「リファレンスチェック」とは
そもそもリファレンスチェックとは、どのような採用手法なのでしょうか? よく聞く似たような言葉「バックグラウンドチェック」との違いも合わせて解説します。
リファレンスチェックの概要
採用選考における「リファレンスチェック」とは「採用候補者をよく知る推薦者(現職や前職の上司、部下、同僚、取引先など)に候補 者の経歴や実績、働きぶり、人柄などについて問い合わせること」です。
一般的には、書類選考と面接が併用され、より十分な情報をもって候補者の見極めを行う助けになります。
リファレンスチェックとバックグラウンドチェックの違い
リファレンスチェックとよく似た調査に「バックグラウンドチェック」がありますが、こちらは、いわゆる採用候補者の背景調査のことで、「雇用調査」や「採用調査」と言い換えることもできます。
主な調査内容としては「候補者の学歴・職歴や身辺について、自己申告した内容と矛盾や問題がないか、第三者への調査や候補者本人による証拠書類提出によって確認すること」です。
比較的ネガティブチェックの要素が強いバックグラウンドチェックに対して、リファレンスチェックは候補者のポジティブな面も同等に評価する傾向が強いと言えます。採用決定後のオンボーディングにも活用できる情報も多く得られるため、昨今は日本企業でも前向きな取り組みとしてリファレンスチェックの採用が増えています。
※リファレンスチェックとバックグラウンドチェ ックの違い、の詳細は以下コラムをご覧ください。
リファレンスチェック実施の流れ
以下は、リファレンスチェックの実施の流れをエン・ジャパンのリファレンスチェックサービス「ASHIATO」を例にとってご紹介します。オンラインで完結するサービスの場合は、下記の流れが一般的です。
①企業が採用候補者へ依頼
リファレンスチェックを実施するには、採用候補者の同意が必ず必要です。実施の同意を取得してから依頼しましょう。またよくある質問ですが、候補者がリファレンスチェックの実施を断ること自体に、違法性を含めて問題はありません。リファレンスチェックの拒否は、一つの意思表示にはなりますが、それをどう評価するかは企業ごとの個別の判断になります。
②候補者から推薦者へレポート依頼
推薦者(レポートの回答者)は企業が指定することが多いです。上司・同僚・部下など、回答してほしい人の関係性を指定します。
③推薦者が回答
推薦者がアンケートを回答します。
⓸実施企業がレポートを確認・活用
実施企業が推薦者からのアンケート回答を確認し、採用選考や入社後のマネジメントに活用します。
リファレンスチェックで確認する項目
リファレンスチェックの質問内容は、企業によって異なりますが、主に以下のような内容を確認します。
・学歴や職歴
・職務内容や実績・役割・評価
・勤怠状況
・人柄、性格
リファレンスチェックが原 因で不採用の判断をすることはある?
結論として、リファレンスチェックの結果が不採用に直結するケースは存在します。また、直結しなくとも、面接では知り得なかった重要な情報は合否に少なからず影響を与えるでしょう。ここでは、どのような場合、リファレンスチェックの内容が不採用の原因になるか、代表的な5つのケースをご紹介します。 リファレンスチェックで不採用になるケース①:経歴詐称
一発アウトになり得るのが、経歴詐称です。以下のような経歴を、書類や面接で詐称していたことがわかれば、その人物が信用できないと判断せざるを得なくなるでしょう。
・学歴
・職歴
・転職回数・在籍期間
・雇用形態
・業務内容・職位
・実績・受賞歴
・年収
・資格・免許
もちろん、詐称の程度や、意図のある詐称か否か、詐称発覚後の本人の態度、等に鑑みて採用選考に残す判断もできますが、結果的に嘘をついていた事実は、重く受け止められるべきでしょう。
※経歴詐称についての詳細は、以下コラムをご覧ください。
リファレンスチェックで不採用になるケース②:面接での発言と事実の乖離
一般的に一次面接の後など、採用の途中に組み込まれることが多いリファレンスチェックでは、候補者が面接で話した内容と、リファレンスチェックで回答者(推薦者)から得た情報に乖離が見受けられる場合があります。
「詐称」とまでは言わないが、「盛りすぎ」というケースがこれです。もちろん、多少の脚色は許容されるかもしれませんが、発 言と事実の乖離が大きすぎる場合は落選の原因になり得ます。
たとえば、実際には深く関与していないプロジェクトに携わっていたと答えるケースや、上司・部下・同僚との関係値が本人の認識と大きく異なる場合、自己PRの内容が客観的に評価されていない場合、などがあります。
もちろん、面接で自分をよく見せたいと思う気持ちから大げさに話すのは、ある程度は仕方がないでしょう。しかし、このような認知のズレを許容できるか否か、採用担当者は自社の企業カルチャーと照らしあわせて、慎重に判断する必要があります。
リファレンスチェックで不採用になるケース ③:前職での問題行動
前職での問題行動が発覚した場合も、不採用の原因になり得ます。刑法に反するような重大な問題はもちろんのこと、人間関係や契約に付随する民事的な争いへの関与も、問題と考えることができます。
本人に非があったか否かももちろん重要ですし、その事実をリファレンスチェックまでの面接や書類で正しく採用候補企業に伝えていたか、という点にも注目したいです。
もし、問題行動は存在したが反 省の色がない場合は、いくらスキルマッチ度が高い場合でも、採用を見送る判断に繋がるでしょう。
リファレンスチェックで不採用になるケース④:スキルのミスマッチ
明確に募集要件に満たないスキルセットの人物だと判明した場合も、不採用となる場合が多いでしょう。
「仕事力」の多くは、目に見える客観的なデータとして表現できませんが、「実際に仕事で深く候補者と関わった人物の生の声が集まる」リファレンスチェックは、スキルの見極めに際して客観性を担保する点で大いに役立ちます。
「◯◯の業務ができる」「◯◯の経験がある」といった定性的な候補者からの情報を鵜呑みにせず、できるだけ具体的な情報を集めて判断を下すべきでしょう。
リファレンスチェックで不採用になるケース⑤:カルチャーミスマッチ
スキルのマッチ度は高い人材でも、企業文化・カルチャーとのマッチ度が低いとわかれば、不採用となる可能性があります。
昨今、企業の存在意義、目的を重要視した経営 「パーパス経営」が話題になっていることからもわかるように、会社のビジョン、カルチャーへの共感の有無は、経営及び人事戦略において非常に重要な要素となっています。
「良い人なんだけど自社の雰囲気とは合わない」というケースも多々あります。リファレンスチェックで得られた人柄・コミュニケーションスタイルについての客観的な情報を参考に、カルチャーフィット度合いを冷静に判断したいところです。
※カルチャーフィットについての詳細は、以下コラムをご覧ください。
リファレンスチェックで採用判断を下す際に留意すべきこと
当然のことですが、採用するかしないか、は企業側が判断できます。しかし、内定を出した後にそれを取り消すことは、非常にハードルが高い選択です。法律的に、内定は条件付きの労働契約の成立と見なされ、合理的な理由がない場合は取り消しができません。リファレンスチェックを合否判断に使う場合は、内定前に実施すべきでしょう。※内定取り消しについての詳細は、以下コラムをご覧ください。リファレンスチェック後の内定取り消しは法律的に有効? リファレンスチェック導入をご検討なら『ASHIATO(アシアト)』