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内定後でも調査できる? 採用時の身辺調査・採用調査について解説

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個人情報保護の重要性が叫ばれる昨今、企業が内定を出した後に採用候補者の身辺調査が行われて内定取り消しになるケースはあるのでしょうか。また、採用フローの中で、候補者についての調査をいつ実施するのが最適かわからない、という採用担当者もいるかもしれません。

本コラムでは「内定」と「採用候補者の調査」にフォーカスし、内定後に調査が行われて内定取り消しになる可能性から、調査実施自体のリスク、適切な調査方法までをご紹介します。



そもそも内定とは? 

「内定」とは「正式な発表や手続きの前に、内々に決まっていること」を指す言葉です。

就職や転職においての「内定」は、一般的に「始期付解約権留保付労働契約」という労働契約のことで、双方の承諾の元に正式な労働契約を結んだ状態です。そのため、内定を取り消すことは「解雇」と同等の意味を持ちます。

似た言葉の「内々定」は、企業側から採用予定であると通知されているものの、まだ労働契約を結んでいない状態のことです。


内定前後で行われる身辺調査・採用調査とは? 

「身辺調査」とは「特定の個人の経歴や身辺を確認する調査」のことです。就職・転職や結婚といったライフイベントの際に相手について確認したり、ストーカーなどの不審人物の身元を特定したりするために行われます。

「採用調査」は「採用時に行う候補者の経歴やスキル、身辺などについての調査」のことで、「身辺調査」のほか「リファレンスチェック」や「バックグラウンドチェック」といった採用時に行われる様々な調査を包括する言葉として用いられることが多いです。


内定者への調査が必要とされる背景

企業が内定者への調査を行うのは、採用企業は内定者に問題がないか「企業防衛のため」に把握したいという理由が大きいでしょう。

経歴やスキルの詐称をしていない信頼に足る人物であるか、過去に大きなトラブルを起こしたことはないか、反社会的勢力などとのつながりがないか、などを事前に確認することで採用後の社内外でのトラブルや業務上の損害発生を防ぎます。

また、日本ではまだ身近ではありませんが、欧米では「ネグリジェント・ハイヤリング(怠惰雇用)」という考え方があります。従業員が損害や事故を発生させた時に、採用前の調査を行わなかったことが一因であると考えられる場合は企業側も責任を問われるのです。このような考え方を背景に内定者の調査を行う企業もあります。

一方、入社後の配属や研修に役立てるため、人柄や好んでいる仕事のスタイルなどを確認するポジティブな目的で「リファレンスチェック」を内定者に行うこともあります。


内定者(採用候補者)への調査の方法


内定者(採用候補者)について調査する方法は主に以下の3種類があります。

調査会社や探偵への依頼

調査会社や探偵・興信所といった調査の専門家に依頼すれば、多岐にわたる項目を綿密に調査することが可能でしょう。その分、後述する方法に比べて料金は高いことが多く、1人あたり10万円以上かかることもあります。

自社で行う

内定者への調査を自社で行うこともできます。調査の専門家でなくとも「内定者に資格や経歴の証明書を提出してもらう」「内定者について確認したいことを本人の現職(前職)に電話やメールで問い合わせる」「インターネットやSNS上で候補者についての公開情報を調べる」といった方法で内定者について調べることが可能です。

自社で行う場合、費用はほとんどかかりません。しかし、実際に自社で行うかどうかは調査にかかる人員の労力や人件費といったコストを考慮して決定することをおすすめします。

オンラインサービスの利用

オンライン上で完結する「リファレンスチェック」や「バックグラウンドチェック」のサービスを利用すれば、時間や費用面のコストを抑えて内定者の調査を行うことができます。

リファレンスチェックとは「採用候補者の現職(前職)の上司や部下、同僚といった関係者に本人の経歴・実績、人柄や仕事ぶりについて問い合わせること」、バックグラウンドチェックは「採用候補者の背景調査」のことで、リファレンスチェックよりも経歴詐称や過去のトラブルなどの問題がないかを調べるネガティブチェックの意味合いが強い調査です。

リファレンスチェックを主体としたオンラインサービスの中に「反社チェック」などのバックグラウンドチェックが含まれていることもあります。

オンラインサービスの場合、採用企業が調査にかける時間や費用を抑えることができるだけでなく、既存の採用フローに組み込みやすいという点でも近年注目を集めています。


内定後の身辺調査のリスク

内定者の身辺調査の実施には、以下のようなリスクが伴います。

個人情報保護法への抵触

採用に関わる調査を行う場合、個人情報保護法に抵触しないよう十分に注意する必要があります。内定後であっても内定前であっても、調査前に「本人への利用目的の通知」と「本人の同意」が必要です。

個人情報保護法では、個人情報の「利用の目的をできる限り特定すること」「利用目的を本人に通知または公表すること」が定められています。

 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

引用元:『個人情報保護法 第十五条(利用目的の特定)

個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

引用元:『個人情報保護法 第十八条(取得に際しての利用目的の通知等)

個人情報の中でも、特に配慮を要する「要配慮個人情報」はあらかじめ本人の同意を得ずに取得してはいけません。差別や偏見といった不利益が採用候補者に生じないよう、取り扱いにはより注意が必要です。

この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

引用元:『個人情報保護法 第二条

自社で調査する場合のコンプライアンスはもちろん、外部の調査会社やサービスを利用する場合、個人情報保護法を遵守している信用できる企業かどうかよく確認しましょう。

合理的な理由がなければ内定取り消しはできない

内定者についての調査が行われ、内定取り消しになる可能性は低いです。内定は労働契約であり、客観的に見て合理的な理由なく取り消すことは「解雇権の濫用」にあたるためです。

(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:『労働契約法 第十六条

解雇権の濫用であるとして、内定を取り消された候補者から採用企業に対する訴訟に発展する事例もあります。よほど大きな理由でない限り、調査後に内定を取り消すことは避けるべきですし、そもそも内定前に調査を実施するのが良いでしょう。


内定前の調査実施がおすすめ

先述の通り、客観的に見ても合理的な理由がなければ内定後の調査結果を元に内定取り消しをすることはできません。そのリスクを考慮すると、採用時の調査は「内定前」に実施すべきです。リファレンスチェックを行う場合であれば、特におすすめのタイミングは1次面接後、最終面接前です。1次面接時に気になった点や深掘りしたいことを調査項目に含め、調査結果を参考にしながら最終面接で質問できるためです。

内定後に調査を実施する場合は、最終的な確認や入社後の配属・研修に活かすための調査と位置づけ、もし採用判断に調査結果を用いたい場合は、内定前に調査を行うことがおすすめです。


内定前の調査にはリファレンスチェックサービス 『ASHIATO(アシアト)』

内定前後の調査には、所要時間や費用を抑え、現行の採用フローに柔軟に取り入れられるオンライン完結型のリファレンスチェックサービスがおすすめです。

エン・ジャパンのリファレンスチェックサービス「ASHIATO」では、採用企業による候補者データの入力は約5分で完了し、候補者は個人情報保護への同意と推薦者(回答者)への依頼のみを行い、推薦者は約30分で回答を行うことができます。

候補者と推薦者の双方の同意がシステム上で取れるため、コンプライアンス面も安心です。

導入企業も300社を超え、様々な業種・職種でご利用いただいているリファレンスチェックサービス「ASHIATO」。ご興味をお持ちの人事ご担当者様は、まずはフォームからお気軽にお問い合わせください。


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ASHIATO編集部

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