事業成長が加速する中、新たに入社するメンバーの戦力化を、従来3ヶ月という一区切りからさらに早める必要性があった。入社2ヶ月での戦力化を可能にする”人材の垂直立ち上がり”を目指し、『ASHIATO』の導入および運用を決めた。
入社2ヶ月での早期戦力化を目指す。候補者へ徹底的に向き合う、弁護士ドットコムの採用戦略とは。
ASHIATO導入背景
- この記事のポイント
弁護士ドットコム株式会社は、事業成長のスピードに合わせ、「入社2ヶ月」での早期戦力化を目指している。
『ASHIATO』を選考ジャッジではなく、入社後の育成・マネジメントなどオンボーディングに向けたヒアリングツールとして活用。
徹底した運用フロー設計により、『ASHIATO』回答率100%。さらに年間約144時間の工数削減も。
目指すのは、文化の変化さえ促し、より良い暮らしを実現する企業。
『弁護士ドットコム』といえば、すでに知名度のあるサービスです。貴社はどのような想いで事業を展開しているのでしょうか。
当社では「専門家をもっと身近に」という理念を掲げ、人々と専門家をつなぐポータルサイト『弁護士ドットコム』『税理士ドットコム』『BUSINESS LAWYERS』やWeb完結型クラウド契約サービス『クラウドサイン』を提供しています。
法的トラブルに遭われた方のうち、実際に弁護士に相談をするのは約2割という調査結果があります。この「二割司法」と呼ばれる課題を解決するために、祖業である『弁護士ドットコム』では、専門家に気軽に相談できる仕組みを提供することによって、人々が生きていく上でより良い選択をできるようになると考えています。それはいわば、ライフスタイルの変化と呼べるかもしれません。『クラウドサイン』に関しても、印鑑を必要としていた文化からの変化を生み出しています。日本の商取引において「対面・書面・押印主義」は根強い習慣でしたが、『クラウドサイン』がその常識を変えつつあります。
法的トラブルに遭われた方のうち、実際に弁護士に相談をするのは約2割という調査結果があります。この「二割司法」と呼ばれる課題を解決するために、祖業である『弁護士ドットコム』では、専門家に気軽に相談できる仕組みを提供することによって、人々が生きていく上でより良い選択をできるようになると考えています。それはいわば、ライフスタイルの変化と呼べるかもしれません。『クラウドサイン』に関しても、印鑑を必要としていた文化からの変化を生み出しています。日本の商取引において「対面・書面・押印主義」は根強い習慣でしたが、『クラウドサイン』がその常識を変えつつあります。
『クラウドサイン』は電子契約サービスの中でも高いシェアを誇っています。今後、どのような展開を考えているのでしょうか。
在宅ワークの拡大や政府による押印・書面廃止などの見直しにより、企業における電子契約の導入が急速に進んでいます。2020年9月には、総務省・法務省・経済産業省から、電子署名法第3条に『クラウドサイン』の規格が法的に有効とされる基準が示されました。このような社会情勢の変化に伴い、ニューノーマルな生活や働き方が定着する中で、契約の締結だけではなく、これまで紙で行われてきた社内決裁処理や契約書保管など、契約に関わる一連の業務プロセスをデジタル化するというニーズが高まっています。『クラウドサイン』は、これらの新しいニーズにいち早くお応えするとともに、デジタル時代に則した新しい契約のかたちを創造していきたいと考えています。
現在は企業間での取引において『クラウドサイン』が利用されるケースがほとんどですが、社会の変革が進めば、私たちの生活シーンにおけるあらゆる契約のかたちにも変化が生じてくるはずです。私たちはまさに、これからの100年の新しい契約のかたちを築いているんです。
現在は企業間での取引において『クラウドサイン』が利用されるケースがほとんどですが、社会の変革が進めば、私たちの生活シーンにおけるあらゆる契約のかたちにも変化が生じてくるはずです。私たちはまさに、これからの100年の新しい契約のかたちを築いているんです。
人事部門がなくても成立する状態。それが、ゴールのひとつ。
BtoBだけでなくBtoCでも『クラウドサイン』が浸透すると、すごく便利になりそうですね。人事部門としてはどのようなビジョンを掲げていますか。
長期的な目線で考えれば、人事機能がなくてもすべて動く状態が会社として健全だと考えています。たとえば採用。現状ではリクルーターが介在することの重要性が高いですし、人事が強い企業はすなわち企業としての強さも持っています。ただ、本質的に採用は人事部門のためでなく、事業成長のために行うものです。事業側も、事業を一緒に大きくする仲間を迎えたいわけですよね。ですので、人事部門が介在せずとも、ビジョンを共有して同じ目標に向かって走れる仲間を採用できることがすごく重要だと考えています。
非常に刺激的なビジョンですね。その実現には何が必要になってくるのでしょう。
現在、私たち人事部門が会社に対して提供できている価値はまだまだ大きくはないと思っています。まずは、私たちがより大きな価値提供ができるようにするために、さらに「知見・知識」を得て、それらを「戦術に落とし込むこと」ができ、さらには他社にはない「オリジナルをつくっていくこと」が重要だと考えています。これらができるようになれば、人事機能を事業側にも標準化できるのではないでしょうか。そのためには、各人事機能が自動化できている状態も併せて必要ですね。
ビジョン実現に向けて掲げた「入社2ヶ月での戦力化」。
ビジョンの実現に向けて、実際の採用活動にどのように落とし込まれているのですか?
採用力を高めていくのと同時に、選考における即戦力となる人材のジャッジメントはもちろん、早期に活躍してもらうことを重視しています。というのも、現在当社は、過渡期にあり、”人々のライフスタイルを変える”ともなれば、事業の多角化や社員数千人といった規模への成長が必要です。一方、当社は現状社員数が300名程度。組織を拡大する上でこれくらいの規模が一番難しいんです。大企業と比較して、キャッシュが潤沢にあるわけではない、社内に超人がたくさんいるわけではない、企業の認知度が高いわけではないですから。
入社してOJTをして3ヶ月で戦力に…という流れが一般的だとは思いますが、求められる事業成長スピードに対応するためには正直遅い。入社2ヶ月で戦力になって活躍してもらいたいです。”垂直立ち上がり”が可能な状態で入社してもらえれば、より速く、より大きな組織へと成長できるだろうと考えています。
入社してOJTをして3ヶ月で戦力に…という流れが一般的だとは思いますが、求められる事業成長スピードに対応するためには正直遅い。入社2ヶ月で戦力になって活躍してもらいたいです。”垂直立ち上がり”が可能な状態で入社してもらえれば、より速く、より大きな組織へと成長できるだろうと考えています。
選考可否のジャッジでなく、入社後の立ち上がりを早めるための『ASHIATO』だった。
なるほど。ただ、3ヶ月かかる立ち上がりを1ヶ月早めるのは簡単ではないですよね?
はい、その通りです。そこで活用させていただいたのが、『ASHIATO』でした。『ASHIATO』はリファレンスチェックサービスだとは思うのですが、当社では選考可否のジャッジメントを目的として導入を決めたのではなく、先ほど話した、人材の"垂直立ち上がり”を早めるための手段として活用しています。
具体的には、前職の上長や同僚の方などに、候補者がどのようなタイプの方なのか、何に対してモチベーションを感じて、どのような成長を促し伴走すべきなのか…といったことをヒアリングしています。それらの情報を元に入社後の効果的な育成やマネジメントに活かすことで、本来3ヶ月かかる立ち上がりまでの期間を1ヶ月短縮させることが目的です。
具体的には、前職の上長や同僚の方などに、候補者がどのようなタイプの方なのか、何に対してモチベーションを感じて、どのような成長を促し伴走すべきなのか…といったことをヒアリングしています。それらの情報を元に入社後の効果的な育成やマネジメントに活かすことで、本来3ヶ月かかる立ち上がりまでの期間を1ヶ月短縮させることが目的です。
すごく未来志向なヒアリングですね。それによるプロセスの変化も大きいですし。
もちろん当社でもオンボーディングやイネーブルメントなどは整えています。ただ、事業成長スピードが非常に速いため、そのほかに何かできないかと議論をする中で挙がったのが、入社前段階でのヒアリングでした。それまでも“オンボーディングアンケート“としてヒアリングを行っていたのですが、当時はリクルーター2名が電話で対応していたこともあり、月に12時間ほどの時間がかかっていました。年間で考えると約144時間で、労働時間換算で1ヶ月近いです。それが『ASHIATO』の導入によって削減できたことはすごく大きな影響です。その分のリソースを採用活動など他の時間に費やすことができましたからね。
サービス導入だけでなく、思想が伝わる“運用フロー設計”が肝になった。
『ASHIATO』そのものだけでなく、運用面での工夫も大きかったわけですね。
そうですね。候補者に「ネガティブチェック」ではなく「入社後の立ち上がりのため」という真意が誤解なく伝わるよう、オペレーションなどにも気を使いました。選考のどのタイミングで実施するのかや、候補者や人材会社の担当者などステークホルダーに対する伝え方など、本当に細かいところまで配慮しました。そのフローの設計に、丸々2日間くらいは議論しましたからね。ですから、候補者から『ASHIATO』をネガティブに受け取られることはほとんどありません。むしろ「そこまで考えてもらっているんですね」とポジティブな言葉をもらうことができています。そのためか、回答率も100%を維持し続けられています。
細部まで運用方法を考え抜いたからこその結果と言えますね。そこまでオペレーションにこだわることに、何か想いがあるのでしょうか。
当社は「法」に関連するサービスを運営・提供していますから、常に誠実でありたいと思っています。採用にあたってもそのような会社のスタンスと合うかどうかは、すごく重要視しています。きちんと私たちの思想や考え方を伝え、カルチャーフィッティングを果たしたいと思っています。そのためには、私たちとしても、オペレーション含めて丁寧なコミュニケーションを行うように意識しています。
今回、『ASHIATO』の導入や運用に際して細かな部分まで自社の採用を見つめ直したことで、当社にとっても何を採用で大事にすべきかが明確になりました。今後、人事機能の自動化や事業側への機能移譲などを進める上でも、標準化に向けたヒントを手に入れることができました。この『ASHIATO』もさらに進化して、より良いサービスになることを期待しています。
佐藤さん、石原さん、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
<取材/編集>福村知久
<取材/文章>遠藤孝幸
※取材当時:2020年12月
今回、『ASHIATO』の導入や運用に際して細かな部分まで自社の採用を見つめ直したことで、当社にとっても何を採用で大事にすべきかが明確になりました。今後、人事機能の自動化や事業側への機能移譲などを進める上でも、標準化に向けたヒントを手に入れることができました。この『ASHIATO』もさらに進化して、より良いサービスになることを期待しています。
佐藤さん、石原さん、貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
<取材/編集>福村知久
<取材/文章>遠藤孝幸
※取材当時:2020年12月