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管理職は全員Twitter民になるべきだ — 思わぬ失言で老害と言われない予防策

コラム公開日
かつて「失言・炎上」といえば、政治家や著名人によるものでした。

しかし現在では、“中小企業の管理職までが、炎上リスクに常時さらされている”といっても過言ではありません。社内でポロッと放った一言がSNS上で拡散するケースもあるためです。

世間に拡散しないにせよ、失言は部下たちのモチベーションを奪い、離職の引き金を引くことも。本記事では、なぜ失言してしまうのか、回避するために何をすれば良いのか、考えていきたいと思います。

なぜ失言してしまうのか?3つの理由


近年、増え続ける失言騒動。そもそもなぜ失言は起きるのでしょうか。大きく3つの理由が考えられます。

  • (1)パラダイムシフトを把握していない
  • (2)リスクを見誤っている
  • (3)自分の正しさにこだわりがある

1)パラダイムシフトを把握していない


1つめの理由は「パラダイムシフトを把握していない」ためです。

パラダイムとは、その時代の考え方や価値観・暗黙の了解のこと。現代は、パラダイムが激しく変化する時代といえます。

これまで良かったことが悪いことになり、悪いことが良いことになる。たとえば新型コロナウイルスの対応ひとつ取ってみても、考え方は頻繁に変化してきました。

新しい価値観が生まれたとき、変容を受け入れるスピードは人によって異なります。あるいは、受け入れない人もいます。

ただ、企業人が失言しないために必要なのは、必ずしも“いち早い変容”ではありません。変容しないにせよ、新たなパラダイムの出現を把握できているか?がポイントとなります。

(2)リスクを見誤っている


2つめの理由は「リスクを見誤っている」ためです。

自分の発言に責任を持つ。ここに異論がある方はいないでしょう。ですが、実際に“責任を持つ”となると難しい問題です。

「自分が発言した結果、起きたことの責任を、自分で負う」わけですから、リスクのある発言をするなら、リスクの内容を理解し、何か起きれば自分で対応せねばなりません。

ここで重要なのは“発言の結果”であって、発言に至るプロセス(本当の意図や悪気がないこと)は関係ないのです。

(3)自分の正しさにこだわりがある


3つめの理由は「自分の正しさにこだわりがある」ためです。

自分の無知や不勉強によって、失言しそうになる可能性は、誰にでもあります。

しかし、“自分が間違うかもしれない”という謙虚さがなければ、傷口は大きくなるばかりです。

相手が、怪訝な表情を浮かべる・首をかしげて黙る・反論するといった反応を見せたとき、自分の正しさを証明するために、矢継ぎ早に言葉を重ねていくのは最も良くないパターンといえます。

弁明の余地もないほど失言を完璧にして、本人は満足している。これでは老害といわれても仕方ありません。

パラダイムとリスクをとらえるTwitterのすすめ


ではどう対応すれば良いのかといえば、「パラダイム」と「リスク」の両方をとらえること。役立つツールとしてご提案したいのが、「Twitter」です。

なぜなら、<Twitterは新旧のパラダイムがぶつかり合って、毎日どこかで炎上している場所>だからです。

具体的な利点として、3つのポイントが挙げられます。

  • (1)「生の声」で自分と異なる価値観への理解が進む
  • (2)「数の可視化」でリスク度が実感できる
  • (3)「今日の話題」を1分でチェックできる

(1)「生の声」で自分と異なる価値観への理解が進む


「●●の失言で炎上」のトピックを、ニュースで見かける機会が多くなりました。しかし、ニュースで見聞きしただけでは、何が問題なのか理解しにくいものです。

たとえば、本記事執筆時(2022年2月)は、Twitterで人事アカウントの炎上が相次いでいます。多くのメディアが取り上げており、目にした方も多いでしょう。

「採用は“採ってはいけない人”を見極める仕事」
「待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない」

上記はそれらツイートの一部です。しかし切り取られた情報だけ見ても、怒っている人・傷ついている人の姿は見えてきません。

実際にTwitterにアクセスすれば、生の声を簡単に拾えます。自分とは異なる価値観だとしても、生の声に耳を傾けて、理解することができます。

(2)「数の可視化」でリスク度が実感できる


誰が見ても良くないと感じる前時代的な価値観であっても、抱えている本人は、なかなか気付けません。周囲から指摘されても、自分の“正しいという感覚”を信じてしまうからです。

そこで効果的なのが客観的データです。Twitterは、人々の支持が数字で可視化される点で、わかりやすさがあります。

自分と真逆の価値観に、何万もの「いいね」がついているさまを目撃することは、すなわち“自分の価値観を貫いたときのリスク度を実感すること”です。

発言時に「自分が責任を取れる範囲のリスク許容度かどうか」を見積もるために、有益な情報を与えてくれます。

(3)「今日の話題」を1分でチェックできる


目まぐるしく移り変わるパラダイムを把握するためには、小まめに情報をチェックしたいところです。

Twitterのトレンドを見ると、リアルタイムで炎上やその他の話題をフォローできます。

スマホ用アプリなら、[虫眼鏡マーク]をタップ → [おすすめ]タブを確認しておけば充分です。時間にして1分もかかりません。



気になったツイートや、もっと集めたい情報があるときは、いいねを押す・関連ユーザーをフォローするなどアクションしておきましょう。

理由は、Twitterではユーザーのアクションに応じて、おすすめがカスタマイズされるためです。欲しい情報が自動的に収集され、効率的なチェックが可能になります。

補足:匿名のウォッチ専用アカウントを作成する


補足として、ウォッチ目的でTwitterを利用する際には、匿名のウォッチ専用アカウントを作成し、ツイートはせずに利用することをおすすめします。

というのは、炎上リスクの高いツイートに「いいね」を押すだけでも、非難の対象となることがあるためです。

くれぐれも、実名アカウントで炎上中のツイートに返信…といった使い方は、避けるのが賢明です。余計な火種を増やしてしまいます。ご注意ください。

さいごに


本記事では、思わぬ失言で危機に陥らないための予防策をお伝えしました。

余談となりますが、失言・炎上の報道を目にするたびに、思うことがあります。

「失言に対して、どれだけ言葉を尽くして糾弾しても、何も良くならないのでは?」
「必要なのは、古い価値観のまま置いてけぼりになっている人が、どうすれば理解できるのか考えることでは?」

もちろん、政治家などの社会的責任のある人が糾弾されるのは当然ともいえます。

しかし一方で、たとえば社内に古い価値観の人がいる場合、どう対応するのか。遠ざけていては分断が進むばかりで、事態はより悪くなってしまいます。

いま考え得るベストな解決策は「新しい時代の空気を毎日吸い続けてもらうこと」。空気とは、すなわち「情報」です。

本文中ではTwitterをご紹介しましたが、空気の吸い方は無数にあります。ぜひいろいろな吸い込み方を、試していただければと思います。
三島つむぎ

この記事を書いた人

三島つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。