マッチング面談とは
マッチング面談という言葉に明確な定義はなく、比較的、新卒採用の現場で「マッチング面談」「ジョブマッチング面談」「キャリアマッチング面談」という言葉が使われるケースが多く、中途採用では「(現場社員との)面談」と呼称されるケースが多くなっています。
その目的は「求職者のスキルやキャリアの志向性と、企業が求めるものがマッチしているかをはかること」というのが一般的です。しかし一部では、マッチング面談という呼称ながら実態は面接である、というケースもあるようです。
新卒採用では、トヨタ自動車やデンソー、パナソニック、など大手メーカーを筆頭にマッチング面談が行われており、理系学生が研究内容をもって面談に挑むパターンが多くなっています。
マッチング面談を行う理由とメリット
通常の面接とは別に、マッチング面談を行う理由にはどんなものがあるのでしょうか? ここでは、新卒採用と中途採用に分けて背景とメリットを 解説します。
【新卒採用】優秀学生への早期アプローチ
2021年3月以降に卒業・修了予定の学生の就職活動から、それまで経団連が主導していた就活に関するルール策定は政府主導に切り替わりました。2023年卒の就活スケジュールでは、3月1日以降に広報活動開始、6月1日以降に面接などの採用選考活動開始、と発表されています。
実際には、6月までにインターンや面談などで学生にアプローチし、6月1日に早速内々定のやりとりがなされるケースもあるなど、優秀層との早期のコネクション作りが重要な状況となっています。
マッチング面談という場を設定し、具体的なスキルベースの見極めやキャリア志向の確認ができていれば、その後の選考で学生と企業間の意思疎通がスムーズに進むメリットがあります。
【新卒採用】即戦力学生の見極め
マッチング面談の場で、大学・大学院での研究テーマをプレゼンしたり、その内容についてディスカッションするケースもあります。これには、研究内容が自社の事業に直接的に結びつく内容か、あるいはその研究を通して得たスキルについて見極める役割があります。
いわゆるジョブ型雇用(職務要件、及びその遂行能力に重きをおいた雇用)が一般化する過程にある昨今、地頭の良さといった汎用的な優秀さにとどまらず、新卒であっても即戦力になり得るか、という観点が重要になりつつあります。
【中途採用】企業カルチャーのマッチ度の見極め
マッチング面談には、カルチャーのマッチ度を見極める機能もあります。もちろん新卒採用でもカルチャーマッチは重要ですが、前職までの企業文化の影響を強く受けている中途採用の方が、カルチャーのミスマッチが入社後に問題となるケースが比較的多いと考えられます。
マッチング面談、あるいは社員面談という形で、お見合い的に相性を確かめることは、とくに企業カルチャーを重視する企業において重要な作業だと言えるでしょう。
【中途採用】転職潜在層への早期接触の場として
転職が一般化した昨今、現職に特段の不満がなくとも、キャリアを俯瞰して今後の転職を想定している人材の数が増えています。特にベンチャーやIT系においては、エンジニアやプロダクトに関わる人材が、業界内の別企業の同職種に移籍するケースがままあります。
それらの人材は、知り合いを通じて転職するリファラル採用など、企業が仲介会社や求人メディアを介さず採用するダイレクトリクルーティングで入社することも多くなっています。その場合、初期接点としてキャリア面談やマッチング面談、社員面談といった面談形式が用いられることがあります。
企業としては、「今すぐの転職は考えていないが話は聞いてみたい」というような転職潜在層に効率的にアプローチできます。このような面談には往々にして優秀な現場社員や人事のエース級がアサインされ、自社の魅力を自然な形で伝える努力がなされます。
マッチング面談、実施上の留意点
上述のように、採用チャネルの多様化やミスマッチの予防に効果的なマッチング面談ですが、企業が実施する上で気をつけた方がよいこともあります。ここでは代表的な2つをご紹介します。
採用選考との線引きを明瞭にする
新卒、中途の採用の両方において、「この面談は採用の見極めに関わっているのか」という点を候補者は気にしています。最近では「だまし面接」という言葉もあり、面談の体で実質的に本選考を行っているケースが批判されることも増えています。
もちろん、面談と面接・選考を完全に切り離すことは難しいかもしれませんが、実施される面談がどのような役割を持ち、どんな情報が何に活用されるのか、という点は積極的に公開することが望ましいでしょう。
面談で得た情報や印象に頼りすぎない
面談という形式で求職者と会話すると、オープンな場の雰囲気 から、人柄や保有スキルの把握がスムーズに進むメリットがあるというのは上で述べたとおりです。しかし、このメリットには、候補者の主張を一方的に信じすぎてしまうリスクが隠れています。
候補者から得た主観的な情報は、その後の面接などの選考で冷静に見極める必要があります。注意すべきは、「初期接点である面談の印象が、面接の最終段階まで引きづられる」という事態への理解です。
このような課題に対して最近では、採用候補者に関する情報を、その人物と関わりが深い第三者からヒアリングする「リファレンスチェック」に注目が集まっています。
リファレンスチェックとは「採用候補者の前職(現職)の上司や部下、同僚、大学の担当教授などに、本人の実績や仕事ぶり、人柄について問い合わせること」で、第三者からの客観的な情報を取得することで候補者についてより深く知ることができます。
面談や面接で得た情報が本当なのか? という真偽の確認から、候補者が話せていなかった本人の良い面まで、幅広い事項を確認することができます。
個人情報保護の観点から本人同意が必須とな るなど、実施には専門的なノウハウが必要とされるリファレンスチェックですが、昨今は、ノウハウがパッケージ化されて既存の採用フローに組み込みやすい、オンライン完結型のサービスに注目が集まっています。
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