反社チェックとは
反社チェックの方法
反社チェックの実施にはいくつかの選択肢があります。以下で代表的な3つのパターンをご紹介します。
1.社内の担当者が実施する
法務部や人事部など社内リソースを使って以下のような調査を行います。
公知情報の検索
一般に公開されている情報(公知情報)を検索して、対象について調べる方法です。具体的には、インターネット検索や新聞のデータベースを「暴力団、逮捕、違反、不正、検挙、摘発、漏洩、横領、粉飾、脱税、行政処分、行政指導」など犯罪性の高いワードと対象を合わせて検索し、気になる言及が存在するかをチェックします。
企業情報の確認
また、調査対象が企業であれば、法務局への申請によって閲覧できる商業登記を確認したり、国税庁の法人番号公表サイト(商号や名称、本店所在地または事業所の所在地から、法人番号を検索可能)で法人登記を検索し、公開情報との齟齬がないかを確認する方法があります。
業界団体に照会
自社が所属する業界によっては、業界団体が独自の反社のデータベースを保有しており、照会可能なこともあります(全国銀行協会、日本証券業協会、不動産流通推進センターなど)。
行政機関に問い合わせる
差し迫った反社関連のリスクがある場合は、暴力追放運動推進センター(暴追センター)や警察組織に直接相談する選択肢もあります。問い合わせに際しては、「確認を求める契約相手の氏名、生年月日(可能であれば住所)が分かる資料」「暴力団排除の特約を定めた契約関係資料、契約相手が暴力団関係者の疑いがあると判断した資料(理由)」(警視庁ウェブサイト「東京都暴力団排除条例 Q&A」)を準備するとスムーズでしょう。
2.専門の調査会社へ依頼する
反社チェックを専門にする調査会社や興信所へ調査代行を依頼する選択肢もあります。会社によっては反社チェックにとどまらない身辺調査を併せて行っているところもあります。調査会社によっては、独自の反社データベースを保有していたり、対象者や対象の企業の周辺への聞き込みなど現場調査に強みがある場合もあります。
3.反社チェックツールを使用する
反社チェックツールを導入し、調査に関わるコストを効率化するという選択肢が昨今注目されています。ツールには、導入した企業内で行う反社チェックの検索業務を補助するタイプや、検索業務ごと請け負ってくれるタイプなど様々な種類があります。
反社チェックのつまづきポイント
反社チェックを行う際によく問題になる3つの課題についてご紹介します。 1.調査方法がわからない
自社でチェックする場合、そもそも適正な調査方法がわからない、という声がよく聞かれます。Google検索を使ってインターネット上で調べるにも、どういった検索ワードで調べればいいのか? 検索結果は信用でき る情報か? など不安がつきまといます。
また、関係者への聞き込みや現地調査などはノウハウがない場合に実行のハードルが高く、かつ調査自体が倫理的・法的にNGな可能性もあり、簡単には実施できません。このような背景から、自社リソース単独での反社チェックの難易度は高くなっています。
2.費用・時間・手間のコストがかかる
自社の組織内で反社チェックを行った場合、もう一つ問題になるのが費用・時間・手間といったコストの問題です。
情報の裏取りやレポーティングまで行うと、単純に調査自体に多くの手間と時間がかかりますし、担当する社員の人件費も鑑みると、チェック対象が多くなるにつれて自社完結での実施の難易度が高くなってきます。
また、調査会社へ依頼する場合は、会社にもよりますが相場は1件当たり10万円以上から。調査期間はデータチェックで数営業日、実働調査も含める場合は数週間かかることが多くなっており、決して低いコストとは言えません。
3.調査会社の信頼性確認が難しい
また、調査会社の選定も難しい課題です。調査内容が非常にセンシティブな内容かつ、結果が契約や雇用に関わる重大な調査なので、信頼できる調査会社へ依頼することが必要です。
認可を受けた調査会社は法律の範囲内でバックグラウンドチェックを行うことが許されていますが、調査方法や個人情報の扱いにおいて、法からの逸脱や漏洩のリスクを孕んでいることを依頼側として認識しておくべきでしょう。仮に、反社チェックを委託している調査会社に違法行為があった場合、依頼元の会社に責任の目がいき、社会的信用を失いかねません。
反社チェックツールでできること&相場
上で述べたような反社チェック導入のつまづきを解消してくれるのが、昨今広がりを見せる、テクノロジーを活用した反社チェックツールです。以下で、いわゆる反社チェックツールの強みをご紹介します。
圧倒的に「手間」が省ける
調べたい個人名や社名で検索するだけで、過去のインターネット記事などを参照し、反社に関する情報を表示してくれます。反社チェックに特化したツールなので、通常のインターネット検索と異なり「検索ワードの選定に時間かからない」「関連性の低い情報を検知して除外してくれる」といった効率化に関するメリットが多くあります。
どのような情報を参照してくれるかはツールによって異なっており、新聞記事やインターネット記事のみが検索対象のサービスや、提携する調査会社のデータベースも参照できるものなど多岐に渡ります。
また、API連携によって自社の顧客管理システムと連携が容易なツールもあり、導入の容易さ、という観点でも優れたツールが多くなっています。
費用・時間のコストが少ない
主に「検索1件当たり◯円」という従量課金のサービスと、月額定額のサービスに分かれます。月額の場合は月数千円~10万円を超えるものまで幅があり、従量課金であればプランによっては1回100円という安価なツールもあります。調査会社への委託や完全自社完結での調査と比較して、大幅に費用を抑えられる場合が多いでしょう。
反社チェックツールを比較するポイント
反社チェックツール導入を検討している際、具体的にどのような点を注意して選定すればよいのでしょうか。ここでは、具体的にツールを選ぶ際にチェックしたいポイントを紹介します。 機能
導入検討時には、機能として以下の観点を確認するのが良いでしょう。
情報源
検討しているツールが、以下のような情報源の中で、どの範囲の情報を検索できるのかを事前に把握しておくべきでしょう。自社の反社チェックが個人向けなのか、取引企業向けなのか、といった都合によっても、相性の良い情報源は変わってくるはずです。
・新聞・インターネット等にで公に公開されている情報(公知情報)
・個人的なブログや掲示板などの風評情報
・政府・国際機関の制裁リスト
・与信情報
・独自の反社データベース
効率化機能
以下のような、反社チェックツールの肝である効率化面の機能がどれだけ充実しているかも注目したいポイントです。
・反社チェックとは関係のない情報を除外する機能
・同系統の記事をグルーピングして閲覧性を高める機能
・2回目以降の検索時、前回との差分を検索対象とする機能
・検索ワードのサジェスト機能
・名刺をスキャンするだけでチェックができる機能
・証跡の保存に関する便利機能
連携
CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)といったシステムを既に導入している企業においては、それらのサービスとの連携面もチェックしたいポイントです。提供されるAPIの内容やシステム連携の制約について事前に把握した上で導入を進めましょう。
費用
ほとんどの反社チェックツールの費用は利用頻度に応じた従量課金制ですので、まずは検索1件当たりの金額を比較してみましょう。基本的に、参照できるデータが多いほうが単価は高 くなっています。
サービスによっては導入初期費用、月額の基本料金がかかってきますので、こちらもチェックしましょう。合計でどのくらいの費用感になるかは、使用する用途や頻度によって大きく異なります。自社の状況に合わせた見積もりをもらうとよいでしょう。
ツールのセキュリティ、提供会社の信頼性
ツールの信頼性もチェックしたいポイントです。契約者数はどのくらいいるか、ツール提供歴は長いか、サービス提供会社は上場企業であるか、プライバシーマークのような第三者認証を取得しているか、などの観点でチェックするとよいでしょう。
採用で反社チェックツールを活用する際の留意点
採用ではリファレンスチェックと反社チェックツールの併用が有効
「リファレンスチェック」とは「採用候補者の前職(現職)の上司や部下、同僚などに、本人の実績や仕事ぶり、人柄について問い合わせること」で、第三者からの客観的な情報を取得することで候補者についてより深く知ることができる採用手法です。最近では、WEB上で採用候補者と推薦者(リファレンスチェックの回答者)へのやりとりが完結するオンライン型のツールを導入する国内企業が急速に増加しています。反社チェックツールと同時にリファレンスチェックを実施することで、反社チェックで引っかかった情報に関して関係者の生の声を確認することができますし、反社に関わらない採用候補者の定性情報も取得できるため、より複合的な観点で採用の見極めが可能です。 反社チェックもできるリファレンスチェックサービスの『ASHIATO(アシアト)』