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後輩や部下からの、上手な相談の受け方6原則

コラム公開日
報告・連絡・相談の重要性が、新入社員研修で必ず説かれるのは、それが重要だと、皆が認識しているからです。

そして、この3つのうち、上司にとって、一番問題となるのが、「相談」です。
というのも、前者2つは部下が主体となりますが、「相談」については上司もまた、主体の一人であるからです。

ところが一般的に、「相談の受け方」を、きちんと習ったことのある上司は非常に少ないのが現実です。

私はコンサルティング会社にいたころ、「管理職研修」の講師をやっていたことがありますが、「相手の話を聞くときは、相手のほうを向く」とか「途中で断りなく携帯を見ない」などといった、基本的なことすらできていない人が数多くいました。

部下の気持ちになってみれば、それが問題行為であることはすぐに分かるのですが、彼らは
自分の態度が、相手にどのようなインパクトをもたらすのか、想像できないのかもしれません。

しかし、私自身も、あまり人のことをとやかく言えるような立場ではありませんでした。
実際、私がマネジャーであったときには、年上の部下が多く、「相談」をうけても、十分な対応ができなかったという認識があります。

というのも、「相談を受ける側の原則」を私は理解していなかったのです。

相談を受ける側の原則

実は、相談をうけるに際しては、守るべき原則があります。
私はそれを、コンサルティング会社で学びました。
それが、以下の事項です。

1.自分の手を止める。

作業をしながら、相談を受けるべきではありません。
どんなレベルの相談であっても、「何かをしながら」というのは、相手に「真剣に聞いてくれない」という印象を残します。

もちろん、脇見をしたり、携帯を見たり、相手を見ないなどといった行為は論外です。
したがって、相談は基本的には自席で受けるべきではないと感じました。
PCがどうしても気になるからです。

作業中であれば「10分後でいい?」と聞き、待ってもらうか、もしくは手を止めて「会議室に移動しようか」と言うか、どちらかの選択肢しかないのです。

2.指導の場ではない

部下の相談内容がわかりにくかったり、質問が曖昧だったりすると、つい相談の場で
「で、何が言いたいの?結論から言って」
など、相手を指導するような発言をしてしまいがちですが、一旦それは脇に置くことが推奨です。

というのも、相談は内容によっては緊急性の高いものや、トラブルが発生している事項もあり、相談相手から責められると、人によってはかなり強いストレスを感じてしまうことがあるからです。

「ここは指導の場ではない」と一度認識し、まずは相手の話に対するツッコミは止めましょう。

3.安易に「聞く」テクニックを使わない

カウンセリングの本などを参照すると、話を聞いているときには頷いたり、相手の話を繰り返したり、相手の話を肯定したりしなさい、と書いてあるケースもありますが、個人的にはそういう「テクニック」を素人が安易に真似するのは、あまり良くないと考えています。

というのも、相手にとって、「わざとらしい相槌」や「わざとらしい肯定」は、「テクニック」が透けて見えて、かえって不信感を招く可能性もあるからです。

普段からそのような練習を行い、経験を積んでいるプロであれば別ですが、素人が付け焼き刃でテクニックを相談の場に持ち込むのは、あまり良いことではないでしょう。

基本的には、オーバーにそれをやるよりも「親しい友人の話を、真面目に聞く」という心構えで自然に相手に対面するほうが、良いでしょう。

4.アドバイスは求められたときだけ行う

相談には、2種類あります。
「聞いてほしい」という内容と、「解決してほしい」という内容です。
そして、この2種類の区別は非常につきにくいのです。

したがって、初手では「聞いてほしいだけ」と認識し、アドバイスはしないようにします。
基本的に、我々はカウンセラーなどの相談を受けるプロではないので、その判断は非常に難しく、ヘタに喋ると、相手の話を遮ってしまう可能性もあります。

基本的には黙る。
相手の話に「おかしいな」と思うところがあっても、まずは黙って最後まで聞きます。

そして、相手が話し終わったときに、改めて聞きます。
「私にできることはありますか?」と。

そこで、相手が「こうしてほしい」と言うときだけ、それに応えましょう。
経験的に、殆どの人は「私にできることはありますか?」と聞くと、「今はまだないです」と言うことが多かったと記憶しています。

5.上司は解決策を出さない

相手がもし「解決してほしい」と求めてきても、基本的には「こうしなさい」と答えないほうが無難であるケースが多いです。

というのも、上司が指導する「解決策」が、いきなり言われた当の本人にとってはハードルが高いものであることが少なくないからです。

「潔くあやまってこい」とか
「まずは文書にまとめたらどうだ」とか
「試してみたらいい」とか、

上司にとっては何でもないことでも、部下にとってはハードルが高く、実効性のないアドバイスがなされることがよくあります。

「仕事だから、つべこべ言わずにやれ」というのも一つの方法ではありますが、
その場合、「怖い上司」認定されてしまい、次から相談されることはないでしょう。

では、上司が解決策を出さない場合、どのように解決に持っていけばよいでしょう。
これは二通りあります。

(1)上司が解決してしまう
「俺に任せろ」といえば、部下は安心するでしょう。
解決を委ねることができれば、それで相談はおしまいになります。

(2)「一緒に考えよう」という
しかし、上司が解決できない問題、あるいは上司が解決すべきではない問題というケースもあります。
例えば人間関係の悩みや、本人の仕事を取り上げることになってしまうケースでは、上司が介入したことで、更に状況が悪化することがあるからです。

この場合は、本人に解決を委ねなければならないのですが、だからといって「こうしなさい」とは言えない。
そういう場合は、「いっしょに考えよう」と言います。

そして、ヒントを与えながら、相手にできる限り喋ってもらう。

もちろん、上司からすれば、解決策は明らかに見えているケースも有るのですが、相談相手に解決策を出させることで、その実行へのハードルを下げるのです。

また、案がでても、上司はそこでひと安心してはいけません。
「実行」ができるように、「いつ」「どうやって」やるのかを具体的に相手が決めるまで、じっと我慢する必要があります。

このプロセスには1時間以上かかるケースも少なくなく、余裕のあるときに行わなければ、中途半端な結果に終わりますから、注意が必要です。

6.専門的な内容の場合は、自分で対処しない

抑うつや、体の不調、あるいは「不正」や違法行為にかかわる話題は、上司が無理に相談に乗ったり、解決したりする必要がありません。

とくに、以前抑うつなどで休職したことのある部下などの相談は、素人が無理に解決しようとすると、自体の悪化を招く可能性もあります。

また、社内の不正や違法行為についても、上司がヘタに相談に乗るよりも、弁護士やホットラインの利用、あるいは行政に訴えたほうが良いケースが数多くあります。

以上、6つが私の知る「相談を受けるときの原則」です。

見ていただいてわかると思いますが、どの原則も肝心なのは「上司が自分の力を過信しないこと」を中心においています。

我々は仕事のプロではありますが、人の悩みを聞くプロではありません。
そこを認識し、控えめに対処することが、相談を受けるときの基本的な考え方となります。
安達裕哉

この記事を書いた人

安達裕哉

◯Twitterアカウント▶安達裕哉<br> <a href="https://twitter.com/Books_Apps "target="_blank">https://twitter.com/Books_Apps </a><br> <br> 元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者(<a href="http://tinect.jp "target="_blank">http://tinect.jp </a>)/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。