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リファレンスチェックで休職歴が発覚したら? 転職採用で休職歴はどう扱われるべきか

お役立ちコンテンツ公開日

昨今、日本でも採用活動にリファレンスチェックを取り入れる企業が増えています。実施する中で、候補者に関するポジティブな情報が得られる場合がある一方、予想外の客観的情報に出くわすこともあり、どのように対応したらよいのか迷う担当者も多いでしょう。

その中でも本コラムでは候補者の「休職歴」にフォーカスして解説していきます。面接時には話に上がらなかった休職歴が発覚した場合、その候補者は採用を見送ったほうがいいのでしょうか? 休職の事実を扱う際、法律の観点で気をつけるべきことはあるのでしょうか?意外と知らない休職歴についての基礎知識と、発覚時の対応を見ていきましょう。

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その他リファレンスチェックに関するお役立ち資料はこちら。



リファレンスチェックとは?

まずリファレンスチェックについて説明しておきましょう。リファレンスチェックとは、候補者の現職の同僚や上司などに、候補者についての客観的な情報を問い合わせることです。内容は現職での働きぶり、人柄、経歴などについての質問が主です。こういった第三者からの情報と、面接での話や提出書類とを突き合わせて、その内容が事実であるかを確認したり、候補者の人柄についての様々な側面を把握することができるのが特長です。

このチェックを実施しなければ知りえなかった情報が得られることもままあります。たとえば、面接では伝えられなかったが、評価すべき実績があるというポジティブなものから、候補者の保有スキルが自社とマッチしてしていないと判断できたり、明確な経歴詐称が発覚するなどネガティブなものまで、その内訳は様々です。

そんな中、休職期間の存在が発覚する、ということも少なくありません。休職歴は、本人からの申告かリファレンスチェック以外で、会社側知る手段がほぼない項目と言ってよいでしょう。この事実を企業はどう判断し、いかに対応するのが望ましいのでしょうか? ここでは基本的な考え方をご紹介していきます。

▼リファレンスチェックの実施におけるお役立ち資料
リファレンスチェックガイドー採用候補者への依頼編ー
リファレンスチェックガイドー効果的な質問例と設計の仕方ー

休職とは?

休職とは、従業員が労働契約を維持したまま、自己都合で長期間業務を休むことを言います。期間に明確な定義はありませんが約1ヶ月~半年程度、休職制度が整った大企業などであれば最大2,3年程度です。従業員の休職を認めることは企業の義務ではなく、通常は給与は発生しません。ただし、企業によっては独自の休職制度があり、給与の一部が保証されることもあります。

休職の理由も体調不良やケガの他、社内トラブル、家庭事情、留学など人によっていろいろなパターンがあります。次で休職の具体的な分類をご紹介します。


休職には種類がある

ひとくちに「休職」といっても理由は様々で、以下の代表的な7つに分類されます。まずはそれぞれの内容を見ていきましょう。

1.傷病休職
傷病に伴う一定期間の休職。労災とは異なり、社員個人の事情による傷病が原因の場合を指すため、私傷病休職ともいう。

2.事故欠勤休職
傷病以外で勤務外の事故によって長期的に欠勤すること。

3.自己都合休職
社員の個人的な都合による休職。ボランティア活動への参加や自己啓発など、理由は様々だが休職扱いとなるケースを指す。

4.留学休職
留学に伴う休職。休職中の扱い・休職後の処遇については企業により異なる。

5.公職就任休職
社員が国会議員、地方議員、都道府県知事、首長などの公職に就任することに伴う休職。

6.起訴休職
社員が起訴されたことを理由に休職させること。起訴休職させるには、社員の起訴が企業の社会的信用を損ねたり、職場秩序を乱した、等の合理性が求められる。

7.組合専従休職
雇用関係を維持したまま、通常の就業はせずに組合業務に専従する場合の休職。組合専従者に対して企業を給与を支払うことは不当労働行為として禁じられている。


候補者は休職を申告する義務はある?


リファレンスチェックで休職歴が発覚したときに、担当者としては「なぜ申告してくれなかったのか?」と思うかもしれませんが、実は休職歴を自己申告しないことは法律上問題ではないと判断されるケースが多いのです。特に病歴(既往歴)については候補者のプライベートな情報として尊重されます。

病歴(既往歴)はいわゆる「要配慮個人情報」に該当します。
この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。
引用:『個人情報の保護に関する法律 第二条

厚生労働省の指針『公正な採用選考の基本』においても、採用選考時に配慮すべき事項として「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」が挙げられています。これらの法的なルールも前提となり、病気に関する個人情報の取得には本人の同意が必要で、病歴に伴う休職歴なども記載の義務はないという見方が一般的です。

企業側は、雇用時に義務付けられている健康診断の結果を知ることは可能ですが、それ以外の健康診断を採用前に実施すること、及び選考時の既往歴の申告を求めることには、事前の同意を前提として慎重になるべきだ、と言えるでしょう。

一方で、業務施行に必要不可欠な健康要件だと、合理的かつ客観的に判断できる事項については、同意の上で確認が可能です(パイロットにおける色盲の確認など)し、実際に病歴の詐称が行われ、業務遂行に顕著な障害があると判断される場合は懲戒解雇の事由として認められる可能性もあります。

また、病歴(既往歴)以外の休職(自己都合や留学休職など)の書類への記載も、法的には義務として規定されていません。そもそも、履歴書や職務経歴書の内容を明確に規定する法律が存在しないのです。逆にいえば、厳格なルールがない分、採用側が十分な配慮の上で候補者と密にコミュニケーションをとり、同意の上で適切な情報収集を行う必要性があると言えます。


候補者の休職歴が発覚するタイミングはある?

休職歴について知るには本人の自己申告に頼るしかないのでしょうか。企業側が休職歴について知ることができるタイミングとして、以下が考えられます。

・職務経歴書に記載がある
・面接時に伝達される。質問の回答から把握する
・リファレンスチェックで発覚する
・入社前の健康診断書に既往歴、医師の指示及び就業上の注意事項の記載がある
・源泉徴収票の金額が少ない

発覚する可能性が高いのは健康診断書と源泉徴収票ですが、一般的にこれらは内定が決まってから提出される書類のため、面接段階で知ることができるのは書類、面接、リファレンスチェックに限られてくるというのが実際です。

▼関連記事「候補者のストレス耐性を見極める方法」についてはこちら
ストレス耐性を見極める方法とは? 面接での質問例からリファレンスチェックの活用まで網羅的に解説


休職中に転職活動を行う候補者も

休職中に転職活動を行う方も存在します。しかし、休職中は理由となった休養や活動に専念し、休職の必要がなくなったら現在の職場に復帰すべきだ、と一般には考えられます。業務を行っていないものの雇用関係があり、企業負担分の社会保険なども支払われている中で転職活動をするのは、契約観点でも倫理的にも良いこととは言えません。転職を希望する場合も採用選考への応募などの具体的な転職活動は控え、情報収集程度に留めるべきでしょう。

また、休職中に転職活動を行っている候補者の場合、現職の上司などへの依頼が難しいため、リファレンスチェックは断らざるを得ないでしょう。


休職歴が発覚した場合、どう対応すればいいのか?


では仮にリファレンスチェック等で休職歴が発覚した場合、企業としてはどのような対応ができるのでしょうか? これは発覚したタイミングが内定前なのか、内定後なのかで大きく変わってきます。

内定前に休職歴が発覚した場合

内定前に休職の事実が発覚した場合、企業側は選考を進めるかどうかを検討する余地があります。休職歴を一概に問題視すると、有望な人材を逃してしまう可能性もありますから、休職に至った理由や現在の状況などを、候補者の同意の上ででヒアリングし、業務を行う上で支障が出るかどうかをしっかり見極めたうえで判断しましょう。自分から申告してくれたのであれば、ビジネスパーソンとして誠実で信用できる人柄であると考えることもできるかもしれません。

内定後に休職歴が発覚した場合

内定後に発覚した場合、休職していたことだけを理由に内定取り消しをするのは一定ハードルが高いアクションと言えます。内定を出しそれを候補者が承諾した時点で、企業と候補者には条件付きの雇用契約が発生していますので、内定を取り消す場合には従業員を解雇するのと同等の理由が必要になります。そのため、内定取り消しを検討できるのは、休職していた理由が今後の業務に支障をきたすと判断できる場合に限られるでしょう。

例えば、持病で休職していたことを隠していた場合、その持病によって今後業務を十分に行うことができない可能性があり、それを企業側が事前に知っていれば合否が変わっていたであろうと思われる場合、経歴詐称として内定取り消しをすることもできます。このような状況を加味して、内定前にリファレンスチェックを実施することが推奨されます。

▼「リファレンスチェック後の内定取り消し」についてのより詳しい記事はこちら
リファレンスチェック後の内定取り消しは法律的に有効?
▼リファレンスチェックの実施におけるお役立ち資料
リファレンスチェックガイドー採用候補者への依頼編ー
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企業が休職理由を聞くことは可能なのか

企業は候補者に休職理由を聞くことは問題ありません。
しかし前述の通り、その際には候補者のプライバシーに配慮する必要があります。


例えば、「候補者に疾患がある場合、業務に甚大な影響を及ぼす恐れがある」と考えられる業種である場合以外は、メンタル疾患に関する質問は基本的にNGです。

あくまで「業務を遂行するために必要な範囲」でヒヤリングすることが重要です。

厚生労働省のガイドライン「公正な採用選考の基本」を確認しましょう。


休職歴のある人材を受け入れる際の注意点とリスク

休職歴がある人材を雇用する場合、精神疾患などの傷病の再発や、介護などの家庭事情でまた休職することになったり、勤怠が不安定になるなど業務に影響が出るリスクも考えられます。

しかし、休職歴にも様々なケースがあり、一概にネガティブな人事判断を下すべきではない、という多様性を認める潮流が強まっていることも。そういった人材が活躍できるようなサポート体制を整えることも人事の重要な仕事の一つと言えるでしょう。

休職の理由にもよりますが、活躍できるかどうかには入社後の環境づくり、特にマネジメントが適切であることが非常に重要です。候補者の性格や特徴、過去の休職理由に関する現在の状況をしっかり把握し、相性がよい上長のもとに配属する、チームメンバーにあらかじめ事情を伝えてサポートを依頼しておくなど、働きやすい環境を整えておきましょう。また、そもそも採用段階で、休職歴のみにフォーカスせず、候補者の客観的な情報をできるだけ多く集めた上で採用を決断するということが重要です。


エン・ジャパンの『ASHIATO(アシアト)』で候補者の経歴を確認

本コラムでは、リファレンスチェックで候補者の休職歴がわかった場合の対応や採用する場合の注意点とリスクについてご紹介しました。

リファレンスチェックは、候補者の同意の上で、ポジティブな実績や人柄、経歴などの客観的な情報をヒアリングできることから近年国内でも注目が集まっています。リファレンスチェックの中で詳細な経歴や勤怠状況を確認することで、休職歴が発覚することも多いです。

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