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「大人のなりたい職業1位」で話題のWebライター どうやったらなれる?本業ライターが詳しく紹介

コラム公開日
「在宅でできる」「自分の時間配分でできる」「文章を書くのが好き」。
このようなイメージから、Webライターに興味を持つ人が増えています。

コロナ禍で在宅ワークへの関心が高まったり、副業として考える人も多いようですが、実際Webライターになるにはどうすればいいのか、また、Webライターで生活していくと生活はどのようになるのか、本業ライターである筆者が紹介してみたいと思います。


YouTuber、公務員をおさえて1位に

デジタルマーケティング事業者の「PLAN-B」が、昨年年末にこのようなランキング*1を発表して話題になりました。

「大人のなりたい職業ランキング」。

よく、子供や大学生の憧れの職業ランキングは目にしますが、いま働いている大人を対象にした珍しいアンケートだな、と筆者は思ったのですが、問題はその結果です。

ランキング1位は「Webライター」。

これには心底驚きました。
筆者は本業Webライターです。友人らからはいつも「それで食っていけるのがすごい」と言われます。あとは「かっこいい」「才能があってうらやましい」。世間受けは確かに良いものです。
確かに「自宅でマイペースで仕事をしていて生活できる」と聞けばそれは素晴らしいように感じることでしょう。

それに正直、この仕事には「免許」「資格」は要りません。もっと言えば、特段の専門知識がなくてもできる仕事です。

つまり、理論的には「誰でもなれる」職業なのです。

とはいえ「そんなに簡単なことではないだろう」と思う方もいらっしゃるでしょう。
その通りです。


筆者はどうやってWebライターになったのか

筆者がWebライターになった経緯をざっくりお話ししましょう。

自分は会社勤めに合わない、ということがしばしばあり、わかりやすく言えば「疲れ切って退職した」ところからです。

とはいえ、筆者には文章を書くことしか特技がありませんでした。
そこで、最近流行りのWebライターをやってみよう、と思い立ちました。

筆者の場合、

「学歴も職歴も立派なんだからすぐに引っ張りだこになるんじゃないの?」

と思われるでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。

最初はマッチングサイト・アルバイト募集サイトから

とはいえ筆者には、この世界では何の人脈があるわけでもありません。
よって、入り口は募集サイトでした。

マスコミに在籍したとは言え、Webの世界では初心者です。そう簡単に安定した仕事を取れるわけではありません。
決して単価が良いとは言えない仕事にいくつかトライしながら、最初にまとまった仕事をもらえたのはアルバイト募集サイトで見つけたある企業からでした。

経歴を見て即採用してくれたのですが、後述しますがこれはレアなパターンです。

その「まとまった仕事」というのは、ある外資系企業のホームページをまるごと作り直すというものでした。そのプロジェクトを請け負っている会社から業務委託の形で、要求された内容のコンテンツを執筆していくという流れです。

ランサーズやクラウドワークスといったサイトでライターの仕事を探したことがある人は分かるかと思うのですが、この仕事は「1文字4円」。「超高額」と思われるでしょう。

しかし、事はそんなに甘くはありません。
その仕事が「毎日来る」わけではないからです。

クライアントの作業もありますので、月に数本程度の話なのです。

1記事が3000文字程度とすれば、1本の仕事が1万2000円です。
これを月に数本やったところで、およそ生活にはなりません。

マッチングサイトでじりじりと

もちろんその仕事と並行して、マッチングサイトで自分にもできそうな案件を見つけては応募しまくっていました。

極端に安い仕事はさすがに避けましたが、実績がほとんどないために採用される率もかなり低いものでした。

それを続けて1年くらいでしょうか。ようやく、生活とまではいかずとも安定して仕事を発注してくれる企業と出会いました。やがて当初の枠を超えてその企業と直接契約を結び、それなりの収入になっていったという次第です。

また、その記事を読み続けてくれていた知人から、今うちでこういうプロジェクトがあるんだがやってくれないか?というお声がかかるようになります。
1社との契約だけでは不安な稼ぎだという場合は、そうやって複数社と契約を結ぶことで少しずつ余裕ができていくのです。

どんな経歴があろうと、それなりの稼ぎになる案件を継続受託していくには「Webライターとしての実績」を細かく積み上げていくしかないのです。


売れっ子ライターの生活実態

さて、手前味噌ではありますが、筆者は「売れっ子」に属する方だと思っています。
「毎月仕事が途絶えない」「そんなに長時間労働をしなくても生活できている」、ここまで行くのはそう簡単なことではないからです。

ただ、本業にするには、そこまで行かなければ安定した生活はできません。

まず、ライターは大半が個人事業主です。筆者の場合は本業なので、仕事での収入は全てが「原稿料」です。
当然、退職金も雇用保険も厚生年金もありません。それに、何歳までできるかもわかりません。
ですから、「月収○○万円」という額面の金額だけでは安心できません。普通以上に貯金をしていかなければならないというのは事実です。

次に、仕事内容についてです。

最も勘違いされがちな点は、「自分が好きなこと」「書きたいこと」を書いて仕事になるわけではないということです。ニーズに沿ったものを書かなければなりません。個人の趣味のブログとは違い、プロとしてお金をもらう原稿は「商品」なのです。

そして、どんな生活になるかといった点にはメリットとデメリット両方があります。
平日に休めたり寝坊しても許されたり、仕事の途中でふらりと出かけたりできるのは皆さんの想像通りという部分はあります。

しかし、「休むのも自己責任」です。これはなかなか恐ろしいことで、「ああ、きょうは休みたいなあ」と思ったとき、もちろん休むのは自由です。しかし、そのツケがどこかでやってくるのではないか…といった恐怖感と隣り合わせです。

休む日は「絶対にきょうは100%休む!」と覚悟して、本当に休まなければなりません。
それに、自己管理ができなければあっという間に昼夜逆転になり、体調を崩してしまうので注意が必要です。

寝床から通勤場所まで5秒。善し悪しです。


Webライターになるために必要なこと

最後に、Webライターになるために何が必要かをご紹介します。

ごく「普通の」日本語力

もちろん文章力は必要です。しかし、文学や論文のように立派な文章を書ける必要はありません。
ただ、最近は全体的に「日本語力」が低下しているなあ、と筆者は応募者の原稿を見て感じることがあります。最低限正しい「てにをは」を使える、「ら抜き言葉は書かない」程度には日本語力があって欲しいと思います。


幅広い好奇心
特定の分野やテーマに沿った原稿を求められたとき、そのひとつのことについて「周辺にはどんなことがあるんだろう?」「どんな背景があるんだろう?」と好奇心を持てる人は、話題性に富んだ原稿を書ける可能性が高くなります。思わずたくさんネットサーフィンをしてしまう、そんな特性です。
逆に、自分の考え方にこだわりすぎて狭い世界にこもっている人は向きません。地道に続けてこそ自分の世界が広がり、その広さがまた新しい仕事に繋がるのです。

謙虚さとサービス精神

そしてこれが、最も大切なことです。
自分はそんなに色々なことを知っている人間ではないという姿勢、その姿勢が上記の好奇心にもつながります。
また、この世界では、この世界での実力だけがものを言います。全く知らない業界に入るんだ、ここでは初心者だという気持ちが必要です。
そして「読んでもらう努力」をしなければライターとして一人前とは言えません。


安請負も考えもの〜スキル管理も必要

いかがでしたか?

ここまで書いてきたことに加えて筆者が個人的にアドバイスしたいのは、あまりにも安い仕事をだらだらと続けるべきではないということです。
もちろんいきなり高単価の仕事にありつけるわけではありませんし、最初に試してみるという意味では否定はしませんが、「書く」というよりも「作業」であるような仕事はいくら数を重ねても「実力」には繋がらないのです。

一筋縄にいかないこともあるでしょうが、軌道に乗ればライターはクリエイティブな仕事として楽しいものです。
まずは副業として力試ししていくのが良いと思います。

また、確かな人脈からの声かけにはまず飛びついてみるという思い切りも必要です。



*1
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清水 沙矢香

この記事を書いた人

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道局で社会部記者、経済部記者、CSニュース番組のプロデューサーなどを務める。ライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に幅広い視座からのオピニオンを関連企業に寄稿。<br> 趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。<br> <a href="https://twitter.com/M6Sayaka "target="_blank">https://twitter.com/M6Sayaka </a>