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退職代行を使われたら?企業として取るべき対応方法を解説

お役立ちコンテンツ公開日

昨今、注目を集める「退職代行」。「従業員に退職代行を使われたが、どうしたらいいか」といった相談も増えていると耳にします。
ある日突然、退職代行サービスから電話がかかってきて対応が必要になったら、びっくりして焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、退職代行サービスを使われた際に、企業がどのような対応が必要になるのか解説します。

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退職代行サービスとは


退職代行とは

退職代行とは、従業員が自ら会社に退職を申し出ることが難しい場合に、代わりに会社に退職の意思を伝えるサービスです。従業員は退職代行業者に依頼することで、直接会社とやり取りすることなく、スムーズに退職手続きを進めることができます。

「わざわざお金をかけて退職代行してもらう意味があるの?」と考える方もいるかもしれませんが、自ら退職の意向を会社に伝えにくい状況にいる人は少なくありません。例えば、職場の雰囲気が悪く、退職をなかなか言い出せなかったり、退職を口にするたびに上司に引き止められたりするなど、さまざまな理由で会社に行くこと自体が大きなストレスになっている人もいます。このような人たちに、退職代行サービスは利用されています。

エン・ジャパンが運営する求人サイト『エン転職』で実施したユーザーアンケートでは、退職代行サービスの認知度は72%と、その認知は広まっています。


出展『7700人に聞いた「退職代行」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー


退職代行の3つの形態

退職代行を行なっているのは、「民間の退職代行サービス」「弁護士事務所」「退職代行ユニオン」に分けられます。

1. 民間の退職代行サービス

民間の退職代行サービスは、事業のひとつとして退職代行を提供している民間企業です。民間の退職代行サービスにできることは、「本人に代わって、会社に退職届を提出する」ことだけにとどまります。
後述の弁護士事務所や退職代行ユニオンとは異なり、依頼者の代弁者として会社との交渉にあたることはできません。

交渉不可、手続きだけのサービスであると言えます。

2. 弁護士事務所

弁護士事務所は、様々な理由によって会社側との平穏な交渉ができなかったり、会社に行きたくなかったりする人の依頼を受けて、日程の調整や引き継ぎなどの交渉や調整を行います。
従業員と会社との間で発生するトラブルを仲介し、円満な退職交渉までを支援するサービスと言えるでしょう。

なお、こうした交渉や調整は、弁護士資格を持つ者にのみ許されている行為です。

3. 退職代行ユニオン

退職代行ユニオンは、規模が小さく社内に労働組合がない場合、労働者が加入できる外部の労働組合です。正社員でも非正規社員でも、雇用形態にかかわらず加入できるというメリットがあります。
退職代行ユニオンは会社に対する団体交渉権が認められているため、退職日の調整や未払い賃金請求などの直接交渉が可能です。しかし、その交渉の過程で決着がつかず、裁判にもつれ込んだ場合には、弁護士のように代理人として動くことはできません。


利用者が増える背景

近年、退職代行サービスの利用者が増加している背景には、以下の要因が考えられます。

1. 退職交渉の困難さ

退職交渉は、会社との関係悪化やトラブルに発展するリスクを伴うため、従業員が一人で対応することをためらうケースが増えています。

2. 手続きの複雑さ

退職に関する法律や手続きは複雑で、従業員が一人で理解することは困難です。退職代行サービスは、専門的な知識や経験に基づいて、従業員をサポートします。


退職代行を使われた際の企業の初期対応


退職代行業者から連絡があった場合、企業は冷静かつ迅速に対応することが重要です。
企業が対応すべき事柄を解説します。

1. 代行業者の身元確認

先述の通り、退職代行には3つの形態があります。どの退職代行からの連絡かによって、対応の仕方も異なるため、まずは退職代行の身元を確認し3つの形態のいずれかにあてはまるのかを明らかにしましょう。

その上で、その業者が実際に従業員本人から依頼を受けた業者であるかを確認しましょう。
従業員本人からの依頼であることを確認するには、委任状や本人の身分証明書の写しの提示を受ける方法があります。

また、先述の通り、代行業者が弁護士でない場合は退職条件に関する交渉はできませんので、代行会社の身元を確認して対応することが大切です。

・弁護士事務所や退職代行ユニオンの場合
弁護士は、依頼者に代わって各種手続きや交渉を行う権利を持っています。つまり、弁護士は依頼者と同等の立場であり、正規の弁護士が業務として退職代行を行なったのであれば、それは従業員本人からの退職の意思表示になります。会社側が「退職を認めない」などと反発したり、交渉を拒否したりすると、民法上の不法行為にあたる可能性があるため注意が必要です。

弁護士が退職代行を行う場合、基本的には退職を決定事項として、退職日の調整など必要な業務に移りましょう。退職代行が退職代行ユニオンである場合も同様です。

・民間の退職代行サービスの場合
民間の退職代行サービスは、弁護士のような代弁行為はできず、退職代行ユニオンのような団体交渉権も持っていません。そのため、会社に「依頼者の退職以降」を伝えることしかできず、代理人としての要求や交渉を行うことは「非弁行為」にあたり違法になります。民間の退職代行サービスからの要求に対しては、会社側は拒否することができます。

一方で、民間の退職代行サービスを使っている時点で、依頼者との円滑な交渉を行うことは難しいため、拒絶するよりは依頼者との橋渡し役と捉え、円満退職に向けての対応に移ることが得策と言えるでしょう。


2. 従業員本人の依頼確認

退職代行業者から連絡があったとしても、本当に従業員本人が退職を希望しているのか、従業員本人の意思を確認することが大切です。
レアケースですが、悪意のある第3者のイタズラであったり、トラブルに巻き込まれている可能性も考えられます。
もちろん、退職代行を使っている時点で、従業員本人が電話やメールでの確認に応じてくれる期待感は薄いですが、それでも可能性はゼロではありませんので、まずは確認をするようにしましょう。

3. 従業員の雇用形態確認

従業員の雇用形態を確認し、適切な対応を考えます。正社員、契約社員、パートタイマーなど、雇用形態によって退職手続きや退職金の支払いなどが異なります。


退職手続きと貸与品の返却

代行会社と本人の確認がとれたら、手続きを進めます。

1. 退職届の提出依頼

退職代行業者を通じて退職希望者に退職届の提出を依頼します。退職届の提出期限や必要な書類などを明確に伝え、スムーズな手続きを進めます。
退職代行から送られてきた場合には、内容に漏れや誤りがないかを確認しましょう。書式に不備があるようなら、再度作成して郵送してもらう手続きが必要です。

2. 貸出品の返却依頼

企業から貸与された物品の返却を依頼します。会社のパソコンや携帯電話など、貸与された物品は、退職前に返却してもらう必要があります。会社まで届けてもらうことが難しい場合は、宅配便などを活用しましょう。

3. 退職手続きの進行

退職届を受領後、スムーズに退職手続きを進めます。退職金の支払い、社会保険の手続きなど、必要な手続きを漏れなく行い、退職希望者が安心して退職できるように対応しましょう。
社内での退職手続きが完了次第、従業員本人に伝えます。メールでの連絡でも良いですが、併せて従業員本人に書面を郵送しておけば確実です。


退職代行を使われた場合の注意点

退職代行業者から連絡があった場合、企業は冷静に対応し、適切な対応を行う必要があります。
ここで対応を間違えてしまうと、法に触れることになったり、後々のトラブルに繋がったりする可能性があるため、くれぐれも注意が必要です。

1.安易に交渉しない

退職代行業者は、従業員に有利な条件で交渉を進める場合があるため、企業は安易に交渉に応じないことが重要です。また、民間の退職代行サービス(弁護士以外)からの条件交渉は違法になり、手続きが無効になる可能性がありますので、注意しましょう。この場合、あらためて従業員本人あるいは弁護士などを通じて退職手続きをとらなくてはならなくなり、会社側としては手間が増えるばかりです。

2. 従業員への配慮

従業員の退職意向を尊重し、従業員に圧力をかけたり、暴言を浴びせるような対応は避けましょう。退職代行を使うということは、従業員本人はすでに会社に対するポジティブな感情はないと考えられます。退職を拒んだり、引き止めたりしたとしても復帰の見込みは少なく、仮に復帰したとしてもモチベーションが下がった状態で良い結果は期待ができません。SNSなどで悪い情報は簡単に拡散される時代です。従業員が安心して退職できるよう、丁寧な対応を心がけます。

3. 迅速な手続き対応

退職手続きを迅速に進行させることが重要です。手続きの遅延は避け、スムーズな対応を心がけましょう。有給休暇が残っている場合は消化をさせる必要があるため、従業員本人の勤務状況をチェックし、有給休暇が残っているかどうかを確認します。有給休暇の消化を無視すると、労働基準法違反になってしまい、会社側がその非を責められることになるため注意が必要です。


退職代行を防ぐための企業の取り組み


退職代行による従業員の退職申し入れは、会社側にとってショッキングな出来事でしょう。「直接相談してくれれば良いのに」という思いが残り、特に直属の上司にとっては自分の至らなさを痛感してしまうかもしません。

こうした結果を迎えないよう、退職代行サービスの利用を防ぐためには、企業は従業員との良好な関係を築き、働きやすい環境を提供することが重要です。


1. 退職代行の利用原因の把握

退職代行を利用する原因を理解し、改善策を講じます。従業員が退職代行を利用する背景には、会社への不満や不安がある場合が多いです。もちろん、従業員本人の問題もあるかもしれませんが、なぜ会社に直接退職を伝えられなかったのか、企業として根本的に問題がないか振り返ってみましょう。

『エン転職』で実施したユーザーアンケートでは、退職代行サービスを利用した理由として「退職を言いだしにくかったから」が最多となっています。


出展『7700人に聞いた「退職代行」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー

2. 従業員との円満な関係構築

日頃から従業員とのコミュニケーションを大切にしましょう。従業員の意見を聞き取り、働きやすい環境づくりに取り組みます。従業員が不安・不満に思っていることを把握し、改善することで事前に退職を食い止めることができるかもしれません。

3. 勤務環境の改善

長時間労働やパワハラなど、劣悪な労働環境があれば、改善に努めましょう。従業員が悩みや不安を安心して相談できる窓口を設けるなどの仕組み作りも重要です。従業員のモチベーションをいかに高められるかが、退職代行の利用を防ぐことに繋がります。


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