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定着率が高い会社が行う取り組みとは? 業界&規模別ランキングと定着率改善の重要ポイントを解説

お役立ちコンテンツ公開日

「定着率が低く採用コストがかさんでいる」、「せっかく採用した社員が早期離職してしまう・・・」こんな悩みを持つ人事ご担当者様も少なくないのではないでしょうか。一方巷には、定着率が相対的に高い会社が存在します。いったい定着率が高い会社はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

本コラムでは、業界&規模別の定着率の実態や、定着率改善に寄与する要素、具体的な取り組みについてご紹介します。



定着率とは? 定義と計算方法

定着率とは、どのくらいの割合の社員が入社した企業に定着しているか、を示す指標です。国が定めた標準的な計算方法はありませんが、「入社〇年後定着率」といった形で公表されることが多く、その場合以下の式で計算できます。

入社〇年後定着率  =  入社後〇年間終了時の残在籍者数 / 入社時の人数 × 100(%)

また、対象期間の離職率をもとに

定着率 = 100 - 離職率(%)

という式でも計算できます。


平均的な定着率と離職率

厚生労働省の雇用動向調査によると、次の図の通り、日本の全常用労働者における2020年の平均離職率は14.2%(年初の常用労働者数に対する離職者数の割合)で、近年は14〜16%のあいだで推移しています。つまり、先述の式で計算すると、年度ごとの定着率は84〜86%程度で推移していると言えます。

出典:『令和2年雇用動向調査:入職と離職の推移』(厚生労働省)

また、エン・ジャパンの人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』の調査において、回答が得られた693社の直近3年間で入社した中途入社者の定着率は次の図の通りです。

■直近3年間で入社した、中途入社者の定着率はどのぐらいですか?

出典:中途入社者の定着 実態調査』(エン・ジャパン 人事のミカタ )

定着率70%以上が63%と過半数を超えますが、一方で定着率49%以下の企業も約15%存在しています。


定着率の高い業種の特徴とは?

雇用動向調査の「産業別入職率・離職率」から逆算すると、インフラ系や金融、複合サービス事業(郵便や協同組合など)といったいわゆる堅い業界の定着率が高く、宿泊業や飲食サービス業といった接客がメインとなる業界の定着率は低くなっています。

出典:『令和2年雇用動向調査: 産業別の入職と離職 』(厚生労働省)

また、エン・ジャパン『人事のミカタ』の調査における「中途入社者の定着率をどのように捉えているか」を問うた業界別の回答結果は次の通りです。

■貴社の中途入社者の定着率について、どのように捉えていらっしゃいますか?(業種別)

出典:中途入社者の定着 実態調査』(エン・ジャパン 人事のミカタ )

「定着率がとても高い」「定着率が高い」「適正値である」と、適正値以上だと回答した企業が多い業種の上位1位から3位は広告・出版・マスコミ関連業、IT・情報処理・インターネット関連業、メーカーで、一方最も低いと捉えている企業が多い業種は流通・小売関連業でした。

ここで挙げた2つの調査からは、企業収益の安定性や就職難易度が高い業種ほど、定着率が高く、長く働ける環境であると窺えます。


企業規模別で見る定着率の高い企業

上述の「中途入社者の定着率をどのように捉えているか」についての回答を企業規模別にまとめた回答結果は次の通りです。

■貴社の中途入社者の定着率について、どのように捉えていらっしゃいますか?(企業規模別)

出典:中途入社者の定着 実態調査』(エン・ジャパン 人事のミカタ )

企業規模が大きくなるにつれて定着率が「とても高い」「高い」または「適正値」だと捉えている企業の割合が上がっていきますが、300名以上の企業規模になると割合が少し下がります。中小企業よりも大企業の方が定着率が高いと言われることもありますが、企業側の捉え方としては必ずしもそうではなく、大企業特有の人事課題が存在することが見て取れます。


定着率に影響を及ぼす要素とは

定着率に影響を及ぼす要素は様々ありますが、特に
  • 入社前イメージと現実のマッチング(仕事内容、同僚、給与・待遇)
  • 上司サポート(役割・目的の明確化、1 on 1、成長フィードバック)
  • 組織・職場(コミュニケーション風土、同僚サポート、入社者歓迎風土)
  • ストレス要因(業務過多、業務過少、精神的プレッシャー)

といった要素が定着率および活躍実感や就業継続意思に影響を及ぼすと考えられます。いわゆる「ギャップ」や「ミスマッチ」が問題の根底にあり、それらをケアする「サポート」が不足すると、定着率が悪化すると考えられます。

参考:『中途入社者3,872名対象「オネストリクルーティング」と入社後活躍の相関調査』(エン・ジャパン 入社後活躍研究所)


定着率改善に寄与する取り組み(入社後編)

では、定着率の悪化を防ぐためにどのような対策ができるのでしょうか。ここではまず、入社後に実施する定着率改善の取り組み例をご紹介します。

エン・ジャパン『人事のミカタ』の調査によると、定着率改善のために入社後実施している企業がとくに多い取り組みは「定期で行う上司との面談」「歓迎会での交流」です。

■中途入社者の定着率向上のため、貴社で行なっている取り組みがあればお教えください。(複数回答可)

出典:中途入社者の定着 実態調査』(エン・ジャパン 人事のミカタ )

同じ調査にて、直近3年間で入社した中途入社者の定着率と企業の取り組みから「取り組みによる定着率の寄与度」を分析したところ、最も寄与度が高いのは「定期で行う人事(第三者)との面談」で、それに「定期で行う上司との面談」「メンター・ブラザー・シスター制度によるフォロー」が続く結果となりました。

また、「社内見学」や「中途入社者コミュニティへの参加」はむしろマイナスの影響を与えてしまうようです。慣れていない環境にフォローなく放り込まれるような体験が悪く評価され、このような結果になっているのかもしれません。

■企業の取り組みによる定着率の寄与度

出典:中途入社者の定着 実態調査』(エン・ジャパン 人事のミカタ )

これらの調査結果からは、企業が、直属の上司との関係性を重視しており、それが一定の好影響をもたらしているとわかります。また、上司以外の人事やメンターとの面談も定着に寄与していることも興味深い点です。いわゆるナナメの関係性となるメンバーと幅広くコミュニケーションをすることで、心理的安全性が高まり、定着につながっていると考えられます。

ただし、そもそも入社前、採用時点でのミスマッチがある場合は、入社後の取り組みによるフォローも限界があります。次は、定着率向上に貢献する「採用タイミングでのミスマッチ」について考えてみましょう。


定着率改善に寄与する取り組み(採用タイミング編)

入社前、採用タイミングでの定着率改善のために実施できる取り組みの例として、根本を同じくする2つの考え方をご紹介します。

RJP理論の活用

「RJP理論(Realistic Job Preview)」とは「すべての情報をゆがめることなく求職者に伝える採用のあり方」についての理論です。そのまま日本語訳すると「現実的な職務予告」となります。その言葉通り、採用候補者に自社のネガティブな面も含めた現実を正直に開示することで、入社前のイメージと入社後の実務でのギャップを減らします。

オネストリクルーティング

エン・ジャパンが提唱する採用手法「オネストリクルーティング」とは「求人企業が 『事実性、率直性、改善性』に基づいた正直な情報を求職者に提供することによって、入社と入社後活躍の可能性を高める理論を用いたもの」です。2020年の調査・分析によって、「オネストリクルーティング」は「その他の採用手法」よりも入社後活躍に繋がりやすいことがわかっています。

参考:『『オネストリクルーティング』と入社後活躍の相関に関する調査』(エン・ジャパン 入社後活躍研究所)


採用でのミスマッチを減らす取り組みとしての「リファレンスチェック」


ミスマッチを減らし、定着率を改善するためには、上述のような企業側からの情報開示とともに、採用候補者の情報を正しく把握することが必要であり、そのための採用手法として「リファレンスチェック」がおすすめです。

「リファレンスチェック」とは「採用候補者の前職(現職)の上司や部下、同僚などに、本人の実績や仕事ぶり、人柄について問い合わせること」で、第三者からの客観的な情報を取得することで候補者についてより深く知ることができます。

昨今は、既存の採用フローに組み込みが容易なオンライン完結型のリファレンスチェックサービスが注目を集め、導入企業が増加しています。


リファレンスチェックなら 『ASHIATO(アシアト)』

定着率改善につながるリファレンスチェック実施なら、エン・ジャパンのリファレンスチェックサービス「ASHIATO」の利用がおすすめです。

ASHIATOのレポートには推薦者(候補者の前職・現職関係者)からの生の回答だけでなく、回答をもとに分析した「面接官への質問例やチェックポイントのアドバイス」や「他己分析テスト結果」なども含まれており、候補者の本音や内面、傾向を把握する手助けとしてご活用いただけます。

また、ASHIATOのレポートでわかる候補者の仕事ぶりや人柄の傾向は、ネガティブチェックやミスマッチ対策として機能するだけでなく、入社後のオンボーディングにも利用できます。

導入企業が300社を超え、多種多様な業種でご活用いただいているリファレンスチェックサービスのASHIATO。ご興味をお持ちの人事ご担当者様は、まずはフォームからお気軽にお問い合わせください。


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ASHIATO編集部

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