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経験者が解説 副業と複業のメリット・デメリットはこう違う

コラム公開日最終更新日
コロナ禍は図らずもこれまでの働き方を見直す絶好の機会になりました。

待ったなしで始まったテレワーク、通勤時間の節約や労働時間短縮に伴って取り組む人が増えた副業は、多様な働き方のひとつとして注目されながらも、スムーズな普及が難しいものでした。

しかし、現在は企業にとって、優秀な人材を確保するためには副業解禁が必須という時代になりつつあります。

筆者にとって副業はコロナ禍以前からなじみ深いものでしたが、現在はさらにワンステップ進んで「複業(パラレルワーク)」へと変化を遂げています。

筆者がそうした経験から見出したことの中には、柔軟な働き方を探る上で参考にしていただけることがあるかもしれません。

本記事では、筆者の経験をシェアしながら、副業と複業について様々な側面から考えてみたいと思います。


「もしも」は突然やってくる


筆者を襲った「もしも」

世の中は甘くない。
そんなことばをしみじみと噛み締める出来事がありました。つい先日、この原稿をお引き受けした直後のことです。

「大変申し訳ありませんが、非常勤の方には、来年度は一律、予定していた業務の4割程度しかご担当いただけません」
そんなメールが飛んできたのです。
ええっ?  4割減ではなく、6割減ですか? そんなあ・・・。
しかも、来年度開始までに2か月半しかない、このタイミングで?

その1週間前のメールには、「半分程度かと予測しております」とありました。さては少しサバをよんで大げさに伝えておき、その後のショックを和らげる作戦に出たな。そう考えていた自分はなんとおめでたい人間だろう。

メールを送ってきたのは、筆者が業務委託契約を結んでいる組織のひとつ。理由は、ある事情から来年度の予算が突然、大幅カットされたことでした。
今年度だってコロナ禍の影響で予定の15%減の担当だったというのに、来年度はその比ではありません。さらに、再来年度もどうなるかわからないとのこと。

ちなみに、こちらにはなんの落ち度もないはずです。失敗をしたわけでもなければ、勤務態度が悪かったわけでもありません。自分なりに誠実に勤めてきたつもりでも、時にこういう憂き目に遭ってしまう。
理不尽です。でも、そんなことが起こってしまうのが人生というものらしい・・・。

コロナ禍での営業自粛や労働時間短縮、リストラなどはその典型といってもいいでしょう。
それは、企業規模やこれまでの企業実績とも、社員の能力や働きぶりとも関係ない。誰にとっても、いつ自分の身に降りかかってこないとも限らないリスクなのです。

今回、そのリスクが現実となって我が身に振りかかってきたとき、「世の中は甘くない」ということばを噛み締めつつ、「パラレルワーカーで助かった」と心に余裕がもてたのは幸いでした。

副業・複業とは

ここで、副業と複業の定義をしておきましょう。
本稿では、複数の仕事をかけもちする働き方のうち、本業(=主となる仕事)のサブとしての仕事を「副業」、複数の仕事を主と副とに分けず、いわば本業が複数あるような働き方を「複業」とします。

形態は、副業・複業を問わず、以下のように多様です。*1
  • 企業に雇用される形で行うもの(正社員、パート・アルバイトなど)
  • 事業主として行うもの
  • 請負や委任といった形で行うもの


「仕事のかけもち」のメリット

副業・複業を問わず、仕事をかけもちすることのメリットを考えてみましょう。

複数の収入源というリスクヘッジ

エン・ジャパンの「『仕事のかけもち・Wワーク・副業』実態調査2021」によると、「仕事のかけもち・Wワーク・副業をして良かったこと」に関する経験者の回答は以下のようなものでした(図1)。


図1 仕事のかけもち・Wワーク・副業をして良かったこと(複数回答)
エン・ジャパン(2021)「『仕事のかけもち・Wワーク・副業』実態調査2021」

「仕事のかけもち・Wワーク・副業」実態調査2021 ー『エンバイト』ユーザーアンケートー 53%が「仕事のかけもち・Wワーク・副業の経験がある」と回答。 Wワークを開始した時期は、「新型コロナウイルスの流行前」が8割。 | エン・ジャパン(en Japan)

人材総合サービスを提供する、エン・ジャパン株式会社、ニュースリリースのページです。

corp.en-japan.com

「仕事のかけもち・Wワーク・副業」実態調査2021 ー『エンバイト』ユーザーアンケートー 53%が「仕事のかけもち・Wワーク・副業の経験がある」と回答。 Wワークを開始した時期は、「新型コロナウイルスの流行前」が8割。 | エン・ジャパン(en Japan)


図1をみると、収入面に関することが多いのがわかります。先ほどの筆者のエピソードのように、自分の責任とは無関係に突然仕事を減らされ収入が激減するという事態も実際に生じるのですから、リスク分散のために複数の収入源をもつことは大切です。

筆者は自宅から200Km以上離れた大学で常勤(准教授、教授)として働いていた時期があります。下の子どもが親元を離れたタイミングで常勤職に就くことができ、当時は大学近くのアパートを借りて、単身赴任していました。

自宅に残したパートナーとペットのことが気がかりで、週1回は自宅に戻るのがルーティンでしたが、退職後のキャリアを見据え、地元の大学で非常勤講師の公募があった際に応募し、その職を得ることができました。そして、毎週自宅にもどった折りにその大学にも足を延ばし90分授業を2コマ担当していました。

その間、実家の母親の介護を兄弟で分担していた時期もあり、なかなかハードなスケジュールでしたが、その大学での担当科目が次第に増えていき、退職数年後にはいくつかの複業の中で最も大きな収入源になりました。

定年退職に限らず、今の時代はいつ「本業」を失うかわかりません。
若い頃からそうした不確実性を見据えたキャリアビジョンを描き、それに沿ったプラン設計をするのは大切なことではないでしょうか。
そして、その際、副業や複業は欠かせない要素のひとつです。

人との出会いとスキルアップ

筆者の経験から、図1の回答の中で収入以外に重要だと思うのは、
「いろいろな仕事を経験できた」
「視野を広げられた」
「人脈を広げられた」
「スキルアップが図れた」
「将来の起業・就職・転職に向けた準備ができた」です。

ここで、そのことに関する筆者の経験をシェアしたいと思います。
筆者のもともとの仕事は非常勤の日本語教師です。
スタートは31年前。小さな英会話学校で働く英語教師たちが最初の学習者でした。
その後、学校関係では、日本語学校、短期大学・大学で働いてきました。

日本語教育は、対象者や分野によって求められる専門性が異なり、実に多様です。
筆者が大学の非常勤講師のときに、留学生を対象にした日本語教育以外で携わってきたのは、大雑把に分類すると以下のようなものです。

「生活者としての外国人」と呼ばれる社会人を対象とした就労・定着支援、リカレント教育、ボランティア日本語教室の立ち上げとその教室で活動するボランティアへのサポート、日本語を母語としない子どもたちへのサポート、日本語教師養成、教材開発、官公庁・NGO関係のプロジェクトやプログラム、日本留学試験の問題作成・・・。

それらはすべて日本語教育がらみではあるのですが、対象者も必要な専門性も現場も異なるため、「本業」をもたない非常勤職にあっては、ある種の「複業」だったといってもいいでしょう。

ただし、本業(大学の常勤職)をもっていた期間も、条件つきで副業が認められていたため、その範囲内で上記のいくつかの活動を続けていました。

さらに、日本語教育関係以外でも、方言辞典の編纂・執筆や日本人大学生への指導、大学校の入試問題作成、そして最近はウェブライター・編集・ディレクターと、さまざまな仕事に恵まれてきました。

もちろん、上に挙げたすべての仕事を同時にやってきたわけではありません。例えば、現在は、雇用されている学校(非常勤)が1校で、その他、単発のものも含めて業務委託契約を結んでいる学校法人や財団、企業、地方自治体を合わせると、計6組織の仕事をしています。

30年も仕事をしていると、さまざまな人々との出会いがあり、そうした出会いが期せずしてさらなる出会いを産むものです。
友人、知人、恩師、仕事上の同僚や上司、部下・・・、ときには思いがけない人がキーパー
ソンになることもあり、さまざまな人々との出会いや信頼関係が、予想外の仕事につながることもしばしばでした。

また、新しい仕事にチャレンジして試行錯誤を繰り返すうちに、必要なリテラシーが身につき、専門性が高まります。すると、それがまた新しい仕事につながる。
この30年余を振り返ると、偶然出会った人々が新しい境地へといざなってくれ、そこで鍛えられたことが次の仕事につながる、という連鎖が見えてきます。

仕事のかけもちは、新たな出会いを産み、職業人としてのポテンシャルを高めるという意味でも重要なのです。


副業・複業それぞれのメリット・デメリット

筆者はかつて副業を経験し、現在パラレルワーカーとして働いています。
最後に、そうした経験からみえてきた、それぞれのメリットとデメリットについてお伝えします。

まず、副業のメリットは、なんといっても本業による安定した収入源を確保しつつさまざまなチャレンジができることです。本業の「看板」や肩書を生かせば、副業の選択肢が拡がる可能性もあります。

逆にデメリットは、本業に縛られるという点です。まず、所属する組織が副業を認めていることが前提となりますし、認めている場合にも条件つきなのが一般的です。また、どのような副業をどの程度するのかについて報告し、許可をもらう必要があり、あくまで本業に差し支えがない範囲で行うことが求められます。
筆者の場合にも、大学の常勤時代に副業をするためには、そのことを申し出て教授会にかけ承認してもらう必要がありましたので、プライバシー面でも窮屈に感じたものです。

次に複業の場合、なんといっても一番のメリットは自由度が高いことです。
どの仕事をどの程度やるか、類似した仕事の場合どの組織を選ぶか、複数の仕事のバランスはどうするかなど、すべて自分自身で決められ、誰に文句を言われることもありません。ライフステージやその時々の都合に合わせて最適な選択をし、柔軟に働くことができます。
また、1つの組織に依存しないので、リスクヘッジとしても副業より強力です。そのため、意にそまないことを嫌々やる必要はなく、言いたいことが言えるという強みもあります。

一方、複業のデメリットは、自己管理、自己マネジメントの難しさに集約されます。
健康、時間、各種保険や税金の管理、仕事の選択や契約、関わっている組織とのお付き合いなど、すべて自己責任です。

健康・時間管理に関していうと、適度に休みながら適度に働くというのはなかなか難しいことで、ワーカホリック気味の筆者の場合、とかくオーバーワークになりがちです。
現在はテレワークが基本ということもあり、パソコンの前に座っている時間が非常に長く、運動不足になりがちなので、リビングにルームランナーを置き、年4回の眼科検診と年1回の定期健診は欠かさないよう努めています。

自分のマネジャーは自分なので、仕事の条件に関する交渉も自分で行わなければなりません。
例えば、ある組織から仕事のオファーをいただいたとき、専門性や拘束時間に対してあまりにも報酬が少ないということがありました。そのとき、思い切ってこちらの要求額とその根拠を率直に伝えたところ、妥当な金額にしていただけました。
そのような交渉に臨めたのは、その交渉が決裂してもなんとかやっていけるパラレルワーカーならではの強みでしょう。
しかし、その反面、マネジャーとプレイヤーを兼ねているパラレルワーカーにとって、そうした交渉を自ら行わなければならないのは、なかなか気骨が折れることでもあります。

以上みてきたように、副業にも複業にもメリット・デメリットがあり、一概にどちらがいいとはいえませんが、いずれにせよ複数の仕事をもつことが人生の選択肢を増やし、自らのポテンシャルを高めることは確かです。
まだの方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。



資料リスト

*1
厚生労働省(2020)「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」(2020年11月)

*2
エン・ジャパン(2021)「『仕事のかけもち・Wワーク・副業』実態調査2021ー『エンバイト』ユーザーアンケートー」(2021年6月17日更新)

「仕事のかけもち・Wワーク・副業」実態調査2021 ー『エンバイト』ユーザーアンケートー 53%が「仕事のかけもち・Wワーク・副業の経験がある」と回答。 Wワークを開始した時期は、「新型コロナウイルスの流行前」が8割。 | エン・ジャパン(en Japan)

人材総合サービスを提供する、エン・ジャパン株式会社、ニュースリリースのページです。

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「仕事のかけもち・Wワーク・副業」実態調査2021 ー『エンバイト』ユーザーアンケートー 53%が「仕事のかけもち・Wワーク・副業の経験がある」と回答。 Wワークを開始した時期は、「新型コロナウイルスの流行前」が8割。 | エン・ジャパン(en Japan)
横内 美保子

この記事を書いた人

横内 美保子

博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。<br> 留学生の日本語教育、日本語教師育成、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティア教室のサポートなどに携わる。<br> パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。<br> twitter:<a href="https://twitter.com/mibogon">https://twitter.com/mibogon</a><br> Facebook:<a href="https://www.facebook.com/mihoko.yokouchi1">https://www.facebook.com/mihoko.yokouchi1</a><br> Instgram(mihokoyokouchi):<a href="https://www.instagram.com/?hl=ja">https://www.instagram.com/?hl=ja</a>