医療業界をDXせよ。大きな使命に挑むスタートアップに求められたのは、 スキル・カルチャー両軸での採用成功だった。

株式会社メドコム
株式会社メドコム

ASHIATO導入背景

2020年に「メドコム」をリリースして以来、右肩上がりに組織拡大を実施。直近2~3年間で組織規模を約3倍に拡大する中、採用活動においてはスキルとカルチャーの両軸でマッチする人材の獲得が課題となった。急激に従業員を増やしていくタイミングで、どのように候補者の見極めを行なえばいいのか。そこで、『ASHIATO』の導入に至った。面接だけでは知り得ない候補者の情報を活用することで、採用精度を高めるだけでなく、オンボーディングの改善も実現した。

この記事のポイント

医療機関専用スマートフォン「メドコム」を展開するスタートアップ。医療業界のDXを推進するサービスとして注目され、2020年のリリース以来、右肩上がりに導入実績を伸ばしている。

直近2~3年間で組織規模を約3倍に拡大。急成長の勢いを止めないよう、スキルとカルチャーの両軸でマッチする人材を獲得しながら、事業拡大していけるかどうかが課題だった。

『ASHIATO』によって面接だけでは知り得ない候補者の情報を活用し、採用精度の向上やオンボーディングの改善を実現した。

医療機関専用スマートフォンで、医療業界の“働く”を変える。

ASHIATO

改めて、貴社の事業について簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか。

主に、医療機関専用スマートフォン「メドコム」を展開しています。このサービスは、紙やPHS(無線通信機器)を使用したアナログな作業が主流な医療業界のDXを推進するものです。具体的には、電話機能やナースコール連携機能のほか、チャット、カメラ、緊急通報、電子カルテ連携などの機能を持ち、これまでの業務フローを変え、課題解決を図っています。
 
例えば、医療機関では「心拍数や呼吸数、血圧、体温といったバイタルデータを測定器で把握し、その内容を紙や手にメモをして電子カルテに打ち直す」といったことが、依然として行なわれていることも少なくありません。「メドコム」を導入すれば、バイタルデータを電子カルテに記録したり、患者様の状態を写真で共有したりすることを1台で完結できます。煩雑な業務を簡略化することで、医療従事者の負担を大幅に軽減することが可能。そうすれば医療サービスの品質向上にもつながり、多くの人々を幸せにできると考えています。

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社会的な意義も大きいサービスですね。現在は、どのような機関で導入されているのでしょうか。

30都道府県・80の医療機関で導入および導入予定です。サービスリリースから年間20~30件のペースで導入実績を伸ばしており、今期で100件への導入を目指しています。まずは、当社のサービスを必要としている医療機関に対して導入を進め、徐々にすそ野を広げていきたいと考えています。

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新規性の高いサービスだと思いますが、競合サービスはあるのでしょうか。また、それらに対する強みがあれば教えてください。

PHSを代替する通信機器など、医療業界における業務の一部を代替するようなサービスはありますが、ここまで包括的に代替できるサービスは他にありません。当社が大切にしているのは、本質的な課題解決。医療従事者は、どのような悩みを抱えているのか。そうした悩みはなにがどのように変われば解消されるのか。そうした真のニーズに応えられるようなサービスの提供に力を入れています。
 
そのため当社の強みは、真のニーズをヒアリングする営業や顧客対応部門、そのニーズに応えるサービスを実現する事業開発やエンジニア達の存在です。かなりの時間と労力が求められますが、さまざまな医療機器やシステムと連携できるように改修したり、医療従事者の声をもとにこまめにアップデートをしたり。泥臭いとも言える行動を徹底してやり続けた結果が、顧客から選ばれている理由になっているのだと思います。

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「メドコム」が医療機器をつなぐハブのような働きをしているのですね。ちなみに、今後の展望はいかがでしょうか。

これまで以上に医療機関で使用されている機器やシステムとのアライアンスを築き、サービスをアップデートしていきたいと考えています。「メドコム」を軸としたICTプラットフォームを創り、医療業界のDXを加速させていく考えです。

企業文化を守りながら、2~3年で組織規模を約3倍に。

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現在約100名の従業員がいるかと思います。ここまでの採用活動について教えてください。

当社が「メドコム」をリリースしたのは、2020年のことです。当時の従業員数は30名程度で、その後2~3年かけて組織規模を約3倍にまで拡大しました。はじめは、社長や役員が中心となって採用活動を行なっていましたが、採用人数が増えていくにつれて、そうしたやり方では対応しきれなくなりました。そこで各部門との連携を深め、「組織として採用活動をしていく」という体制にシフトしていきました。

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なるほど。パーパスやミッションも印象的ですが、そうした企業文化とのマッチングも重視しているのでしょうか。

パーパスやミッションは、当社が事業活動をするうえで大切にしているものです。また、成長フェーズにある当社にとっては、今後会社が向かうべき方向を示す指針でもあります。まだまだ組織拡大をしていく段階で、企業文化が希薄化するのは避けたい。

採用活動においても、求めるスキルを有しているかだけでなく、当社の企業文化に対する理解や共感があるかどうかを重視しています。企業文化と合わないと早期離職につながってしまうなど、候補者にとっても不利益につながりかねません。採用する側もされる側も、お互いが不幸にならないような選考を心がけています。

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人事としては、今後会社をどのようにしていきたいとお考えでしょうか。

当社は、まだまだ成長フェーズにあります。そのため、思うようにいくこともあれば、そうはいかないこともある。社長や役員も、常に頭を悩ませながら経営をしている状況だと言えます。さらに組織拡大をしていくには、いかなる状況でも、全員が同じ方向を向いて頑張れる組織にしなければなりません。人事としては、採用活動だけではなく、組織開発にも一層注力する予定です。その結果、「医療の情報革命によって、全ての人を幸せにする」という大きな使命を果たしていきたいと考えています。

面接だけでは知り得ない情報が、採否の意思決定を支援。

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あらためて、『ASHIATO』を導入するきっかけとなった課題や出来事があればお聞かせください。

初めて『ASHIATO』を活用したのは、当社が積極的に組織拡大をするようになった頃です。当時は社長や役員が中心となって採用活動をしていましたが、採用人数が増えていくにつれて当社が理想とする採用が難しくなっていきました。これから成長をしていく段階で企業文化を希薄化させるわけにはいかないものの、面接時間を伸ばしたり面接回数を増やしたりすることで見極めを強化する余裕もない。採用の負担と労力を抑えつつ、いかにスキル・カルチャーの両軸でマッチする人材を採用するかが課題でした。

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現在は、どのように『ASHIATO』を活用しているのでしょうか。

全職種の採用において、最終面接前に『ASHIATO』を実施しています。主にレポート結果を確認することで、当社の企業文化と候補者の志向性がマッチするかどうかを確認し、採否の判断に役立てている状況です。例えば、ベンチャー企業なので会社の方針や上からの指示がこまめに変わることもあるのですが、そうした変化に対して耐性があるのか、柔軟に対応できるのかなどをレポート結果で確認。懸念があった際には最終面接の担当者に申し送りをし、その点を詳しく聞くようにしています。
 
多少なりとも懸念が残る候補者に対して、面接だけで採否を判断するのは簡単ではありません。そこで、レポート結果に立ち返り、候補者と実際に働いていた方の意見をもとに意思決定をしていますね。

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ちなみに、『ASHIATO』には総合信頼貯蓄(ビジネス思考、対人関係力、発想思考、論理思考、メンタルタフネス/5点満点評価)という五角形のレーダーチャートもありますが、いかに活用しているのでしょうか。

主に、数字の低い項目があった際に気を付けるようにしています。もしその点が理由で、当社の企業文化と合わずに早期離職につながってしまうようなことがあっては、会社にとっても候補者にとっても良くはありません。お互いにとってwin-winとなるような採用を行なううえでも、候補者の懸念点がひと目でわかるので便利な機能だと思います。

『ASHIATO』のレポート結果は、オンボーディングでも活用。

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候補者の「ストレスを感じる場面・環境」「相性の良かった人物」などに関する質問も設けているかと思います。これらのレポート結果は、入社後の受け入れ・フォローなどにも活用しているのでしょうか。

レポート結果は、社長や役員はもちろん、受け入れ先となる部門長も確認しています。「どんな環境でどんな人物と働けばパフォーマンスを最大化できるのか」「どんな状況でストレスを感じるのか」などを事前に把握することで、最適なオンボーディングにもつなげられていると思います。
 
実際に、新しく加わったHRのメンバーの採用に関しても、『ASHIATO』のレポート結果が参考になりました。具体的には、候補者に対して選考を通じて受けた印象と、実際に過去一緒に働いていた方からのレポートが合っていたことから、安心して採用に踏み切ることができました。また、レポート結果から見えてきたその方の強みを踏まえてミッションや業務をお任せすることで、高いパフォーマンスの発揮にもつながっていると感じています。一緒に働き始めて間もないですが、これまでの経験を活かして示唆に富む考えやアイデアを発信してくれていますし、物事を推進していく力も高い。期待以上の活躍ぶりです。

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最後に、『ASHIATO』への期待を教えてください。

現在当社では、「圧倒的行動量」を大事なキーワードにしています。面接においては、学生時代の部活や受験勉強でもいいのですが、ひとつのことを徹底的にやり切った・やり抜いた経験があるかどうかがポイントです。その点を見極めるうえでも、レポート結果を活用していきたいと思います。
 
また、どういった回答の候補者に対して、どういった育成アプローチが適切なのかを検討するうえでも積極的に活用していきたいです。『ASHIATO』を活用しながら採用活動だけでなく組織開発にも注力することで、さらなる成長を目指します。

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白幡さん、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

<取材/編集>小野山伸和、橋本真吾
<取材/文章>大原正太郎
株式会社メドコム

株式会社メドコム

会社概要

「医療の情報革命によって、全ての人を幸せにする」をパーパスに掲げ、医療機関専用スマートフォン「メドコム」を展開するスタートアップ。電話機能やナースコール連携機能のほか、チャット、カメラ、緊急通報、電子カルテ連携などの機能を持ち、医療機関内の業務フローを大きく変え、課題解決を図る機能を提供している。また、金融機関と同様の強固でセキュアなシステム構成も特徴。チーム医療の推進や業務の効率化、働き方改革の推進などを支援し、医療業界のDXを推し進めている。

https://medcom.ne.jp

従業員数

90名(2024年10月時点)

インタビュー
白幡 和也(しらはた かずや)
SHIRAHATA KAZUYA白幡 和也(しらはた かずや)

福島高専を卒業後、豊橋技術科学大学にて情報工学を専攻。これまで主にソフトウェア開発や組織マネジメントに従事。2021年3月からは株式会社メルティンMMIにHRBPとして参画し、採用や組織開発などに携わる。2024年3月からは株式会社メドコムに参画。現在は、経営企画HRチームで採用や評価制度の更新、新バリューの策定など多岐にわたり従事している。

小島加世子(こじまかよこ)
KOJIMA KAYOKO小島加世子(こじまかよこ)

2012年新卒で株式会社ジーユーに入社後店長・人事を経験。その後2019年に株式会社デジタルホールディングスへ入社し、新卒採用やHRBPを経験する。2024年12月からHRとして同社入社し、組織開発や中途採用に携わる。