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数百倍を勝ち抜き就職内定 私が新卒で応用したSTAR面接の考え方とは

コラム公開日
就職面接に攻略法はあるのか?多くの就職活動生が頭を悩ませることでしょう。
ノウハウ本などもあちこちにあります。
最低限の礼儀を身につけることはもちろん大切ですが、しかしそれだけでは足りません。

もう20年以上経ちますが、筆者もかつては就活生でした。
そして必死さのあまり、正直すぎることを最終面接で社長に向かって言い放ってしまいます。

しかしそれが功を奏したのか、数百倍という倍率をくぐり抜けて新入社員代表にも選ばれる結果になりました。TBSの採用面接での出来事です。
成功体験の一例として、ご紹介します。


テレビ局への興味と先輩からのアドバイス

筆者がテレビ局に就職したいと思うようになったのは、まさにテレビ局でのアルバイトがきっかけでした。

それも、そんなにテレビに強い興味があったわけではなく「少し面白そうだな」程度の気分と時給が良いという理由で応募し、採用されたという経緯です。

仕事の内容は、在阪テレビ局の京都支局で報道カメラマンのアシスタント(「カメアシとも呼ばれます」)をするというものです。
具体的には、テープやバッテリーの予備をカバンに提げて、カメラが移動するときには三脚や脚立などの機材を運ぶ体力仕事もあれば、音声を拾ったりライトを当てたりするという仕事もありました。

機材の扱い方を覚えたり、時には重い機材を小走りで運んだりと大変な面もありましたが、純粋に「機械に囲まれた番組製作の裏側」を見られたことや、普通なら立ち入れない場所に入れることが楽しかった印象があります。

そうしているうちに、テレビ局に就職したいなあと思うようになり、社員の先輩からエントリーシートの書き方や面接の対応方法についてのアドバイスを受けたほか、大阪本社で報道番組のADの仕事もさせてもらいました。


エントリーシートに関するアドバイス

まずエントリーシートです。ある先輩は「一点豪華主義で行け。読んだ人間が『会ってみたいな』と思うようなことに集中しろ」とアドバイスをくれました。
筆者は留年している間に自転車で日本一周したという経験があり、それを前面に押し出す形にエントリーシートを修正しました。

このエントリーシートで、2社から面接に来るようお声がかかりました。
その2社のうち、片方は1次面接で終了。そして残ったもう1局がTBSでした。


面接に関するアドバイス

そして、面接ではこのような点に注意するよう先輩からアドバイスがありました。
「わからないことには『わからない』」と正直に答えろ、というものです。
知ったかぶりは徹底的に突っ込まれ、最後は黙らされてしまうとのことでした。


1次面接は和気藹々

面接へは京都から新幹線で通っていました。

まず1次面接は「制限時間8分」で、中堅社員を相手に動機や自己アピールなど雑談のような雰囲気であっという間に過ぎました。
このときは手応えを感じて京都に帰りました。筆者には、子供の頃に見た印象深い番組がひとつだけあり、それについて話すと「俺も担当してたんだよ〜」と、8分のうちに一気に場が和んで盛り上がったからです。

2次面接は、部課長級と思われる2人が相手でした。10分ほどです。ここで先輩のアドバイスに従ってみました。
具体的な質問内容はもう忘れましたが、大半の質問に「ありません」「わかりません」と答えるのみで終わってしまいました。
いわゆる「圧迫面接」とはいえ、「ない」「知らない」と答えた質問が大半でしたから、帰りの新幹線の中では絶望的な気持ちになっていました。

しかし。
3次選考に来るようにとの連絡がありました。筆記試験と健康診断がメインでした。ちなみにこのときの試験(TOEIC)も、かなりの低スコアをはじき出したであろうことは筆者が一番よく分かっています。


最終面接で私が追い込まれていた状況

このときのTOEICがどんな意味を持っていたかは知りませんが、3次も通過して最終面接までトントン拍子で進む一方で、もう1局のエントリがー始まったのでそちらにも登録し、エントリーシートを送って待っている状況でした。

しかし、筆者はもうひとつ深刻な悩みを抱える時期にも差し掛かっていました。

費用がないのです。
就活中はアルバイトはそう多くはできません。いつ呼ばれるか分からないからです。
一方で面接となると毎回往復の新幹線代、場合によっては宿泊費がかかります。これがだんだん辛くなってきました。

最終面接には青春18きっぷで行きました。正直、こんなのもう続けられない—と思いながらの上京です。

面接は、社長を含む役員5人と私でした。

最終面接はなごやかな雰囲気で、なぜテレビ局に興味を持ったのかなどの話が進みました。

そして、
「なぜTBSなんですか?」と聞かれました。

筆者の答えはこれです。
「そもそもテレビ局という倍率がとても高い業界で、どの局がいいかなんて言っていられません。キー局は全部応募しています」。

正直そのものです。
そして極めつけは、
「最後に言っておきたいことはありますか?」と問われたときです。

筆者の答えはこれです。
「もうお金がないんです。新幹線代が辛くて、青春18きっぷを使っています。だからここで決めていただけたら、他の局の就活は全部止めます」

正直全開もいいところです。相手が社長だからとかそんなのはどうでも良くなっているのです。

そして数日後、内定の通知が届きました。
同時に、新入社員代表として入社式で「答辞」を読んでもらいたいので、文章を作ってもらえないか、という話まで頂いてしまったのです。


正直で何が悪い?

もちろん、10人が10人、筆者のような受け答えで内定をもらうことができるわけではないでしょう。
しかし面接とは「自分という人間を紹介する」場所だと筆者は考えています。

最近「STARフレーム」という手法が注目されています。

Situation:「どのような状況で」
Task:「どのようなタスクを持ち」
Action:「どのような行動をして」
Result:「どのような結果をもたらしたか」

の頭文字を取ったもので、これをもとに自己紹介を組み立てることで多くの質問にスムーズに回答できるというものです。

転職でもよく言われることなのですが、例えば

「過去にはAというプロジェクトに臨み、そこで売上高を前年の120%にすることができました」。

自分の実績をアピールしようという意図での発言ですが、これは「個性」ではありません。他人からすると、それがいかに困難なことなのかがわからないからです。

スポーツ部のキャプテンだったという希望者は多く面接に来ます。そこで「○○大会で優勝した」と言われても、採用側にはそれがどのくらい難しいことなのかはピンときません。

どんな状況で、何を考えてどんな行動をし、結果に繋がったのか。その過程こそ他の希望者との間に差をつけられるのです。

これは筆者が経験した一連の面接の中で再現されていました。

1次面接は「人としての印象」です。2次面接がいわゆる「圧迫面接」なのは、これまでにない空気の場所で難しい質問をされたときに「どのような状況(=圧迫面接)」で「どのようなタスク(=質問に答えなければならない)」を持ち、「どのような行動をして(=どのような態度で)」「どのような結果(=どのような回答をするか)」につながったかを見ているのです。

自分の尺度に合わない、あるいは知ったかぶりで回答をすると徹底的に詰められて、最後は黙らされてしまうよ、というアドバイスもありました。
社長の前で臆することなく自分の状況を正直に話した、それが最終的にプラスポイントになった部分もあったと今になって筆者自身も思っています。

また、これは採用側に是非参考にしていただきたいことなのですが、筆者が当時先輩からアドバイスを受けていたのは
「会社は学生に中途半端な知識なんか求めていない」
ということです。もちろん全ての企業がそうであるわけではありません。

ただ、「あの人は正直すぎて良くない」—
大人になるとそんな言葉すら出てきます。
しかし、社会全体が閉塞感に包まれるなか、正直にものを言える人材は貴重かもしれません。むしろ、そういった風潮がさらに閉塞感を強めているのではないでしょうか。

それに、「好き」の力は絶大です。
「叱られたくないから余計なことはしない、言わない」。
そんな風潮を変えるのは、凝り固まった考え方にズバリ意見できる人材でもあります。
採用側も応募側もぜひ参考にしていただき、良い出会いとご縁を結んで下さい。
清水 沙矢香

この記事を書いた人

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道局で社会部記者、経済部記者、CSニュース番組のプロデューサーなどを務める。ライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に幅広い視座からのオピニオンを関連企業に寄稿。<br> 趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。<br> <a href="https://twitter.com/M6Sayaka "target="_blank">https://twitter.com/M6Sayaka </a>