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構造化面接とは? メリット・デメリットや質問の作成方法をご紹介

お役立ちコンテンツ公開日最終更新日


Googleが採り入れていることでも話題の採用手法「構造化面接」。働き方の多様化やコロナ禍によるオンライン面接の増加などで、採用手法の見直しを考えている企業からも注目されています。

本コラムでは、構造化面接の意味や人材採用で導入するメリット・デメリット、面接での質問を作成する方法などについてご紹介します。



構造化面接とは? 


「構造化面接」とは、”あらかじめ自社で決めた質問と評価基準に沿って、候補者全員に対して同様の面接を行う手法”で、元々は臨床心理学で用いられていました。一方、具体的な質問を用意せず、候補者に合わせて自由に質問をする面接は「非構造化面接」と言います。

構造化面接を効果的に実施するためには、自社が採用したい人材の要件を整理して明確化し、要件に沿った人材かどうか評価できる質問を作成する必要があります。質問の作成や面接官への指導などの手間が大きいこともあり、一般化しているとまでは言えませんが、Googleをはじめとする先進企業の採用面接で用いられていることで有名になり、新たな面接手法として注目されています。

企業が構造化面接を行うメリット


企業が人材採用において構造化面接を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なメリットを4つご紹介します。

採用すべき人材を見極めやすい

自社にとってふさわしい人材の要件を明確にし、その要件をもとに質問を作成するため、面接官のスキルや経験に頼らず、採用すべき人材を見極めやすくなります。面接官の主観によってミスマッチな人材を採用したり、採用すべき人材を見逃したりする可能性も減らすことができるでしょう。

面接時間を短縮できる

あらかじめ決めた質問しかしないため質の低い質問を省くことができ、面接時間を短縮できます。また、面接前の準備時間も削減することができるので、面接官が採用選考に関わる負担感も減少します。

面接官による評価のばらつきを抑えられる

複数の面接官がいる場合も、同じ質問と評価基準で面接を行うため、評価のばらつきを抑えられます。「ハロー効果」や「確証バイアス」で候補者の経歴や第一印象に判断が引っ張られたり、「類似性効果」で自分と似た傾向の人が好ましく見える、といったアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の影響も抑えられます。

候補者のデータを蓄積、分析しやすい

候補者全員に同じ質問をするため、段階評価のデータをデジタルで管理し、分析しやすくなります。構造化面接の内容は定期的に更新する必要がありますが、面接での評価と入社後のマッチ度・実績などを分析し、その結果をもとに人材の要件や面接での質問を練り直すこともできるでしょう。

また、構造化面接を受けた応募者は、非構造化面接を受けた応募者に比べ、面接への満足度が高いというデータも存在します。

採用に構造化面接を導入する手順




実際に採用に構造化面接を導入する場合の手順を解説します。

求める人材の要件を明確にする

最初に、自社が求める人材の要件を明確にします。スキルや実績だけでなく、仕事へのスタンスや人柄、自社のカルチャーとのマッチ度などの観点からも要件を整理します。また、全員に求める要件もあれば、職種や役職によって追加の要件が必要なこともあるでしょう。

ゼロから考えるのは大変ですが、要件の例や整理するためのチェックシートを公開している企業もありますので、構造化面接を導入する際は参考にしてみてはいかがでしょうか。

面接での質問を作成する

採用したい人材の要件を決めたら、その要件をもとに、実際の構造化面接で用いる質問を作成します。質問の作成については、後述の「構造化面接でのよくある質問例」を参考にしてください。

評価基準を決める

作成した質問に対する回答への評価基準を決めます。面接官の好みや性格で評価のばらつきが出ないよう、点数や良い・悪いなどの段階的な基準を決めます。それぞれの段階での回答例があると、より評価を統一しやすくなるでしょう。Googleのサイトの『構造化面接を実施する』のページでは評価基準の例が公開されており、参考になります。面接後の合否判定の基準も設定します。

面接官へのトレーニングを行う

あらかじめ決めた質問や評価基準を実際の面接で利用するためには、面接官への説明とトレーニングが必要です。質問を改変したり、他の質問をしたりしないように面接のロールプレイングを行うのも良いでしょう。評価基準についても、同じ回答に対する評価が面接官によってばらつかないように個人の基準や段階ごとの回答例を調整します。

構造化面接でのよくある質問例




構造化面接でよく用いられる質問の種類と実例、構造化面接には適さない質問について解説します。


過去の経験に基づく質問

過去の経験と当時の行動について尋ねることで、スキルや課題に対する思考パターン、コミュニケーションのタイプなどを探ります。環境・背景(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)という視点で行動を深掘りしていく「STARモデル」という考え方があり、よく利用されています。

質問例:
「これまでの仕事で最も成功したエピソード」について質問する場合
「どのようなチーム体制でしたか? どんな目標でしたか?(Situation)」
「どのような役割でしたか? どんな課題がありましたか? (Task)」
「最初に何をしましたか? 周りの人とどのように協力しましたか? (Action)」
「成果はどうでしたか? もう一度行う場合、改善したい点はありますか?(Result)」


仮説に基づく質問

「もし、~という状況だったらどうするか」という仮定の状況を示し、その回答から候補者が将来の状況にどんなスキルや姿勢で対応するかを見ます。

質問例:
「もし、あなたが弊社の広報担当者になったら、どのような施策を上司に提案しますか? 」
「もし、あなたが新規顧客の担当になったら、顧客との信頼関係を築くために何をしますか? 」


構造化面接に適さない質問

「日本全国で〇〇は合計いくつありますか?」「あなたを〇〇に例えると?」といった難問奇問で発想力や思考力を見る採用面接もありますが、基準に照らし合わせた評価が難しく、構造化面接には適していません。

構造化面接に限らず、採用面接に適していない質問もあります。志望動機や長所短所といったよくある「想定質問」は候補者が事前にしっかり対策してきている可能性が高いため、本音や実際の自己評価は見えづらくなります。また、「地方への転勤はできますか?」「海外勤務は可能ですか?」などの「誘導質問」では企業側の意図が見えてしまい、本音を伝えられない候補者が多くなるデメリットがあります。


構造化面接のデメリットとその対策




ここまで、構造化面接のメリットや実施する際の参考としての導入手順・質問例をご紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。対策と共にご紹介します。


候補者に質問内容がばれる可能性がある

構造化面接の導入には先述の通り、採用要件の明確化、質問と評価基準の作成、面接官へのトレーニングと多くの手間が必要で、実際に行っているのは大規模な企業が多いです。規模に比例して採用候補者の人数も多いため、WEB上の口コミサイトや知人同士などで過去の面接での質問が共有されてしまう可能性は大いにあります。質問事項を知っている人が事前に対策をし、知らなかった人との不公平が生まれてしまわないよう、質問内容が候補者にばれることは避けたいものです。対策として、構造化面接の質問事項を定期的に更新し続ける必要があります。


面接官へのトレーニングが難しい 

構造化面接を導入する場合、面接官全員の質問を統一する必要があります。これは初めて面接官を担当する方はもちろん、これまで非構造化面接で独自の質問をしていた面接官にとっても難しいことです。事前に決定したもの以外の質問をしないことや、候補者の回答についてマニュアルに基づいた客観的な評価を行うことについて、面接官全員への徹底した指導が必要です。


候補者の隠れた長所や自由な発想を見つけづらい

構造化面接の質問は事前に決まっており、それぞれの候補者の答えに合わせて柔軟に質問を変えることはできません。そのため、隠れた長所やスキル、業務上の課題やクリエイティブな仕事に対する自由な発想力を見つけづらい傾向があります。ただし、次項のように他の採用選考手法と組み合わせることで、このデメリットを補うことができます。


他の手法と組み合わせて行うこともできる


構造化面接は、単体で行うだけでなく、他の手法と組み合わせて実施することもできます。


半構造化面接

構造化面接と非構造化面接を組み合わせたものが「半構造化面接」です。事前に決めた質問の他に、採用候補者の回答や反応に合わせて自由な質問するので、詳細な実績・スキルを尋ねたり、人間性を判断しやすくなります。


リファレンスチェック

「リファレンスチェック」とは、企業が採用候補者の前職の上司や同僚、取引先などに、過去の業務内容や経歴、人柄などを問い合わせることです。採用を行う企業が直接問い合わせたり、第三者サービスを利用して得た回答を採用選考の参考にします。

主観を取り除く「構造化面接」と、候補者を良く知る人物からの客観的な評価を得られる「リファレンスチェック」を併用することで、面接官のスキルに頼り過ぎずに候補者の見極めができます。企業全体で採用選考の精度を上げることが可能でしょう。


構造化面接と一緒にリファレンスチェックサービス『ASHIATO(アシアト)』を


構造化面接のメリットやデメリットとその対策、導入手順や質問例についてご紹介しました。採用選考に導入するためには多くの準備が必要なことについてもご説明しましたが、その手間をしっかりかけることで、人材の見極めの精度が上げ、面接官による評価のばらつきを抑える質の高い構造化面接を実施することができます。

採用選考の精度をより向上させるため、構造化面接にリファレンスチェックを併用することもおすすめです。エン・ジャパンが提供するリファレンスレポートサービスASHIATOでは、入社前の見極めはもちろん、入社後の活躍や定着率向上にも寄与します。構造化面接導入をお考えの企業様は、リリースから約1周年で300社を突破し、様々な業種の採用でご利用いただいているASHIATOもぜひご検討ください。


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この記事を書いた人

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