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履歴書に嘘を書くと犯罪? 嘘を書いてはいけない理由と、発覚時の対応方法

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書類審査や面接を繰り返し、やっと良い人材を採用できた!と思ったら、実は履歴書に書いてある内容が嘘だった…。人事担当者なら絶対に避けたいことですが、残念ながら履歴書に嘘を書いてしまう人は少なくないのが現状です。

本コラムでは、履歴書に嘘を書いてはいけない理由、嘘があった場合に人事としてどう対処すればいいのか、また早期に検知する方法をご紹介します。

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履歴書に嘘を書くのは違法?

履歴書に嘘を書くことは法律上どのように扱われるのでしょうか。ここでは「経歴詐称」の説明とともに履歴書への虚偽記載の犯罪性を解説します。

履歴書に嘘を書くと経歴詐称になる

履歴書に嘘を書くことは、いわゆる経歴詐称に該当します。経歴詐称にあたる主な項目としては、学歴・職歴の有無や在籍期間、業務内容や職位の詐称、資格の有無、犯罪歴、病歴、年収、転職回数などが挙げられます。

また、経験がないことをあると言うことだけでなく、経験があったことを申告しないことも経歴詐称に含まれます。経歴詐称についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、チェックしてみてください。
経歴詐称に注意! 発覚後は解雇できる? 未然に被害を防ぐには?

経歴詐称が犯罪として問われる場合も

経歴詐称が、必ず犯罪になるかというと、そうではありません。提訴されるようなケースが多いとは言えませんが、詐称の程度や、詐称が引き起こした結果の重大さによっては、以下のような罪に問われる可能性があります。

軽犯罪法違反

「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称」する日常生活の秩序を乱す類の行為が、この軽犯罪法に問われます。たとえば、修士号・博士号などの学位、医師、弁護士など、法令で定められた称号を偽って相手を騙した場合に認められます。

詐欺罪

詐欺罪は、経歴詐称が金銭目的で行われ、かつその詐称により通常では発生しなかった対価を受け取っていた場合に対象となる犯罪です。

ただし、詐称して入社したのち支払われる賃金は、労働の対価だとされ、経歴を詐称したことで発生した労務以外の対価を線引きする難しさがあると言われています。過去の事例では、医師免許を持っていると偽って採用され、給料を受け取っていたことで詐欺罪が成立したケースもあります。

文書偽装の罪(私文書偽造罪・公文書偽造罪)

自分の履歴書や職務経歴書に嘘の記載をするだけでは、私文書偽装にはなりません。他人の資格の証明書や卒業証明書を自分の名前に書き換えるといった、書類の名義偽造・変造が、私文書偽造罪に問われる可能性がある行為となります。

一方、公文書偽造は、その名の通り、公的機関や公務員が作成する文書を偽造した場合に該当する犯罪です。

実際には、上記のような刑事罰ではなく、民事責任を追求されることの方が、一般的には多いでしょう。経歴詐称が起因となり会社に損害を与えたとして損害賠償が請求されたり、就業規則違反を理由に懲戒解雇になるといったケースがよくあります。


履歴書の嘘は内定取り消し・解雇の理由になるか



履歴書に嘘があった場合、内容によっては内定取り消し、または解雇の理由として認められることがあります。

解雇する理由として認められるのは、「事前に経歴詐称が分かっていれば企業が候補者を採用しなかっただろうと客観的に認められる場合」「経歴詐称が分かっていれば同一条件での雇用契約を結ばなかっただろうと客観的に認められる場合」です。

過去の判例では、高校中退を高卒と偽って採用されていたために懲戒解雇になった例や、職歴が5年あると言っていたのに実際はあまり経験がなかったために懲戒解雇になった例などがあります。

履歴書に嘘を書いてはいけない理由

このように、履歴書に嘘を書くことには大きなリスクがあります。改めて履歴書に嘘を書いてはいけない理由を整理してみましょう。

内定取り消しになる可能性

先述の通り、履歴書の内容をもとに採用が判断されることも少なくありません。履歴書の嘘が発覚すると、採用基準を満たしていないと評価され内定取り消しになる可能性があります。
また、虚偽の申請をしてしまうような人材は、入社後もモラルに反した行動を起こすと判断される可能性もあり、結果として企業に対して大きな損害を与えるリスクを鑑みて、内定取り消しとなるケースもあります。

損害賠償を請求される場合もある

経歴詐称は解雇だけではなく損害賠償の対象にもなり得ます。例えば、高卒を大卒と偽るなどの虚偽の職歴により、通常より多く給料をもらっていた場合や、経歴詐称が原因で業務上の損害が出た場合などは、企業から損害賠償請求をされる可能性があります。

社会的な信用を失う

履歴書の嘘は、社会的な信用を失い、その後のキャリアにダメージを与えるリスクを孕んでいます。嘘をつかれた企業からすれば、重要な資料に嘘を書くような人間であるとマイナスの評価をくださざるを得ません。仮に即解雇とならなかったとしても、一度付いたネガティブな評価はついて回ることになるので、重要な仕事を任せられなかったり、昇進に不利になるなど、様々な面で損をすることになります。

また、もし内定取り消しや解雇、刑事・民事での訴訟のように問題が大きくなってしまえば、受験企業だけでなくつながりのある企業にまで悪い噂が流れる可能性もあります。企業だけでなく自分の周囲の人からの個人的な信用を失うことも考えられます。

解雇につながる可能性

最も重大なケースでは、履歴書に書いた嘘が原因で解雇になる可能性があります。解雇になると認められなかったとしても、重要な資料に嘘を記載したことに対する処分として訓戒、減給、左遷、などの対象になる可能性もあります。

入社後に自分が苦労する

履歴書に嘘を書いて入社した場合、最も苦労するのは候補者本人です。多くの場合、自分をより良く見せようと嘘を書くので、採用企業としては実態よりも能力が高い人物だと期待して採用します。入社した後にそのギャップが様々な問題の原因になることがあります。

期待値が高いので、実際には経験がない業務を任されてしまったり、必要なサポートを受けられなかったりして成果が出ない、というようなことが想定されます。

また、入社後には、実際の業務の中で本当の実力はすぐに周囲に知られることになるので、履歴書や職務経歴書の内容が嘘だったのではないかという疑いが発生し、職場での人間関係の悪化や低評価につながる可能性もあります。

入社はゴールではありません。履歴書に嘘を書くと結局本人が苦労すると考えましょう。企業側としても、極力このような不幸を生まないために、選考段階で、嘘を見破る努力が必要といえるでしょう。

履歴書に嘘を書いてしまう心理



上述のとおり、履歴書に嘘を書くことは大きなリスクを孕んだ行為ですが、残念なことに嘘を書いてしまう人は少なくありません。リスクがありながらなぜ嘘を書いてしまうのでしょうか? その心理を知ることで、履歴書に嘘が書かれやすいポイントが分かってきます。

経歴を良く見せたい

最も良くある理由が、採用される確率を上げるために経歴を良く見せたい、という目的でしょう。実際より「盛った」経歴が、採用の加点要素となると思い、かつ選考中には気づかれないだろう、という甘い考えを背景に、履歴書に嘘を書くケースがほとんどだと思われます。

募集要項に当てはまっているように見せかける

そもそも応募資格を満たさない人物が、その事実を隠すために経歴を偽る、という事例も多く聞かれます。例えば、応募資格が大卒なので、実際は大学中退だが卒業したことにしてしまう、という事例などがあります。

応募条件に満たない人物が経歴を偽るわけですから、採用してしまった場合の企業へのマイナスインパクトも大きくなるのがこのケースなので、採用側としては特に注意すべきです。

年収を高く見せ、給与交渉を有利に進めたい

現職での年収を高く申告してしまう人は、給与交渉を有利に進めたい、という思惑から嘘を書いてしまうようです。実際に、採用オファーを出す際には現年収を参考に年収提示をすることが多いので、このタイプの嘘は企業の金銭的な損失につながります。

この年収についての嘘は、入社時に年金手帳や源泉徴収票を提出してもらうタイミングで発覚することが多いのですが、発覚してから改めて給与交渉をする煩雑さを考えても、企業としてはこの手の嘘を早期に検知したい、というのが本音でしょう。


履歴書の嘘はどうやって発覚する?

履歴書の嘘はどのような場面で発覚することが多いのでしょうか。よくあるケースが以下の書類の提出時です。
・源泉徴収票
・雇用保険被保険者証
・資格証明書・合格証
・年金手帳
・退職証明書
・卒業証書・成績証明書

しかし、これらの書類の提出は、採用選考の終盤で提出を求めることが多く、その時点で履歴書の嘘が判明しても、それまで該当の候補者に費やしたコストは無駄になってしまいます。また、嘘をついた候補者を選考通過させるために、別の優秀な候補者を落選させてしまっている可能性も考えると、できるだけ選考の早い段階で嘘を発見できるに越したことはありません。


履歴書の嘘が発覚したときの対処方法

では、実際履歴書に嘘が見つかってしまった場合はどう対処すればいいのでしょうか?対応は内定前なのか後なのかによって変わります。それぞれ見ていきましょう。

内定前に発覚した場合

内定前に発覚した場合は、雇用契約を結んでいないため、企業側がどう対処するかを自由に決めることができます。まずはその嘘が故意なのか、ミスによるものなのかを見極めましょう。面接の場で質問すれば、意図せぬミスなのか、故意に嘘を書いているのかは推しはかることができるでしょう。ミスは誰にでもあるものですが、故意に嘘を書いている場合、なぜ嘘を書いたのか、信頼がおける人物なのかどうかなどをよく確認したうえで採用の判断をした方が良いでしょう。

企業には採用の自由があるため、内定前であれば十分に審議して採用可否の結果を決めることができます。慌てず、候補者の意図などをよく確認して判断しましょう。

内定後に発覚した場合

内定後に発覚した場合は、内定前とは異なり、すでに雇用契約が発生している状態です。そのため、取れる選択肢は限られていきます。

まずは嘘の内容を精緻に確認しましょう。事実は何で、どういう嘘をついていたか、それによってどういった判断に違いが生まれたかを明確にします。

その内容に基づき、その嘘がなかったら雇用契約を結んでいなかった、もしくは契約の条件が変わっていたか? を検討します。場合によっては懲戒解雇、普通解雇の措置になる可能性もあるので、重大な嘘があった場合は顧問弁護士など専門家へ相談することをお勧めします。


履歴書の嘘を事前に見抜くには?



ここまで、履歴書の嘘が発覚した後の対応を説明してきましたが、前述のとおり内定後に発覚した場合の対応は難しいため、いかに早く嘘を検知し、内定前に発覚させられるかが重要になってきます。

しかし、学歴の詐称や職歴の詐称などは従来の選考プロセスでは発覚しにくいのも事実で、実際に採用後かなり後になってから問題になるケースも散見されます。そこで注目したいのが、近年日本企業でも導入が進んでいるリファレンスチェックです。

リファレンスチェックで履歴書の嘘を見抜く

リファレンスチェックとは、候補者をよく知る関係者に、仕事ぶりや人がらなどについて情報を求めることです。欧米企業では以前から通常の選考プロセスとして行われてきましたが、近年日本でもオンライン完結型のツールが増え、導入企業が増えています。

リファレンスチェックでは、任意の推薦者に質問を設定して回答をもらうことができるため、経歴が提出書類と相違がないか、申告しているスキル・役職は実態どおりか、などを確認することができます。

実際に、リファレンスチェックサービスASHIATOがリファレンスチェック導入企業に実施したアンケートでは『リファレンスチェックにより、60.0%の企業が職務経歴や実績の虚偽が発覚している』という結果になりました。

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