モンスター社員とは
「モンスター社員」という言葉に正式な定義はありませんが、一般的には「勤務態度や社内外とのコミュニケーションにおいて、一般常識から逸脱した行動・言動が目立つ社員」のことを言います。
そのような行動・言動で職務遂行に支障をきたしたり、職場の風紀を乱したりするモンスター社員は、企業に対して損害を与えることもあり、経営者や人事担当者の頭を悩ます存在です。
モンスター社員のタイプと具体例
モンスター社員の4つの具体例で解説します。
欠勤・離席が多い
不必要に「欠勤・離席が多い」タイプのモンスター社員は、職場での「時間厳守」や「職務専念義務」への意識がない、または薄れていることからそのよう な行動を繰り返していると考えられます。
社内のルールを超えた欠勤や、タバコ休憩などと称して離席が多い社員の存在は、他の社員の不満を生んだり、勤務シフトや取引先との関係に悪影響を与えるケースもあります。
能力不足
「能力不足」のモンスター社員は、そもそもの採用時点でその職場に適した能力を有していない場合もありますし、基礎的な能力はあるものの、教育や指示を素直に受け取ることができず、職務遂行に問題が生じる場合もあります。
適切な社内教育を実施していても「ミスや不注意が多い」「自分のこだわりを主張し、融通が利かない」などの傾向により、本人や同僚の業務に支障をきたします。
協調性がない
「協調性がない」モンスター社員は「コミュニケーション不足」や「自分の見解が正しいと思い込み、業務命令に従わない」などの特徴があります。
また、問題の発生を周囲の環境やメンバーのせいにする「他責」の傾向が強いことも多くあります。他責思考によって本人からの正確な情報共有がされない場合、原因究明や対策検 討に遅れが生じ、あらゆる課題の早期解決が阻まれます。
家族が介入する
本人ではなく、家族が昇進や給料に意見したり、職場の環境や仕事内容に口出しをすることもあります。本人が家族を頼っている場合や、本人の意思とは関係なく家族が介入している場合が考えられますので、本人に確認しながら対応する必要があります。
ハラスメントを繰り返す
パワハラやセクハラといった「ハラスメントを繰り返す」モンスター社員は、他責思考によって相手を過剰に攻撃したり、立場を前提に「自分は許される」という自信過剰な心理を背景にハラスメントを繰り返します。
ハラスメントを受けた社員や周囲の社員が精神的に参ってしまい、退職につながるケースもあるなど、この問題は深刻です。
「逆パワハラ」という言葉も
最近は部下から上司へのハラスメントを指す「逆パワハラ」という言葉もあります。他責思考や一般常識の欠如から「自分の問題を上司の能力不足のせいにする」、「業務上のまっとうな注意をパワハラとして人事に訴える」などの不適切なアクションが逆パラハラと呼ばれています。
厚生労働省のワーキング・グループが整理・提案した「職場のパワーハラスメント」にあたる行為には、逆パワハラや同僚間でのハラスメントも含まれています。
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※ 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。
引用元『厚生労働省 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』
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その他
業務中の居眠り、私用のスマートフォンの頻繁な利用、執拗なおしゃべり、情緒不安定、素行不良など
また、ここまで述べたいくつかのタイプを持ち合わせたモンスター社員も少なくありません。
モンスター社員が生まれる原因
なぜモンスター社員が生まれるのでしょうか? 本人の問題もありますが、職場環境によるものも考えられます。
本人の特性
自己中心的である、攻撃性があるなど、生まれ持った本人の特性が原因のパターンです。「採用時に見抜けていれば・・」と考えてしまうこともあるかもしれません。
企業風土
”問題のある”企業風土が原因となることもあります。社員の問題行動への指導を怠りやり過ごしてしまうような環境や、「営業成績さえ良ければ他の問題には目をつぶる」といった、 企業の一体感を軽視した風土がある会社は要注意です。
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自社に合わないカルチャーミスマッチ
採用基準があいまいなことで、人柄やスキルの面で自社に合わない人材を採用してしまっているパターン。あるいは、社員の意見を吸い上げる仕組み(社内アンケートや定期面談など)が無く、不満や問題が長期間放置されたことによる意欲低下で年次を重ねてモンスター社員になってしまうパターンもあります。
モンスター社員を放置するリスク
モンスター社員を放置することは、様々なリスクを引き起こす恐れがあります。
職場環境の悪化
モンスター社員が企業にもたらす悪影響としてまず挙げられるのは、社内への影響です。社員の問題行動によって業務効率や職場の雰囲気が悪化したり、規律が乱れて上司の業務命令に従わない社員が増加するなどのリスクがあります。