ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、「企業が採用したい人材に直接アプローチする 採用手法」のことです。和製英語であり、英語では同様の採用手法を「ダイレクトソーシング(Direct Sourcing)」といいます。
従来の採用手法においては、企業は採用メディアに求人を掲載した後や、ヘッドハンターやエージェントに人材紹介を依頼した後は、基本的に「待ち」の姿勢をとるしかありませんでした。一方で、企業が採用したいと考える候補者に、直接アプローチするダイレクトリクルーティングは「攻め」の採用といえます。
また、米国でいうと最大手LinkedIn社が保有するような、人材データベースに直接アクセスして、転職意向に関わらず求める人材をスカウトする「データベース活用」も、昨今のダイレクトリクルーティングの特徴となっています。
ダイレクトリクルーティングが注目される背景
ダイレクトリクルーティングに注目が集まる主な背景を3つご紹介します。
人材獲得競争の激化
企業が仲介会社を使わずに採用する手法自体は古くからありますが、昨今のHR領域でいわれる、IT活用や緻密な制度設計に基づくダイレクトリクルーティングが広がったのは2000年代以降、GoogleやFacebookといった米国のIT企業の取り組みに端を発します。
洋の東西を問わず、IT業界の人材市場 は優秀な人材にとって「売り手」市場であり、当たり前のように転職が繰り返されます。このような環境下で、とくに優秀層は従来の求人サイトやヘンドハンティングの活用よりも、自分のことを高く評価してくれる魅力的な会社からの直接的なリクルーティングで転職を決意するケースが増えていきました。この潮流に対応する形で、企業側も直接採用の手段を洗練させていき、近年では日本のIT・非IT問わない幅広い企業にまで広がる採用手段になっています。
採用潜在層へのアプローチの必要性
終身雇用・新卒一括採用といった旧来的な雇用慣行が徐々に崩壊する日本でも、キャリアの中で複数回転職することは一般的になりつつあります。この人材の流動化が採用戦略の中で、「今すぐ転職したい転職顕在層」だけでなく、「今ではないが、いつか転職したい転職潜在層」へのアプローチの重要性を上げています。このような状況においては、転職潜在層に頻度高く接触し、質の高いコミュニケーションを実行することが求められます。
IT化、ツールの発展
ダイレクトリクルーティングを支えるITシステムや採用ツールが充実してきたことも、その発展に寄与しています。前述のLinkedInのようなSNSや、ダイレクトリクルーティングを前提とした企業と候補者のマッチングサービスなど、データベーステクノロジー の進化が、よりダイレクトリクルーティングがしやすい環境を作っています。
たとえばSNSを見れば、ターゲット人材の人柄や考え方などの情報を取得することができますし、SNSのつながりを利用して社員からアプローチしてもらうことも可能です。この情報化の流れはますます加速していくことが予想されます。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングの手法として、以下のようなものがあります。昨今では、豊富な人材データベースから、採用希望人数に合わせてスカウトのアクションをとれるダイレクトリクルーティングサービスへの注目が高まっています。・自社の社員が知人を採用候補者として紹介するリファラル採用・各種SNSを通じて候補人材にアプローチするSNS採用・イベント開催から採用に繋げる手法・ダイレクトリクルーティン グサービスの活用ダイレクトリクルーティングサービスのメリットとしては、以下が挙げられます。 潜在層へのアプローチが可能
自社を全く知らない、または、今のところ志望していないような潜在層へのアプローチが可能です。他の手法では見つけることが出来なかった人材の採用チャンスがあります。
マッチ度が高い人材と出会える
候補者から企業にアプローチする他の採用方法の場合、企業から見るとマッチ度が高くない人材から応募が来ることもありますが、ダイレクトリクルーティングの場合は企業側が主体的に人材を選び、アプローチすることができます。
採用コストのコントロールが容易
ダイレクトリクルーティングサービスの1人あたりの費用は、人材紹介サービスと比べると安価な場合があります。また、自社が主体となってスカウトのアクションを行うので、従量課金型・成果報酬型のサービスであれば、コストのコントロールが容易なことも特徴と言えます。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングでは、 自社の担当者が数多くの人材情報に直接目を通してマッチしそうな人材を選ぶために、業務負荷が増える可能性があります。マッチする人材を見極める力を伸ばしたり、スカウトメールの返信率を向上させるためには、ある程度数をこなさなければいけません。
さらに、採用のプロである求人会社のエージェントなどが間に入らないため、担当者の主観で採用候補者をポジティブに評価してしまう認知バイアスの罠も潜んでいます。「やっと見つけたマッチ度の高い人材に、スカウトメッセージの返信をもらい面接実施までこぎつけた」という状況が、見極めから客観性を損なう遠因になり得ます。
必要に応じて適性検査や、候補者の関係者にヒアリングするリファレンスチェックなど他の採用手法を組み合わせることで、採用の客観性を担保できるでしょう。
既存の採用方法との違いや使い分けは?
ダイレクトリクルーティングと「求人メディアへの掲載」「人材紹介(転職エージェントなど)」といった既存の採用方法では、アプローチ出来る人材の層や数、費用や労力のコストが異なります。
例えば、中途の管理職採用や新卒の幹部候補採用はダイレクトリクルーティングや人材紹介サービスを利用し、採用数の多い通常の新卒採用は母集団形成のために求人メディアを利用する、といった使い分けも考えられます。しかし、どちらか一方の採用手法に絞らず、幅広いアプローチを同時に行う、という選択もまた十分 有効でしょう。
主なサービスの課金形態と料金目安
ダイレクトリクルーティングサービスでかかる費用としては主に以下の3つがあります。・初期費用・サービス利用料・成功報酬それぞれの金額はサービスによって大きく異なり、定額のサービス利用料のみがかかるものや、反対に成功報酬のみがかかるものもあります。具体的な金額としては、1人あたりの採用にかかる費用は60万円程度~のサービスが多く、安価なサービスではそれ以下のものもありますが、高めのサービスでは百数十万円~となっています。また、スカウトメールの送付可能数は契約プランごとに「○○通まで」と制限があることが多くなっています。 ダイレクトリクルーティングは新卒採用に使える?
ダイレクトリクルーティングと聞くと中途採用の イメージが強いかもしれませんが、新卒採用のためのサービスも多数あります。知名度によらず、早期に優秀な学生や専門性の高い学生にアプローチできるなどの理由から、中小企業から大手企業まで広く利用されています。サービスごとに特長がありますが、例えば、エン・ジャパンの新卒学生用向け逆求人型スカウトサイト「iroots(アイルーツ)」の場合、利用企業が独自の選定軸に基づく完全審査制であることや、最大6000字まで記入できる極めて詳細な登録者プロフィールなどが特長です。 ダイレクトリクルーティングは中途採用に使える?
中途採用にももちろん、ダイレクトリクルーティングが使えます。中途採用の場合は職種や年収、年代などでサービスが細かく分かれています。導入時はコストや使いやすさだけでなく、自社が採用したい人材が多く利用しているサービスを比較検討する必要があります。エン・ジャパンの若手ハイキャリア向け転職サイト「AMBI(アンビ)」や30代・40代のミドル世代専用の転職サイト「ミドルの転職」のように、候補者と企業の双方からアプローチできる仕組みがあり「待ちと攻めの採用」を同時に進めるこ とができるダイレクトリクルーティングサービスもあります。 ダイレクトリクルーティング成功のコツ
ダイレクトリクルーティングを成功させるためには「担当者を置いて長期的に行うこと」「候補者に効果的にアピールするため、経営陣や優秀な社員が採用フローに関わること」「情報を一元管理し、改善に役立てること」などが重要です。
また、数多くのダイレクトリクルーティングサービスがある中で、自社の状況に適したサービスを選択するのも成功のための大事なポイントです。「登録者層(職種、年収、年代など)」「登録会員数」「送付可能なスカウトメール通数」「料金体系」などを比較検討し、募集要件にマッチした人材が登録しており、採用体制に適したサービス・料金体系のダイレクトリクルーティングサービスを選択しましょう。
リファレンスチェックとの併用でより効果的に
リファレンスチェックは、エージェントを介さないこ とで客観性を失うリスクがあるダイレクトリクルーティングと非常に相性が良い採用手法です。「リファレンスチェック」とは、「採用候補者の前職(現職)の関係者に本人の経歴・実績や人柄、仕事ぶりなどを問い合わせること」です。候補者をよく知る人物から客観的な情報を得ることで見極め精度を上げられますし、候補者のネガティブチェックとしても機能します。また、リファレンスチェックは「調査会社に依頼する」「自社で行う」「オンラインのリファレンスチェックサービスを利用する」という3つの方法がありますが、既存の採用フローに容易に組み込むことができるオンライン完結型サービスに昨今注目が集まっています。▼関連記事「リファレンスチェック」に関する詳しい記事はこちら
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