用判断にとって重要なポイントや、その中で特に確認したいことを整理しておけば、その点を抜かりなく深掘り質問することができます。詐称がある場合、具体的で細かい話になるほど矛盾点が見つかりやすくなりますので、確認事項はなるべく具体的に考えておきましょう。

リファレンスチェックを行う


リファレンスチェックは、採用候補者の人柄や仕事ぶりについて前職の上司や同僚、取引先などに情報を求めることです。欧米では95%の企業が実施する一般的な採用フローで、近年では日本でも急速に知名度を伸ばし、導入企業も増えています。

候補者の申告内容と「第三者の客観的な情報」を照らし合わせることが可能なので、事実確認の精度が大幅に上昇し、職歴詐称を見抜くには非常に有効な手段といえます。

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