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離職率の低い業界・企業の特徴とは? 社員が会社に残る理由

お役立ちコンテンツ公開日最終更新日


転職が一般化するのに伴って、必ずしも転職市場は企業優位なものではなく、求職者が企業を見極める、という考え方が強まっています。いわゆるブラック企業が避けられ、働きやすい企業に人気が集中する傾向もあります。

また、企業のHR情報を公開するなど、採用の透明性が求められる社会背景もあります。たとえば、『中途採用比率の公表義務化 』がその一つです。この法律は政府が行う雇用制度改革の一環で、従業員が301人以上の大企業に中途採用比率の公表を義務化するものであり、人事情報の透明化が労働者の働きやすさに繋がるという考え方が前提になっています。

本コラムでは、このような外部環境の中で、離職率の低い企業の特徴や、離職率を低く保つための対策を、日本企業の離職率の現状とともにご紹介します。



離職率の定義とは?

離職率とは、「一定期間のうちに、どれだけの割合の人が離職したか」を示す指標です。

一定期間がいつからいつまでなのか、厳密に定められてはいませんが、一般的には期初から期末までの1年間の離職者の割合のことを指します。また、「新卒3年以内」も調査対象の期間としてよく用いられる指標です。

離職率は、法律で定められた計算方法がなく、企業の目的によって計算の基準は異なります。厚生労働省の雇用動向調査の場合、次の計算式によって離職率を算出しています。

離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)
引用元:『厚生労働省 雇用動向調査:調査の結果 用語の解説』

例)上記の式に当てはめて計算すると、「1月1日現在の常用労働者数が1000人の会社で1年間に30名が離職した」場合

30 ÷ 1000 × 100(%) = 3%

という計算になり、その年の離職率は「3%」とわかります。


離職率が低いメリット・デメリット

離職率は企業や業界、社会の状況によって大きく変化します。一般的に、離職率が低いことは良いこととして捉えられていますが、離職率が低いことにもメリット・デメリットの両面が存在します。

メリット

離職率が低いことのメリットとして、社員が辞めないため、採用コストや教育コストの削減になること、が挙げられます。また、社員の定着率が高く、求職者からは働きやすい会社として認識してもらうことが可能です。

デメリット

一方で、離職率が低いことで、社内の人材の流動性が低くなり、昇進の機会が得にくくなるケースが挙げられます。スキルアップや資格取得をしたとしても昇進・昇給が叶わない場合、社員のモチベーションが低下してしまう恐れもあります。

離職率が低いことのメリット・デメリットを理解した上で、会社の状況に応じて、適切な離職率であるか否かを見極める必要があります。


日本全体での離職率の平均と推移

厚生労働省が出している『令和2年雇用動向調査』のデータによれば、2020年における日本の全常用労働者の平均離職率は14.2%です。近年の離職率は15%前後で推移していることが見て取れます。しかしながら、2020年はコロナウイルス感染症の蔓延が大きな影響を与え、9年ぶりに離職率が入職率を上回りました。


また、性別ごとの離職率を見ると、2020年の男性の離職率が12.8%である一方、女性の離職率は15.9%と、男性に比べて約1.2倍高い離職率となっています。女性は、20代後半から30代にかけて結婚、出産・育児を理由に一度職を辞めざるを得ないケースが多い、という社会状況がこの数値の背景にあると考えられます。



離職率が低い産業、企業とは

ここでは離職率が低い産業、企業について、データをもとに解説します。

産業別の離職率

厚生労働省が実施した、雇用動向調査の産業別入職率・離職率のデータを見ると、「鉱業、採石業、砂利採取業」「金融業、保険業」「複合サービス事業(郵便局や協同組合等)」といった、比較的経営が安定している社会インフラ系の産業で離職率が低くなる傾向が見てとれます。

●離職率の低い業界TOP3
・鉱業、採石業、砂利採取業:5.6%
・金融業、保険業:7.7%
・複合サービス事業:7.8%

出典:『令和2年雇用動向調査: 産業別の入職と離職』(厚生労働省)

離職率の低い企業の傾向

東洋経済『CSR企業総覧』編集部の発表する『離職する人が少ない大企業ランキング』を見ると、上位には、製造業系の企業が多いことがわかります。いわゆる大手メーカーは市場におけるシェア率が高い商品の製造・加工をしているケースが多く、会社が経営的に安定している、という点が離職率を下げる一因になっていると考えられます。

また、経営的な安定の上で、性別を問わない育児休業取得のハードルが低かったり、社内でのキャリアステップの選択肢が多様で成長実感が絶えず感じられるような仕組みが充実しているなど、いわゆる「働きやすさ」が総合的に高いことが窺えます。


離職率が低い会社に共通するポイントと事例

離職率が低い会社にはどのような共通点があるのでしょうか。ここでは、具体的な事例を交えながら紹介していきます。

給料が高水準で残業が少ない

給料水準が高いことは、離職率を低くする大きな要因となります。仕事内容や成果に見合った給料が支払われることで、社員の満足度が向上し、継続的に働いてもらえる可能性が高まります。

また、残業時間が少なく、ワークライフバランスがとりやすい環境であることも、社員のモチベーション維持になります。

福利厚生が充実し、産休・育休が取りやすい

福利厚生を充実させたり、対象の幅を広げることにより、どの世代の社員でも安心して働ける環境になります。また、産休や育休を取りやすくし、女性に長く働き続けてもらうことは、結果として会社全体の離職率の低下にも繋がるでしょう。

社員の子育て支援が充実した企業を判断する1つの指標として、「くるみんマーク」があります。子育てと仕事を両立するための行動計画の策定、実施、目標達成を行い、一定の基準をクリアした企業は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定を受けられ、その証が「くるみんマーク」です。くるみんマークによって、求職者に対して子育て支援が充実していることをわかりやすくアピールできるでしょう。

また、令和9年3月末までにくるみんマークの認定を受けた中小企業に助成金が支給されることもあり、この制度にますます注目が集まっています。

適切な評価制度がある

評価制度が整備されていることは、社員が長期的なキャリアプランを描く上でも重要です。また、評価の仕組みを公開することで、現状の待遇に対する納得感が得られ、社員はより意欲的に仕事に取り組める、と考えられます。

新しい評価制度を導入した事例として、ソニーの取り組みを紹介します。ソニーは 2015年から全社員を対象に、過去の実績や勤続年数に関係なく、現在の役割に応じて格付けするジョブグレード制度(等級制度)を導入しています。個人の専門性を発揮する「I等級群」と、メンバーを率いて組織運営を行う「M等級群」の2つに分かれており、役割が変わればそれに応じてグレードも等級群も変わるというシステムです。この制度により、年功要素が完全に廃止され、4割を占めていた管理職の比率も半分程度に減少したそうです。

教育制度や成長環境が整っている

社員が高いモチベーションを維持しながら長く働くためには、教育制度や成長できる環境の整備が求められます。新卒社員の教育はもちろん、中途採用やシニア層へのアプローチも行うことで、年齢や立場が変わっても前向きに働くことができるでしょう。

例えば、大手化学メーカーの信越ポリマーでは、先輩社員が指導員となり新入社員にマンツーマンの教育を行うチューター制度を取り入れています。新入社員のためだけでなく、指導にあたる先輩社員にとっても、指導者としての成長や自身の業務を振り返る機会となり、双方にステップアップできる制度となっています。

経営が安定している

社会情勢に関わらず経営が安定していれば、社員が解雇や倒産のリスクを心配せずに安心して働き続けることができるため、離職率が低くなると考えられます。

景気に左右されやすい業種であっても、健全な経営状況を開示し、社の方針を明示することで社員の不安を減らし、離職率を抑えやすくなるでしょう。


自社の離職率が高い場合


離職率を改善したい場合には、上述した「福利厚生が充実」「適切な評価制度」「成長できる環境」などの、離職率が低い会社の共通点を参考に改善を積み重ねることが推奨されます。

また、採用時点でミスマッチを防ぐことは、離職率を低くする根本的な改善策と言えます。どんなに優秀な人物であっても、企業のカルチャーや求めるスキルとマッチしていないと、その力を発揮できず、定着することが難しくなります。

採用ミスマッチを解消する、有効な戦術の一つに「リファレンスチェック」の実施が挙げられます。リファレンスチェックとは、前職の上司や同僚など、採用候補者と一緒に働いたことのある人に、経歴や客観的に見た人柄、働きぶりなどの情報を問い合わせることです。リファレンスチェックで得た情報をもとに、双方の納得の上でミスマッチのない採用ができれば、長期的な離職率の低下に繋がります。


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本コラムでは、離職率の低い業界や企業について、事例を交えて解説し、離職率を改善する手段として、採用時にミスマッチを減らす「リファレンスチェック」をご紹介しました。

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ASHIATO編集部

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